私たちの暮らしが変わる?!
カーボンニュートラルって
佐藤
近年、企業が取り組むだけでなく、学校でもSDGsについて学ぶようになりました。17のゴールがありますが、それをどう生活に落とし込んでいくか、なぜ必要なのかをイメージしづらい部分もあります。子どもたちが疑問に思ったことに対して、私たち親世代がうまく答えられないことも…。今回は、九電グループのカーボンニュートラルへの取り組みに関する話がメインになりますが、根底にある環境問題についても詳しくお聞きして地球環境や生態系の危機を伝えたいと思います。早速ですが、カーボンニュートラルについて詳しく教えてください。
村川
簡単にいうと、「温室効果ガスの排出量・吸収量の合計を±0にする」ということですね。温室効果ガスが地球の周りを囲い、増加しすぎると地球のエネルギー熱を逃がすことができなくなるので、温暖化が進みます。しかし、逆に温室効果ガスが少なくなりすぎると、地球の気温は氷点下以下になってしまいます。温室効果ガスはバランスよく存在する必要があり、カーボンニュートラル達成のためには、多くなりすぎた温室効果ガスの排出量の削減、吸収作用の保全と強化が求められます。これまでの環境会議で何度も火力発電や二酸化炭素に関する論議がなされてきました。2020年、菅首相がカーボンニュートラル推進を宣言したことで、弊社でもより具現化し、取り組んでいます。
佐藤
温室効果ガスの削減を考えなくてはいけないとは十分理解しているのですが、カーボンニュートラルの取組みが自分たちの生活にどうつながっていくのか、わかりづらい部分も多いと感じます。
村川
身近な話を例に挙げると、CO₂の排出量が増えることで、水害や森林火災のリスクの増加はもちろん、農業や水産業にも影響を及ぼすと言われています。例えば、海水温や海水面が上昇することによって、生態系が破壊される可能性があるということです。漁獲量が少なくなり、これまで食べていた海の幸が食べられなくなることも起こり得ます。とはいえ、急激に舵を切ることもできないので、目標に向けて少しずつアクションを起こしている最中です。
佐藤
さまざまな電力がある中で、カーボンニュートラルを目指すための主体エネルギーは何ですか?
村川
現在、九州における電力の約6割は原子力をはじめ、再生可能エネルギーの水力、地熱、太陽光、風力発電でまかなっています。残りの約4割は火力発電です。CO₂を排出しない発電方法を積極的に取り入れたり、発電によって生じたCO₂を地下に貯蔵したり、燃料にアンモニアを燃焼するなど、さまざまな角度から電力の低・脱炭素化に向けた取組みを検討しているところです。
電化率を高めることは、
家計にも、環境にも優しい
佐藤
電力をつくる側が、CO₂の少ない発電方法の利活用を目指しているからこそ、私たちもできるだけCO₂の排出を抑える努力をしなくてはいけませんね。
村川
日常生活において、カーボンニュートラルの実現を目指したとき、やはりCO₂を排出しない“オール電化”が最適です。乗用車やバスをはじめとする運輸部門では、電化率はまだ2%ほど。社会全体で電化率を上げる必要があり、最近では自動車メーカーも積極的に電気自動車を推進しています。
佐藤
あらゆる分野でオール電化が推進されていますが、経済面だけでなく、地球環境や生態系への影響においても多くのメリットがあるのですね。
村川
これまでは、経済性や利便性など、“電気を売りたい”という電力会社の戦略だと捉えられていたかもしれません。しかし、子どもたちにつなぐ未来を考えたときに、地球環境に最適なのは何か…。コストの問題ではなく、広い視野で環境や社会のことを考えてオール電化を選んでいることを家族で話し合える、そんな家庭で育ったお子さんは大人になったとき、幼少期から慣れ親しんだ電気を使うでしょう。数十年後の未来を見据え、お子さんが小さい今のうちからオール電化にするだけで、それがSDGsへの取り組みのひとつになります。
佐藤
環境問題について自分に何ができるか分からないというママも少なくないと思いますが、わたしたち親が、今のうちに子どもにSDGsを考える機会を与える責任があると感じています。知識としては知っていても、具体的に何をすればいいのか、何ができるのか、親が教えなければいけません。生きる力を身に付けるという面においても役立つと思います。今回の対談をはじめ、「ママのまま」というメディアを通して、わかりやすく伝えていきたいです。
村川
持続可能な社会の実現という部分において、今の生活をどうやって守っていくのか、次世代の子どもたちの住みよい環境をつくるためにはどうすればいいのかを考えることが一番大切だと思います。
持続可能な世界に向けて
私たちができること
佐藤
最近の集合住宅はオール電化が進んでいますが、オール電化に移行できていない古いマンションや戸建も多いのではないでしょうか。施主やビルダーにもオール電化のメリットを感じてもらうのが難しい場合もあると思います。魅力を伝えるために取り組んでいることはありますか?
村川
実際に、当社ではIHクッキングヒーターをはじめ、オール電化の魅力や楽しさを体感できるIH体験講座を行っています。
佐藤
ママの参加率が高いようなので、経済的な側面から訴求するのが一番良いかもしれませんが、最近はママたちの間でもSDGsへの関心が高まっています。まずは環境問題のことを交え、SDGsの重要性を紐解きながら、魅力を訴求する方がより効果が現れると思います。まずは問題提起があって、その後に楽しくクッキングという流れをとることで、子どもたちもSDGsについて考える機会になるのではないでしょうか。
村川
やはり一番ユーザーの心に響くのは経済性の部分なので、オール電化にすると光熱費の削減ができ、浮いたお金で家計の見直しができるというメリットは大きな訴求ポイントです。しかし、安全性や災害時の問題、環境面での優位性にも今一度注目してほしいです。特に、大分には八丁原の地熱発電所があります。とても大きい発電所で、年間売電量は約290,000世帯の一般家庭の年間電力使用量に相当すると言われています(当社モデル家庭:契約容量30A・使用電力量250kWh /月)。その他にも水力、火力発電所も多く、全国的に見ても注目を集めています。だからこそ作る側も使う側も積極的にCO2の削減に取り組んでほしいです。
佐藤
これまで「コンセントをこまめに切りましょう」「ゴミは分別しましょう」などと言われてきました。今回の話を聞き、想像以上に地球環境は非常に切迫していて、オール電化にシフトさせたり、個人の意識をより高めていかないといけないと感じました。今こそ家庭のアクションプランが必要です。
村川
我々も脱炭素社会の重要性についてもっと発信していきます。講演会でも弊社の取り組みをお話することも多いですが、まだまだ充分に伝えられていない部分が多いと感じます。しっかり理解してもらうためにも、繰り返し発信していく必要があると思っています。
佐藤:
これまで、自分なりにSDGsについて学んできていたつもりでしたが、スケール感がなかなかわからず、自分サイズで考えることができていませんでした。今回の話をきっかけに、自分の行動が家族や子どもたちの未来に直結するというイメージが湧き、違う角度から電気の大切さを知ることができました。
村川
昔はゴミの分別もしていませんでしたし、家でゴミを燃やしていた家庭もありました。近年、社会全体が環境を考え、暮らしのあり方が少しずつ変化してきました。今後はもう1歩踏み込んで何ができるかを考えていきましょう。省エネも1つの取組みですが、少しでも早くIHや電気給湯器を使うオール電化を検討してほしいと思います。これは未来を担う子どもたちにつなぐバトンです。だからこそ電気を作る側でもも、CO₂を抑える努力をし、自然エネルギーを増やしていくというシナジーが生まれれば良いですね。