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女性の働き方を考えるトップ座談会<br>vol.1(後編)

2024.05.28

女性の働き方を考えるトップ座談会
vol.1(後編)

前編・後編にわたってお届けする、県内企業3社とママのままプロジェクト代表の佐藤宝恵による、女性の働き方を考えるトップ座談会。後編では、注目が高まりつつある「男性の育児休業」や「女性管理職」にフォーカス。各社の取り組みを紹介するとともに、女性活躍推進のために今できること、大切にしたい想いについて語り合います。

前編はこちら

各社の「男性育休」の状況と
取得しやすくなるための施策とは?

ママのままプロジェクト 佐藤(以下、佐藤(宝))
2021年の育児・介護休業法の改正により、企業では男性社員が育児休業を取得しやすい環境を整備し、出産予定の申し出があった従業員に対しては、育休制度の説明をするよう義務化されました。さらに2022年10月からは出生時育児休業(産後パパ育休)が創設されました。皆さんの会社では、男性社員が育休を取得したケースはありますか。取得までのフローをはじめ、実際の取得日数などを具体的に教えていただけますか?

株式会社 豊後企画集団 佐藤(以下、佐藤)
男性社員の中で、育休取得者はまだおりませんが、過去には、子どもが生まれてから8週間以内に、最長4週間の育休を2回に分割して取得できる国の制度「産後パパ育休」は1名取得実績があります。今後も取得予定の社員がいますね。



佐藤(宝)
会社側は、男性社員のパートナーが出産を控えていることをどのようにして知るのですか?

佐藤
社員とは業務以外の話をする機会が多く、中には彼氏や彼女ができた場合に報告してくれる社員もいます。また、社員が結婚するときには、私とその夫婦で食事の機会を設けています。そういった背景もあり、自然と社員一人ひとりのプライベートもある程度把握できているのかもしれません。

佐藤(宝)
不動産業界は営業成績が出世やキャリアアップに直結するイメージもありますが、長期休業による営業成績のダウンを恐れ、育休を取得しない人もいるような気がしているのですが。

佐藤
「産後パパ育休」を取得したのは、賃貸の部署で働く役職者。主に店舗運営に携わるマネジメント業務を行っています。個人で営業売り上げを伸ばすのではなく、皆の士気を高めながら目標金額の達成を目指す彼の業務内容も育休の取得しやすさのひとつだと思います。役職のついていない社員たちにも取得を促し、気兼ねなく育休が取得できる環境を目指しているところです。第一交通さんとドコモさんはいかがですか?

大分第一交通株式会社 早瀬(以下、早瀬)
弊社の場合、育休制度は整備されていますが、実際に取得した男性社員はいません。というのも、男性社員の平均年齢が60代。育児に関わるとすれば孫のお世話ぐらいで、自身が当事者として育児をしている人が少ないのが大きな理由です。もちろん女性乗務員で産休・育休を取得した者はいますし、男性も取得しやすい環境ではあると思います。



株式会社ドコモCS九州 大分支店 原野(以下、原野)
2022年度は30日間育休を取得した男性社員がいました。取得期間は人それぞれですが、取得までのフローは、パートナーが出産を控えている男性社員からパートナーの妊娠報告を受け次第、まずは総務部長からお祝いと育休取得の案内等を連絡し該当社員とその上長で会社の制度等を含めた面談を行います。その後、本人の育休取得の意思を確認し、産休育休による不安払しょく、今後のキャリアの意識づけを目的とした面談(産休育休前面談)を実施するなど、安心して育休取得をできるようなフローとしています。また、社内報で育休を取得した男性の体験記が掲載されることも多く、全社的に育休を取得しやすい雰囲気があると感じます。

女性の働き方を考えるトップ座談会<br>vol.1(後編)

女性社員が管理職として
イキイキと働く会社を目指して

佐藤(宝)
近年、「女性社員が管理職になりたがらない」という声が聞かれます。確かに、管理職になる頃は、子育て真っ只中という女性が多く、仕事と育児の両立への不安から、打診されても断る人が多いそうです。皆さんの会社には、女性管理職はいらっしゃいますか?

佐藤
女性管理職は多い方だと思います。賃貸管理の部署は3人中2人が女性ですし、総務・経理はどちらも女性です。そもそも、全社員の7割が女性なので、必然的に女性管理職が多くなりますね。

佐藤(宝)
社内でどのようなステップを経て管理職になるのですか?

佐藤
2年ほど前からプレゼンテーション形式を取り入れています。例えば、昇進させたい、昇進したい社員がいれば、推薦する上司や本人が資料を作って私にプレゼンします。そして認められれば、役職が与えられます。女性のキャリア形成は、あまり堅苦しく考えすぎない方が良いと考えています。人生は思い通りに進まないもの。「不安かもしれないが、あなたならできる。とりあえずやってごらん」と背中を押し、自信を持たせるようにしています。年齢や性別に関係なくチャレンジできる、ステップアップしていける環境が大事だと思っています。

お部屋ラボ事業部 光吉店 兼 大分大学前店 店長代理


原野
プレゼンスタイルは面白い取り組みですね。先ほど佐藤(宝)さんがおっしゃったように、管理職になる頃と育児のタイミングが重なることが多いのではないかと感じています。管理職への不安を抱いている女性のために、課長になったばかりの女性だけを集めた「メンタリングプログラム」という研修を実施しています。管理職にどのように向き合えばいいのか、部下を上手にマネジメントする方法など、女性管理職なりの悩みや不安にアプローチするプログラムです。私たち組織長と女性5〜6人が一緒になり、ディスカッションを重ねながら悩みを解決していきます。



佐藤(宝)
女性のライフスタイルやライフステージは十人十色です。彼女らの疑問や悩みに対して“名答”は見つかりづらいのは当たり前。ドコモさんの「メンタリングプログラム」のように、たくさんの方の経験談を聞くことによりロールモデルを見つけることができれば、不安が払拭されますよね。

原野
「メンタリングプログラム」は、女性たちの不安を和らげ、挑戦を後押しする大切な機会です。参加者は、「みんなに悩みや不安を打ち明け、共感してもらえただけですごく楽になった」と満足しているようです。こういった経験を繰り返していくと、次第に考え方が変化して自信につながり、管理職として高いモチベーションで仕事に取り組むことができるのです。

ドコモ講演会の1コマ


早瀬
自分が抱えている悩みに共感してもらう機会をつくることが、女性管理職を増やすヒントかもしれませんね。弊社にも「管理職登用制度」があり、管理職になる場合は、本社で試験や研修を受ける必要があります。ただ、これまで多くの社員を見てきて感じたことは、「管理職になるには自らの強い意志で臨まないといけない」ということ。意外にも、弊社では、他薦で管理職になった人は退職したり、管理職を降りて乗務員に戻るケースがほとんど。自ら手を上げ管理職になった人は、管理職としてどんどんキャリアアップしている印象です。

大分第一交通の女性乗務員


人間は感情の生き物なので頭では分かっていても「情」がついてこないと動きません。いかに心に刺さる「生きた言葉」で表現し「情」を動かすことができるか。が重要だと考えています。


私のスケジュールをPCにて共有しています。社員との時間を作り、個々の相談や部門別の状況を聞いてコミュニケーションを増やし、職場環境の改善を行っています。


飲み会よりも、ゴルフや街中ウォーキング会、ハイキングなどを企画して、屋外で体を動かしながら会話したいタイプです。自然の中に身を置くと同じ目線になり、気持ちもオープンになります。

社員が活躍し続けるための
経営者の使命とは?

佐藤(宝)
では、最後に今回の座談会の感想や今後の展望などを教えていただけますか?

佐藤
私たち経営者の使命は、社員たちが自分の殻を破る刺激を与えることだと思っています。早瀬さん、原野さんの話も大変参考になりました。いつも同じメンバーばかりで話していると、視野が狭くなってしまいがちです。今回の座談会にお呼びいただいて皆さんとお話したことで、私自身の幅も広げることができました。今後の会社づくりに役立てていきたいと思います。

早瀬
管理職になることが全てではありませんが、「管理職として頑張りたい」と思ってもらうこと、「管理職になりたい」と目標を掲げている女性のスキルをさらに高め、サポートし続けていきたいですね。本日はありがとうございました。

原野
弊社も育休や管理職登用など、制度は充実していると感じていますが、取得者数を考えるとまだまだ少ないと感じました。管理職に関しても、皆さんのお話の通り、どんどん背中を押して、新たな世界に飛び込んでもらうことが大切ですね。全国のロールモデルを例に、不安を和らげることで管理職になりたい女性を増やしていかなければいけないと感じました。本日の話を踏まえて、働く従業員の意欲をかき立てるようなコミュニケーションを図っていきたいと考えています。本日は、参考になるお話をありがとうございました。

佐藤(宝)
皆さま、本日はありがとうございました。会社独自の取り組みについてたくさんお聞きできてよかったです。皆がストレスなく働き続けるためには、制度や環境を整えるだけでなく、会社側と社員、社員同士のコミュニケーションが大切だと改めてわかりました。今回の座談会を参考に、「ママのままプロジェクト」は、今後も大分県の女性活躍に関する情報やママに役立つ情報を届けてまいります。今後ともよろしくお願いいたします。

女性の働き方を考えるトップ座談会<br>vol.1(後編)

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