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男性育休経験者が語る”育休のリアル”

2024.10.01

男性育休経験者が語る”育休のリアル”

日鉄ソリューションズ九州は、誰もが働きやすく、働き甲斐のある会社を目指し、さまざまな取り組みを推進しており、プラチナくるみん認定や県(福岡県・大分県)からの表彰歴があります。 そして、近年は、男性社員の育休取得促進に積極的に取り組んでいます。今回は、実際に育休を取得した男性社員3名と男性育休取得促進に向けた施策を推進する人事労政担当者(育休取得経験あり)の4名で座談会を開催しました。 そして、5人のお子さんの父親であり、育休を取得した経験もある、タレント・つるの剛士さんが、座談会に参加しました!(*) それぞれの育休を振り返りながら、育休中の苦労や育休後の家庭・仕事での変化などについて語り合いました。

(*)九州朝日放送の特番「つるの剛士のパパが育休取りました」の取材が入り、特別ゲストとして、つるの剛士さんが参加されました。








はじめに

加藤:
当社は男性育休の取得促進のため、「男性取得推進リーフレット」を作成し、育休制度の概要やQ&A、取得者の経験談などを掲載し、周知しています。また、育休取得経験のある私が相談窓口も担当していますので、経験を踏まえたアドバイスができる体制を整えています。このような取り組みにより、2023年度の男性育休取得率は87.5%まで上昇しました。
今回は、つるの剛士さんをお迎えし、それぞれの経験談を語り合えたらと思っています。まずは、取得のきっかけや取得期間について教えてください。


育休を取得したきっかけは「妻と一緒に子育てをしたい!」

諸隈:
大きなプロジェクトのリーダーを務めていたこともあり、産後すぐには取得しませんでした。でも、最終的には職場の皆さんの理解やチームメンバーによる仕事のフォローのおかげで合計4ヶ月(2回に分割して取得)の育休を取得できました。プロジェクト案件を延期させてもらえたのも取得に踏み切れるきっかけとなりましたね。

小森:
産後パパ育休と合わせて合計3ヶ月取得しました。妻の家事・育児の負担軽減が大きな目的でしたが、わずかな新生児の期間を夫婦2人で楽しみたいという気持ちも大きかったです。育休期間はやることが多くて、あっという間に過ぎてしまった感じですね。

福元:
育休を取得しようと思ったのは、初めての育児だったため、1日でも子どもの成長する姿を見逃したくないという強い思いがあったからです。お互い両親が遠方に住んでいるため、気軽に頼れる人がいなかったので、夫婦でしっかり協力して取り組んでいきたいと思いました。取得期間は1ヶ月です。

つるの:
僕自身も4人目が生まれたのをきっかけに育休を取得した経験があります。以前から育休を取りたいと思っていたものの、レギュラー番組もたくさん抱えていましたし、事務所から反対されるだろうと感じていました。そんな中、2009年の「ベスト・ファーザー賞」受賞式会場でいきなり育休を宣言したんです。 関係者を慌てさせながらも、仕事の調整を進め、2カ月の育休を取得しました。
今日は皆さんといろんな育休エピソードをお話できるのを楽しみにしていました!なにか苦労したことや工夫したことはありましたか?

福元:
妻の妊娠がわかってから、食事は私が担当するようにし、妻の身体によさそうなものを中心に作るように心がけました。出産後は、寝かしつけ、ミルクを飲ませるなどを担当しましたが、沐浴だけはうまくできませんでしたね…。小さな子どもを育てながらの家事はワンオペでは難しいので、日頃からなるべく早く仕事を終わらせて帰宅したり、会社の制度を活用して在宅勤務をすることで、子どものお世話ができるような環境を整えています。在宅勤務中の休憩時間に子どもの顔を見られるのが癒しのひとときですね。

小森:
家事はもともと分担していたので、子どもが産まれても、そのまま変えずにいこうと妻と話していました。2人で育児を分担できるだけで、お互いにかなり楽になります。子育ては何もかもが初めての経験だったので、インターネットで調べたり、知人に聞いたり、試行錯誤の毎日でした。頭で理解しているのと、実際にやってみるのはやっぱり違いますね。福元さんと同じで、子どもをお風呂に入れるのは大変だと実感しました。

育休中は子どもより、妻が優先!?

つるの:
男性の育児参加が当たり前になってきて、世の中の育休取得率も上がっているという声を聞きます。ただ、中には正直、「自分の思い出づくりのために取得してみよう」という気持ちで取得するパパも増えているのではないかと気になっています。中途半端な気持ちでパパが育休をとったために、ママの負担が増えてしまうという場合もあるそうです。僕の場合、育休中は子どものことよりも、あえて妻のことを第一に考えるようにしていました。皆さんが育休中に気をつけていたことはありますか?

諸隈:
つるのさんの言う通り、 “思い出づくり”ではなく、「しっかり家事・育児を一緒にしよう!」という意識を持ちながら過ごすようにしていました。家事・育児をするようになって感じたのは、「家事や育児を頑張っても、誰かに評価してもらうのは難しい」ということや、妻に対して常に感謝の気持ちをもって、「ありがとう」と言葉にして伝える大切さですね。

つるの:
そうですね。仕事は給料というかたちなど評価が見えやすいですが、家事・育児はやって当たり前みたいな考えもあるのか、なかなか褒めてもらえません。そんな中、僕は当時、自分で作ったお弁当や娘のヘアアレンジをSNSで発信していたのですが、誰かから「いいね」をもらえることがとても嬉しかったのを覚えています。

加藤:
私の場合、半々の割合で出社勤務と在宅勤務をしています。出社の際は、ほぼ毎回、家を出る時間と帰る時間を同じにするようにしています。こうすることで、共働きの中、夫婦で分担する育児や家事の内容もある程度固定化できるので、効率よく協力できていると感じています。その分、出社時間を早めたりして、業務に影響がでないような工夫をしています。

福元:
我が家は、分担内容を明確にせずに、気づいたほうが家事・育児をするスタイルですね。一緒に家事をする中で、やはり、洗濯ひとつにしても順番や洗濯物の畳み方などに妻のこだわりがあることが分かりました。まずは妻のやり方をしっかり学んで、いつでも替わりができるように心がけました。




協力して育児をすることで、家庭も円満

つるの:
今、振り返ると、1人目から3人目までの子育てにおいては、僕は積極的にかかわることができていなかったですね。その反省もあり、4人目からはもっと子育てに向き合っていこうと思って育休を取得しました。家族が仲良く過ごすためにも、やっぱり1人目から育休は取っておいたほうが良いと思いますね。

小森:
世の中的にも「男性が家事・育児を手伝う」のではなく、家事と育児は夫婦で一緒にするものというのが当たり前の流れになってきています。そんな中で、育児にしっかり専念できたのはよかったです。子どもはどんどん成長するので、育児への向き合い方もアップデートしていかないといけませんよね。

諸隈:
そうですよね。子どもは日々成長するので育児の大変さもそれに合わせて変わってきます。私の場合は、コロナ禍で出産に立ち会えず、産後しばらく経ってから育休を取得したので、妻の子育てスタイルに追いつくのが少し大変でした。

福元:
諸隈さんのおっしゃる通り、子どもと毎日触れ合っていると、1日ごとにいろんな成長を感じさせてくれるので、可愛くて仕方ありません。つるのさんは、奥様やお子さんに対して育休中に意識していたことはありますか?

つるの:
実は僕、「育休」という言葉自体あまり良い言葉じゃないなと思っています。育児をするための休業ではないんですよ。「男性の家庭訓練」と名前を変えた方が良いぐらい!「育休」は家族の基盤をつくる期間。子どものお世話ばかりしていたら、家庭は回っていきません。子どものお世話するのは夫婦なので、まずは夫婦関係をしっかりつくり上げてこそ、初めて“良い子育て”ができると意識していました。

諸隈:
なるほど!妻にひとりの時間を安心して取ってもらうためには、自分が早く「頼られる存在」になろうと思いました。飲食管理に始まり、おむつ替え、昼寝、外遊びなど、1日のル-ティンを着実にこなせるように体に叩き込んだんですよ。スムーズにこなせるまでには結構時間がかかり、その間妻には迷惑をかけましたが、今では一日任せてもらえるようになりました。

小森:
育休期間中は夫婦で話す機会が多い分、家事の方法や育児の考え方が異なる部分もあり、正直、喧嘩をすることもありました。でも今、考えるとそれが今の子育てに活かされていますね。最近は、妻が定期的に実家に帰る用事があるので、その時はワンオペで私が育児をしています。育休取得前より夫婦の絆はより深まったと感じます。

福元:
私の妻も、最近は子どもを任せてくれて美容院に行ったり、リフレッシュに出かけるようになりました。「あのときはありがとう、本当に助かったよ。」と言われるとやっぱり嬉しいですね。我が家も育休を取得したことで、夫婦の関係性は良くなったと思います。

育休を取得したことで、家庭も仕事もアップデート!

つるの:
育休を取得したことで、仕事面で変化を感じたことはありますか?

諸隈:
よりワークライフバランスを意識した働き方ができるようになったのかもしれません。先日上司から、「仕事のスピードが上がった。育休から復帰してから仕事のスタイルが変わったね!」と好評価をいただくことがありました。家事や育児をこなすことで仕事への向き合い方もアップデートされましたね。

小森:
私が育休を取得するにあたり、メンバーのサポートには本当に助けられました。復帰後もみんな何も変わらず受け入れてくれたことも嬉しかったです。
また、育休を取得して、子どもへの愛おしさがさらに増した気がします。平日は出張が多いのですが、早く子どもと遊びたいので、仕事が終わるとまっすぐ家に帰るようになりましたね。

福元:
私も育休から戻ってきた際、メンバーがポジティブな声かけをしてくれたのはすごく嬉しかったですね。育休を取るうえで、「みんなに迷惑をかけてしまう」という心配が大きかったので、周りの方々の声かけに救われました。育休を取りたいと思っているけれど、なかなか踏ん切りがつかない人も多いと思うので、背中を押してくれる制度や環境があるのは嬉しいですね。

加藤:
育休の取得に向けて、実際にどのような葛藤や苦労があったのが、リアルな声が聞けてとても参考になりました。それだけでなく、多少のブランクがあった後も変わらず職場で活躍できており、育休の経験が仕事のアップデートにもつながっているお話もうかがえて、推進活動を進めてよかったと感じました。




社員みんなが育休取得しやすい環境づくりを

小森:
当時、私の所属するグループには育休を取ったメンバーがいませんでした。私が1人目だったのですが、一つ実績ができ、私自身が相談にのることもできるので、周りの社員も育休を取得しやすくなったのではないかと思います。

諸隈:
とはいえ、育休を取得したいけれど、後ろめたさを感じる社員もまだまだ多いと思いますので、男性社員が育休を取るのが当たり前という雰囲気をつくっていくことが大切ですね。子どもが生まれる社員がいたら、上司やチームのメンバーから積極的に社員の育休取得に向けて調整していくような空気づくりができたらベストですね。

小森:
社内に育休相談窓口があるので、制度について詳しく教えてもらえます。私もまずは窓口に相談したのですが、それがスムーズな育休の申請につながったと思っています。諸隈さんがおっしゃるように、チーム全体として積極的に業務調整に向けた動きができれば、今後も取得者が増え、ますます働きやすい会社になると思います。

福元:
もともとは山口県で勤務をしていましたが、福岡県で勤務をする妻に子育てを任せっきりになることに正直、悩んでいました。そこで所定の要件を満たす場合に利用できる「遠隔地在宅勤務制度」を申請し、福岡県で勤務しています。フレキシブルな働き方により、仕事と家庭の両立ができるようになりました。

加藤:
育休のほかにも、妻が子どもを産む前日から14日以内に5日間取得(有給)できる「配偶者出産休暇制度」があったり、小学校3年生までの子育てのために利用できる「短時間勤務制度」などもあります。今後も、さまざまな制度や施策を検討しながら、男女とも育児に参加しやすい環境を整えていきたいと考えています。


「育休を取得したいけれど…」と悩む男性社員へ

諸隈:
後輩や部下が育休を取得したいと悩んだとき、育休取得の方法はもちろん、引き継ぎのこと、家庭での過ごし方など、適切なアドバイスができると思います。気軽に相談してくださいね!

小森:
当社は、仕事と育児が両立できる環境が整っていると思います。相談窓口の皆さんが丁寧に説明してくれるので、何も不安を感じる必要はありません。

福元:
無理に育休を取る必要はないかと思いますが、夫婦でしっかり相談をするプロセスを踏むのが大事だと思います。まだまだ世間的には、育休を取得する男性は少ないかもしれませんが、今後、どんどん理解が広まっていくと期待しています。

加藤:
今後も会社全体で「男性も育休を取得して当たり前」という雰囲気を醸成していきたいと考えています。世の中全般で当たり前になることで、男性育休の取得率や企業の推進施策が話題にならなくなる、これが本当の「定着・浸透」だと思っています。

つるの:
僕が育休を取得して15年ほど経ちましたが、みなさんのお話を聞いて、改めて社会の風潮や育休を取得する男性の考えの変化を知ることができてよかったです!貴重なお話をありがとうございました。

男性育休経験者が語る”育休のリアル”

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