2018.07.10
働き方改革やワークライフバランスが話題となる中、「仕事」と「家庭」を両立できる環境をつくることが今、企業に求められています。大分を拠点に、全国でシステム開発事業を行うIT企業「株式会社ザイナス」では、育児休暇制度や短時間勤務制度を通じて、働きながら子育てができる環境を実現。ITと子育て、2つの現場の最前線で輝く4名の社員のリアルな声を、前編・後編の2回に分けてお届けします。
菅
私はザイナスに入社して4年目です。入社後に結婚して子どもが産まれたのですが、ザイナスでは子育てを第一に考えた働き方ができるので、本当に助かっていますね。私たち夫婦は、共働きのため子どもは保育園に預けており、何かあった時は妻か私のどちらかが対応しなければなりません。子どもが体調を崩してしまった時には、私が早めに退社して看病したこともあります。普段、何もないときでも仕事を自宅へ持ち帰ることができるので、子育てを中心としたプライベートの時間を上手く使えている実感はありますね。
木戸
私も共働き世帯なので、朝から夜まで常に忙しい生活を送っています(笑)。上から5歳・4歳・2歳・1歳の4人の子どもがおり、保育園へのお迎えは私が担当。18時半まで預かっていただいていますが、同じ部署の仲間の協力もあり、定時の10分後には退社して迎えに行っています。
菅
上司や同僚に協力していただけると、本当に助かりますよね。私は子どもができてから、働くことに対する考え方や人生観が大きく変わりました。入社当初は、残業時間の多さが金銭的な豊かさにつながると思い、自分のためだけに生きていたんです。しかし、家庭を持ってからは、家族との時間を何よりも大切にしたいと思うようになりました。自分の時間や身体は自分だけのものではなく、家族のものでもあると思っています。
大山
女性は自分のお腹の中で子どもを育てているので、妊娠から出産までの間で、いろんな価値観が変わる方も多いです。しかし菅さんのように、男性でここまで考え方が変わるのは珍しいですね。男性は、赤ちゃんが産まれてから子育てする中で少しずつ考え方が変わってくるものだと思っていたので。
小野
私には2歳と7歳の子どもがおり、子育てのために退職するまでは別の会社で働いていました。退職後はしばらく子育てに専念し、昨年ザイナスに入社。子どもを保育所に預けられる時間が限られているので、そこから逆算して勤務時間を設定しています。周囲の協力もあり、10時から15時までの限られた時間内で働いていますね。
木戸
以前の職場では、子育てと業務の両立が難しいと感じて退職されたのですか?
小野
残業が多い職場だったので、子育てから復帰しても、それまでのように長時間働けないと感じて退職しました。その後、別の会社で事務の仕事をしたこともあるのですが…これまで積み上げてきた自分の技術力を活かしたいと思い、ザイナスへ入社したんです。前職のように長時間働くことはできないと感じていたので、家庭の事情を全てお話ししました。会社と「働き方」についてじっくりと話し合えたことで、自分にピッタリの「フレキシブル」な働き方ができる、理想の勤務形態を実現していただきました。
大山
働きたい人それぞれの「この時間帯なら働けます」というリクエストに会社が応えてくれると、より子育てと仕事の両立がしやすい社会になると思いますね。
菅
ザイナスでは、女性社員だけでなく男性社員も育児休暇を取得できます。共働きの妻と一緒に育児休暇を取得し、時間にも心にもゆとりを持って子育てをすることができました。上司からも「家庭のことを第一に考えてほしい」と言われていたので、安心して育児休暇に入れましたね。
大山
私は入社13年目なのですが、入社3年目に妊娠した時は、まだ育児休暇制度がありませんでした。ただ、仕事にはやりがいを感じていましたし、出産後も続けていきたいと思っていて…思い切って上司に相談すると「これからはしっかり育児に専念して、復帰してからもぜひザイナスで働いて欲しい」と言っていただき、ホッとしましたね。
小野
大山さんは、育児休暇を2回取得されているんですよね。1回目と2回目で、どちらの方が育児休暇を取得しやすいと感じましたか?
大山
1回目の方が、周囲に打ち明けるプレッシャーは大きかったですね。引き継ぎもしなければならなかったので、ハードルが高かったことを覚えています。また、育児休暇からの復帰後は、家庭内で「朝の準備体制」を整える点でも苦労しました。朝ごはんの準備や子どもの世話、保育園への送迎など、体制を立て直すのが大変でしたね。
木戸
保育園の送迎などは時間が決まっているので、そこから逆算した段取りを整えることが大切ですよね。ところで、育児休暇を取得している最中は、皆さん仕事のことを考えながら生活していたのですか?
菅
携帯電話で社内のメールをチェックできるようにしていました。心配になることもありましたが、チーム内には頼りになる方が多く『きっと大丈夫』と思っていましたね。仕事の内容はチーム内で共有しており、自分が育児休暇を取得しても影響が出ないよう、仕事を割り振っていただいています。
大山
育児休暇をしている時は、友人と話していても「母親」としての話が中心になってしまい「これから私は、母親としての世界だけ見て生きていくんだろうか」と感じることがありました。しかし「仕事」という打ち込めるものがあると世界が広がりますし、逆に、母親としての意識も高めることができたんです。会社を辞めなくて本当に良かったと思いましたね。
小野
私は、専業主婦にはなれないだろうと思っていました。子育てをしていると、子どもとの距離感が近すぎてストレスを感じることもありますから。自分の生きがいが何なのか、このままの生活で良いのかずっと葛藤を抱えていて…。そんな中、思い切って仕事と子育てを両立するようになると、子どもとの距離感もちょうど良くなりストレスが緩和されたんです。子育ての段階によって、育児と仕事のバランスを振り分けることで、子どもと過ごす時間を有意義なものにできています。
大山
ここにいるメンバーはみんな共働きですが、家事などの分担はどうしています?
木戸
妻が7割方引き受けてくれていますね。歩き始めたばかりの子どもの面倒も見てくれているので、自分ができることは自分でやるように心がけています。
菅
うちの場合は、1人が子どもに付きっきりで、もう1人が家事をしています。自宅が遠く、帰宅に1時間ほどかかるので「先に子どもをお風呂に入れておいてね」と軽い気持ちでお願いすると「そんな気軽にお願いしないで!」と怒られることもあって…妻に負担をかけていると感じることもありますね。
大山
子どもが産まれて最初の1ヶ月間は、旦那さんが家にいてくれるとありがたいでしょうね。
菅
お互いが育児休暇を取得していると、それぞれが「育児をしていない」お休みの時間をつくることができるので、子育てのストレスが軽減されるはず。妻が体調を崩した日は、私が1日中子どもの面倒を見るのですが…この状態がずっと続くのは、辛いと感じましたね。1人だけで子育てをするのは難しいですが、2人だと相談したり、余裕を持って子育てができると思っています。
小野
家事に関しては、慣れている方が行う方がストレスなく過ごせるかもしれませんね。手伝って欲しいという気持ちはありますが、主人の疲れがさらに溜まってしまうような気がして…。ですが、本心では「家事に慣れて欲しい」とも思っています。助けて欲しい、手伝って欲しいという気持ちに気づいてくれることを祈っていますが、やっぱり言わないと分からないですね(笑)。
木戸
こちらとしては、言ってほしいとは思っていますよ(笑)。ただ、言われてから家事を手伝って「ありがとう」と感謝されるよりも、自分が積極的に家事を行って「ありがとう」と感謝される方が、気持ち良いかもしれませんね。
大山
うちの場合は、旦那さんが子どもと一緒に走り回りながら遊んでくれています。学校の送迎も引き受けてくれているので、私が1人で過ごす時間も確保できていますね。ただ、家事は慣れていないので…洗い物に汚れが残っていたり、シンクが水浸しになっていることもしばしば。助かっていますが、もう少し家事のクオリティを高めて欲しいと思っています(笑)。
(後編へ続く)