2021.04.06
ママのままプロジェクトは2018年のスタート以来、常に「ママに役立つ情報を届けるにはどうすればよいのか」を考え、さまざまなチャレンジを重ねてきました。4年目を迎えた今年度の1本目の特集では、ママのままプロデューサーの佐藤宝恵と、「Woman NEO」をはじめ、あらゆる分野で女性活躍を推進する大分合同新聞の渡部さおりさんの対談をお届けします。これまでの女性活躍に向けた歩みを振り返りながら、抱えている課題や、ママのままプロジェクトのビジョンなど、熱く語り合いました。
渡部
佐藤さんも体感しているかもしれませんが、民間企業で社長や管理職を務める女性はまだまだ少ないのが現状です。鉄鋼業や化学工業といった業界中心の産業構造だったこともあり、女性が活躍しにくい環境が連綿と受け継がれてきたのかもしれません。
佐藤
確かに女性の管理職は少ないですね。ただ、女性活躍が叫ばれる一方で、その言葉が一人歩きしている印象を感じています。女性活躍は、社長や管理職に就く女性を増やせば良いということではありません。ただ数値目標を設定するだけでなく、女性が生き生きと働き、活躍できる環境をつくることが最重要事項です。どの企業も「何かしなければいけないのは理解しているが、何をすればいいのかわからない」「女性がキャリアデザインを描くノウハウを見つけきれていない」、そういった状況なのではないかと思っています。
渡部
子育て中の女性が働く上で、「時間的余裕がなく活躍できない」、「自分の能力が発揮できない」など、さまざまな問題に直面します。その問題に対し、「自分の能力や意識が低いから」と自分だけで抱え込んでしまう女性も多いです。しかし、注意深く見てみると、本人だけが原因なのではなく、社会全体が抱える問題が原因であることも。その問題に皆で向き合い、解決することで、女性が生き生きと働ける環境へと生まれ変わるはずです。
佐藤
育児休業中の女性が、「周りが仕事で忙しい中、自分は子育てだけしていて本当に良いのだろうか」と感じることも多いようです。しかし、子育ては仕事面においてスキルアップできる機会でもあると考えています。小さな子どもとコミュニケーションを取らなければいけませんし、理解してもらうために日々試行錯誤の繰り返し。私の子育ての場合、一人目と二人目では性格も違ったので、育成力が養われますし、管理能力や即断力なども身につきました(笑)。そのスキルは仕事をするうえで重要な能力だと女性たちには自信を持ってもらいたいです。「子育て期間=スキルアップの大切な時間」を共通認識として持ってほしい。そうすることで男性も自己成長の一環として育休が取りやすくなるのではないでしょうか。
佐藤
働き方が多様化した今、企業側が従業員に求めることは、従業員の意思や主体性です。自ら率先して考え、動く力が必要です。それと同時に、会社はその意思を主張できる環境を整えなくてはいけません。最初からトップダウンで決めていくのではなく、まずは従業員の意向を聞いてみることがポイント。そうすることで、自主性や可能性を高めることができます。
渡部
今回、コロナ禍でテレワークを行う際、一番大変だったことは従業員のマネジメントだと言われています。それは女性の働きやすさにも通じる部分があり、女性活躍のために、企業が何をすべきなのかが見えてきました。人材育成のためには、まずは本人を信じ、期待をきちんと言語化して伝える場を作ること、同じゴールに向かってコミュニケーションを取りながら進めていくことが重要だと思います。
佐藤
新型コロナウイルスの影響で、私たちの働き方は一変しました。以前からテレワークやフレックス制といった働き方はありましたが、今や働き方の一つとして確立しました。多くの企業がテレワークを実施し、フレキシブルな働き方を導入したことで、女性が活躍しやすい環境へと一歩前進したのではないかと思います。
佐藤
女性が生き生きと働き輝くために、私たち「ママのままプロジェクト」が率先して、企業と働きたい女性のマッチングを行っていきたいと考えています。企業は新卒採用には力を入れる傾向がありますが、中途採用や女性人材登用にかけるコストや時間が不足していると感じることも少なくありません。子育てで社会から離れている女性の中には、優秀な人材もたくさん眠っています。もっともっと女性のプレゼンスを高め、自分たちのスキルを企業にアピールできる機会が必要ですね。私たちも合同企業説明会を開催したり、求人情報の詳細をもっと見える化することで、本当に必要としている人に正しく情報を届けていけるよう邁進します。