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『ママ』を起点に、つながり続ける<br>多様な価値をつくる

2025.01.07

『ママ』を起点に、つながり続ける
多様な価値をつくる

2025年で8年目を迎える「ママのままプロジェクト」。大分で子育てをするママはもちろん、パパや家族、そして地域社会に向けて、役立つ情報や共感できるメッセージを発信し続けています。新年最初の記事は、代表の佐藤宝恵が、WEBサイトの運営はもちろん、毎年の恒例イベント「ままいろフェスタ」や女性の就労支援事業「マッチワーク」など、多岐にわたる活動を通して、今、感じている「ママのまま」の明日のビジョンを語ります。

ママたちが笑顔でいられるように
“体力温存”できる方法を追求する

「ママのままプロジェクト」がスタートして8年。当初は、「ママたちの力で新しいものを生み出し、世の中を変えていく!」と強い想いを持って活動していました。その想いは今でも変わりませんが、近年は自分たちだけではなく周りの人たちと協力し、より大きな力を生み出すことにシフトしているように感じます。女性活躍、仕事と家事育児の両立といった言葉は当たり前になり、男性の育児休業取得の事例も増えてきました。立ち上げ当初と比べて、社会も大きく変わりました。それでも女性が働き続けるためには、実はまだ多くの課題が残されています。

仕事と家庭の両立を目指す女性は、さまざまなものが複雑に絡み合い、体力的にも精神的に大きな負担がかかるという現実があります。睡眠不足や体調不良といった問題に直面し、体力の限界を迎えてしまうことも少なくありません。もし、ママたちが十分な睡眠をとり、体力的に余裕が生まれれば、仕事と家庭の両立はもう少し容易になるのではないでしょうか。つまり、女性が働き続けるためには、体力を温存できるような環境を整えることが大切なのです。





多くの働くママから、「土日がない」「体力を回復する時間がない」との悩みを聞きます。実際に私もそうでしたが、平日は仕事に追われ、家事、学校の準備など、やるべきことは山積み。子どもとの時間が限られてしまいます。週末は、「子どもに十分な愛情を注げていないのではないか」という罪悪感から家族のための時間に充てています。そんな状況で、体力を温存・回復するためには、何が必要なのかを意識するようになりました。

まず、家庭内での協力は不可欠です。特に、パートナーの協力度合いによって、母親の負担は大きく変わってきます。父親が家事や育児を積極的に分担することで、母親の体力的な負担を軽減することができます。昨年は、ママだけでなく、多くのパパの取材も行いましたが、誰もが“ママの負担を少なくすること”を意識していることがわかりました。


夫婦の育休 / 俺の育休 / パパスタイル / 育休座談会

次に企業=職場ができることがあります。また、多くの女性が産休・育休を取得し、復帰したものの、ワークライフバランスが保てず、3年以内に仕事を辞めてしまうケースもよく聞かれます。多くの企業で時短勤務が導入されるようになり、女性が働きやすい環境が少しずつ整いつつありますが、子どもの送り迎えなどを考慮したコアタイム制やフレックスタイム制など、さらに柔軟に働ける制度を導入するなどすれば、さらに自分のライフスタイルに合わせて働きやすくなるため、ママたちの体力温存につながると考えています。女性が企業を選ぶ際に重視するポイントは、年収やキャリアアップの機会ではありません。特に、子育て中の女性は、育児と仕事を両立できるような柔軟な働き方や、女性が活躍できる環境かどうかを重視します。



「大分県働きたい女性と企業とのマッチング支援事業 マッチワーク」の合同説明会「おしごとフェスタ」で企業の方々へお伝えしましたが、優秀な女性人材を獲得するためには、女性の従業員数や離職率、育児休業取得実績など、具体的な数値を示してほしいこと、また、正社員の採用にこだわるのではなく、はじめはパートからのスタートで「正社員登用あり」や「フレックスタイム制導入」といった、スロースタートな働き方を提示してほしいなど、子育て女性の立場からお願いしました。




Match work「おしごとフェスタ」レポート

3つ目は社会。社会の仕組みや制度が変わることも重要です。社会全体でも、女性が安心して子育てと仕事を両立できるよう、温かく見守るおおらかさが大切。ママたちでつくる「ままいろフェスタ」は、スタッフとして参加するママたちの多様性を尊重し、それぞれのペースで活動できるような環境づくりを大切にしています。成果や効率性を重視するよりも、スタッフたちの満足度が第一。完璧なイベントを開催することよりも、全員が安心して自己表現でき、互いに学び合えるような場であり続けたいと考えています。

子育て中のママが何かをはじめるということは、初めてマラソンに挑戦することに似ています。体力や時間の配分、周囲との関係性など、あらゆる課題に直面しながら走り続けています。焦らず、無理のないペースで、自分自身のペースで子育てと仕事を両立していってほしいですね。





「第7回ままいろフェスタ」開催レポート

活躍のかたちは、ひとつじゃない。
たくさんの「ママ」が自分らしく歩むために

よく「ママのままプロジェクトのターゲットは誰ですか?」と聞かれますが、女性だからといって全員が同じ価値観や生き方をしているわけではありません。「バリキャリママ」や「ゆるキャリママ」のように、さまざまなタイプの方がいますし、男性でも子育てに深く関わる方も多く、性別や経験によってひとくくりにすることはできないと考えています。

「ママの活躍」を推進する上で、しばしば“女性起業家の育成”が一つの指標として挙げられます。しかし、必ずしも「ママの活躍=起業家になってバリバリ働くこと」の方程式が成り立つとは限りません。かえって「女性起業家」という代名詞が自己肯定感を下げることにつながってしまいます。

「ママの活躍」を後押しするには、多様な価値観を持つ女性一人ひとりの想いに応え、それぞれが自分らしく主体的に生きていけるような環境を届けることです。





ママのままプロジェクトでは、「仕事と子育ての両立」といったテーマだけでなく、子育てのコラム、自己成長のためのイベントなど、あらゆる角度からコンテンツを発信しています。単なるHow toサイトとは異なり、社会の制度や企業の取り組みといったロジカルな情報と、エモーショナルな共感を呼ぶ内容が共存し、読者に多様な視点と価値観を届けています。仮に、感情に特化したコンテンツばかりが並んでいると、読者の皆さんは息苦しさを感じる可能性もありますので、役立つ情報と、心に響く物語のバランスを大切にしながら、今後も様々な情報を発信していきたいですね。


子育てコラム(1 / 2 / 3



「Will be修了式・交流会」レポート

「ママ」を起点に、つながり続ける
多様な価値観が輝く未来をつくる

先日、大分大学で「キャリア形成」をテーマに講義を実施しました。学生たちと話をすると、社会に出ること、結婚や子育てについての不安を感じ、社会全体に対してネガティブな印象を持っている学生もいました。さらに、「昨今は女性の活躍のみが取り沙汰されるので、男性差別だと感じることがある」という意見も。



しかし、学生たちは、働くことや結婚・育児をしたくないわけではありません。ただ、将来に具体的なイメージが湧かず、不安を感じているのです。そこで、ママのままプロジェクトでは彼らに、男性が育児に関わることや、ワークライフバランスを重視する働き方など、多様な生き方ができる社会になってきているということを伝えていきたいと思っています。彼らが自分の将来を主体的に決めることができるようにサポートし、安心して将来を考えられるようになると嬉しいですね。



「ママのままプロジェクト」の根底にあるのは、“きっかけをつくり、つなげる”という想い。ママたちだけでなく、パパたちにもあらゆる情報を届け、彼らが新しいことを発見したり、それに挑戦したり、新たな出会いを経験したりするきっかけをつくりたい。そして、その経験を通じて自分の人生を豊かにしてほしい。私たちが目指すのは、単に情報を提供するだけではなく、人々の可能性を広げるためのプラットフォームとして、ママを起点に多面的なつながりを生み出し、共に成長していくことです。

そのためにも、「女性の活躍」という言葉を前面に出すのではなく、“多様な人が活躍するために”に目を向け、より広範な視点で、多様な価値観を融合させ、共に新しい価値を創造していきます。



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