2019.04.09
プロジェクトのスタートから1年を迎えた「ママのまま」。今回は、代表、プロジェクトマネージャー、多くのママたちを取材した2人のライター、そして運営スタッフの5名でこの1年間を振り返った。取材やイベントを通じてこれまでに感じたこと、ママたちを取り巻く社会や環境、「ママのまま」でこれからやりたいことなど…それぞれの熱い思いを語り合った。
佐藤
「ママのまま」の立ち上げにあたって、果たしてママたちが共感してくれるのか…と不安でした。運営スタッフ全員で、とことん話し合って決めたレポートやママスタイルといったコンテンツが、ママたちにとって、どういう意味を持つのか。その想いを受け取ってもらえるだろうかって。でも、1年が経ち、改めて振り返ってみると、イメージ通りのプロジェクトになっていると思います。インタビューで登場する方たちは何かを成し遂げたり、社会で活躍されている方が多いのですが、その他にも日々の暮らしの中で頑張っていたり、何かにチャレンジしているママたちもまだまだたくさんいます。「ままいろフェスタ」などを通して、「自分に何ができるかわからないけど、ぜひ協力したい!」といってくれるママも多かった。きっとそれは、たくさんのママが「ママのまま」というプロジェクトに共感してくれているからではないかと思います。
安達
私は「ママスタイル」のコーナーを中心に、年間20人のママを取材しました。みんな「自分の経験が誰かの役に立てばいい」という想いを持っている人ばかりで、大分にそんなモチベーションを持って活躍するママがこんなにいるんだと純粋に感動しましたね。一人ひとりのママにそれぞれのストーリーがあって、泣いたり笑ったり…。毎回、心揺さぶられる取材が続きました。原稿を書くために録音していた音声データを聞きながらまた泣くほどでした…(笑)。
河野
私もライターとして「ママのままプロジェクト」に携わる中で心がけているのは、「こういう話が聞きたい」、「こんな内容で進めたい」というのはあるけれど、過剰に演出したり、無理やり話を持っていったりしないということ。ママたちは自己プロデュースに優れているので、自分らはママが自分のことを表現することに対して、徹底役にサポート役に回るようにしていましたね。
小森
デザイナーとして参加しながら感じたのは、各コーナーはもちろん、サイト全体の土台作りができた1年だったなと思います。その理由は、自分たちが頑張ったからということではなく、そこに登場してくれるママたち、サイトにアクセスしていただくママたちのおかげでです。
安達
何もないところからスタートして、走りながら作っていくようなイメージですよね。1年間でこれだけいろんなものがカタチになるんだと驚きの連続でした。ウェブによる発信だけでなく、「ままいろフェスタ」イベントまで実現するスピードがものすごく早いなって。毎月、編集会議をして、いろいろ意見が出るなかで、本当にやりたいことを考えて、無我夢中で取り組んできましたね。
河野
私はママをサポートする企業や施設を取材したり、パパの座談会の司会をしましたが、「ママのまま」に携わる前に比べて、ママを取り巻く環境への考えが変わりましたね。以前は「ママが置かれている環境はすごくシビアで、行政や企業はそのことを全然、理解していない」というストーリーを思い描いていたんです。確かに、社会においてそういう状況はまだまだ多いのですが、ちゃんとママの大変さを理解し、サポートしてくれる企業や施設もたくさんあることを知ることができた。ひと昔前に比べたら、ママの活躍をサポートする取り組みをきちんとやっているところが増えているんだなと。まだまだがつながっていないかもしれないけれど、確実に点は存在しているから、それがつながれば線になり、広がっていくはずです。
小森
原稿をデザインに流し込む前に毎回、読むのですが、正直、驚かされることが多かったです。僕も当初はママのことを理解しようとしない企業ばかりなんだろうなと思っていたけれど、大分にも、ママが活躍できる社会を実現しようとくれる人たちがいる。ママが活躍できるような環境を作ろうとしている企業がある。だからこそ、そのことを多くの人に伝えることが僕たちの役割のひとつだと思いますね。
矢野
新しい記事が掲載される度に、今度はどんな人なのかなと本当にワクワクします。ママたちと同じように楽しみながらチェックしてるかも(笑)。パパ座談会の記事を読むと、同じパパでもこんなに育児参加してるのかと関心したし、驚きもありました。
河野
育児はママだけの問題だけじゃなくなりましたよね。パパはもちろん、おじいちゃんやおばあちゃん、地域全体で見守っていく、サポートしていく時代。そう考えると「ママのまま」もママのためだけのメディアじゃないとも言えますね。
佐藤
夫婦で読んでもいいかもしれませんね。核としてはママが中心なんだけれど、たくさんの人をぐるりと囲みながら、いろんな人たちに興味を持ってもらえる媒体になったのかなと思います。
佐藤
ママのためのポータルサイトとしてスタートしましたが、この1年で「ままいろフェスタ」や「ままともラジオ」など、イベントやFMの番組など、さまざまな可能性を見出すことができました。実はそれがプロジェクトを立ち上げるときの大きな目標だったんです。当初、3年ぐらいかけて自分たちのプロジェクト意義を認めてもらって、少しずつクロスメディアに進化できればと思っていましたが、嬉しいことに1年目でたくさんのことが実現しました。今後も息切れをしないように、もっともっと新しい取り組みをしていきたいと思っています。
安達
大分県内には25歳から49歳までのママが16万人いるようです。今は大分市が中心ですが、今後はエリアを広げて大分県内のたくさんのママたちと出会いたいですね。大分県内全域のママの話を聞きたい!企業に勤めるママや起業したママだけじゃなくて、「田舎でこういう暮らしをしていて、農業に力を入れてます」とか、そういったママもいっぱい紹介できればいいなと思います。目標はとりあえず100人かな。いつかは大分のママ図鑑みたいなものも作ってみたいですね。このペースでいくと、5年はかかるけど…(笑)。
河野
これからやってみたいのは「今、ママたちが気になっていること」をタイムリーに「ママのまま」で取り上げていきたい。例えば、全国誌で特集されているような、“女性が働くということ”というテーマを、大分ではどうなのか?という視点で特集を組んだり。編集部サイドで原稿を書いて終わりではなく、たくさんのママが「何を思うのか」を丁寧に拾っていきながら、深く掘り下げていきたい。それを続けることでママたちの心をつなげることができるんじゃないかなっていう思いはありますね。
矢野
ママの生活やママを取り巻く環境を取り上げるという「ママのまま」のコンセプトはブラさずにいきたいですね。その軸を大切にしながら、もっといろんなママの暮らしに焦点を当ててもいいですね。移住してきたママとか。離島で住んでいるママとかもたくさんいるし。まだまだ「ママのまま」というメディアにはいろんな切り口があるはずです。
佐藤
私は「ままいろフェスタ」をさらにバージョンアップさせて、第2回「ままいろフェスタ」をやりたいですね。あと、もう一つ開催したいイベントがあって、みんなの前でママたちが自分の経験や夢をプレゼンテーションする場です。正直、ママたちが自分を評価してもらう場所はなかなかありません。だから、「自分はこういう風に頑張ってきました」、「これからこういう夢を持っているんです」というビジョンをたくさんの人の前で発表することで、自分の評価を可視化できる機会を作りたいと思います。「ままいろフェスタ」の中に入れるのか、他の企画の中に入れ込むのかはまだ未定ですが、どのようなカタチであれ、彼女たちが表現できるところを作りたいなと思っています。
佐藤
さきほども話したように、普段ママたちはプレゼンスを高める機会が少ないんです。「ままいろフェスタ」という小さい成功体験が大きなチャレンジ意欲を生み出し、何かをはじめたいと思うきっかけになる。こういったイベントが人に称賛してもらい、自己肯定感を持てるようになる一助になるんじゃないかなと。ママたちにそういう機会を作り続けるのが「ママのまま」の使命だと思っています。
矢野
「ママのまま」はママたちの情報を発信するメディアであると同時に、社会の情報をママに伝えるメディアでもあります。「ママスタイルで取り上げられるようなポジティブな行動はできないけど、興味はある」そんなママたちが情報をキャッチできる場であることも重要です。さまざまな情報を発信する・拡散することで、ママたちにいろんな選択肢を提示していきたい。受け手のペースやタイミングで情報を得られる環境を整えておくと、忙しいママや今は元気のないママでも無理なく、少しずつステップアップできるかもしれませんから。
安達
私も矢野さんが言う通りだと思います。前向きなママだけがピックアップされていくのではなく、暗いトンネルの中にいるママたちにも光が届くような情報もやっぱり必要。どういうカタチの情報なのかは今後勉強していかないといけないけれど、とにかくさまざまなママの求めている情報とかけ離れないようにしていかないといけないと思っています。
小森
輝いている人がいるから、その人にスポットを当てるのではなくて、そのスポットが当たったところに輝く人がいるという感じですね。できるだけたくさんの、人知れず輝くママを紹介するメディアでありたいですね。
河野
ママが置かれている環境は十人十色。例えば働くがテーマでも、専門職もあれば、パートタイムとかもいて、働き方も色々だし、考え方もさまざま。そんなたくさんの生き方を紹介していくことで、共感が生まれると信じています。
佐藤
もっともっと自分に何かできるんじゃないかと思っているけれど、なかなかそんなチャンスがない。でもそのままだと自分の価値に気付かないまま毎日が過ぎていってしまう。「ママのまま」を通して自分の人生に誇りを持ってもらえるような、そんなメディアであり続けたいと思いますね。