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女性が働きやすい会社、<br>男性にとってはどんな職場?

2026.03.24

女性が働きやすい会社、
男性にとってはどんな職場?

女性活躍推進が進み、「女性が働きやすい会社」は少しずつ増えてきました。では、その職場で働く男性には、どのように映っているのでしょうか。そんな疑問をもとに、学生と地域企業をつなぐ取り組みを行うサンバシ株式会社の協力のもと、男子学生2名が、女性活躍推進に取り組む大分市の電気設備工事会社「大和電業社」を訪問。実際に働く男性社員に話を聞きました。今回登場するのは、電気工事の施工管理を担当する衞藤拓郎さん。三児の父として子育てにも関わりながら働く日々の中で感じていること、そして女性活躍推進によって変化した職場のリアルを伺います。



家族の出来事が教えてくれた
仕事と家庭を両立する働き方

まず、衞藤さんのお仕事について教えてください。


僕は大和電業社で電気工事の施工管理を担当しています。入社して13年。現在46歳で、8歳、6歳、そして生後7か月の3人の子どもを育てています。


電気業界に入ったきっかけは何だったのでしょうか?


もともとは機械関係の仕事をしていました。職業訓練校の電気コースに通ったことがきっかけで、この業界に入りました。当時は電気の資格も経験もない状態でしたが、そのとき大和電業社の方から「一緒にやってみないか」と声をかけていただいたことが転機になりました。


大和電業社で働く魅力はどんな点でしょうか?


一番感じているのは、家庭と仕事を両立できる環境があることです。実は、子どもが生まれたときに家庭で大きな出来事がありました。長女と長男の出産の際、妻が切迫早産で長期入院することになったのです。長女のときは2か月、長男のときは4か月。仕事をしながら家事と育児を一人で担う生活でした。さらに長男には発達障害があり、学校生活や日常生活でもサポートが必要な場面が多くあります。急な対応が必要になることもありますが、そうした家庭の事情を理解してもらえる環境があるからこそ、安心して仕事を続けられていると感じています。


そのとき会社の対応はどうでしたか?


会社はとても理解を示してくれました。早めに退社させてもらったり、勤務時間を調整してもらったり、状況に応じて柔軟に働き方を変えてもらえました。「家庭のことは気にしなくていい」社長や上司がそう言ってくれたことは、今でも印象に残っています。


家庭ではどのように家事や育児を分担していますか?


役割を細かく決めているわけではなく、「できる方がやる」というスタンスです。朝は、お風呂を洗いながら洗濯機を回し、洗濯物を干して、朝食を準備します。子どもを起こして食事をさせ、学校へ送り出してから出勤します。妻は夜中に授乳していることも多いので、朝の家事は僕が担当することが多いですね。こうした生活の中で、自然と同時進行で物事を進める力、いわゆるマルチタスクの感覚が身についたように思います。施工管理の仕事も複数の工程を同時に考えながら進める必要があります。家事で身についた段取り力が仕事にも活きているのかもしれません。


家庭と仕事の両立について、考え方は変わりましたか?


大きく変わりました。以前は「男性は仕事、女性は家庭」という考え方がどこかにあったと思います。しかし結婚し、子どもが生まれ、妻の入院や子育てを経験する中で、その考えは変わりました。家庭はどちらか一方が支えるものではなく、二人で一緒に成り立たせていくものだと実感しています。


そう感じたきっかけはありましたか。


子どもの言葉がきっかけでした。妻と家事のことで少し言い合いになったとき、娘がぽつりと言ったんです。「気づいた人がやればいいんじゃない?」その言葉を聞いたとき、本当にその通りだと思いました。それ以来、「誰の仕事」と決めるのではなく、気づいた人がやるようにしています。

女性の活躍が職場の空気を変えていった

大和電業社では女性社員も増えてきていると聞きました。


僕が入社したころは、男性社員がほとんどでした。女性はごく少数だったと思います。しかし現在は、女性社員が少しずつ増えています。事務職だけでなく、管理業務などさまざまな職種で女性が活躍しています。


女性社員が増えて、職場はどのように変わりましたか?


職場の雰囲気が大きく変わりました。以前はとても静かな職場で、若い社員が質問しにくい空気もあったと思います。今は雰囲気が柔らかくなり、自然と会話も増えました。最近は事務所で音楽が流れるようになり、職場の空気も明るくなったと感じています。小さな変化ですが、コミュニケーションの取りやすさにつながっています。


採用活動にも変化があったのですか?


以前は求人広告を出して応募があれば面接をするという形でしたが、現在は採用チームをつくり、会社としてどんな人材を求めているのかを考えながら採用活動を進めています。私自身も採用に関わることで、会社づくりへの意識が変わってきました。


働き方も柔軟になってきているのでしょうか。


はい。時短勤務や柔軟な働き方をしている社員も増えています。制度の名前を意識して使うというより、必要なときに自然と利用できる環境になってきていると感じます。男性の育児休業を取得する社員も増えてきました。以前はそうした考え方自体がほとんどありませんでしたが、結婚して子育てを経験すると、家族全体で家庭を支えていく必要があると実感します。

働き方が変わると会社の景色も変わっていく

入社された頃と比べて、働き方や価値観の変化を感じることはありますか?


ありますね。たとえば育児です。以前は父親が学校行事に参加することはあまり一般的ではありませんでした。私自身も子どもの頃、父が授業参観に来た記憶はありません。しかし今は少しずつ変わってきています。私自身も子どもの行事があれば休みを取りますし、有給休暇も積極的に利用しています。女性活躍推進というと「女性のための施策」という印象を持つ人もいるかもしれませんが、実際には男性にとっても働きやすい環境につながっていると感じています。


職場のコミュニケーションで大切にしていることはありますか?


雑談ですね。雑談が8割、仕事の話が2割くらいでもいいと思っています。雑談ができる関係があると、仕事の相談もしやすくなります。実は年上の社員ほど若い人にどう話しかければよいか分からず遠慮していることも多いんです。だからこそ若い人から気軽に声をかけてもらえると嬉しいですね。


若い世代と話す中で価値観の違いを感じることはありますか?


若い社員と接する中で、自分自身も学ぶことが多いと感じています。年齢を重ねると気づかないうちに考え方が固くなってしまうことがありますが、若い世代と関わることで新しい視点を得ることができます。


今後、目指していきたいことは何ですか。


若手社員の教育に力を入れていきたいと考えています。若い社員が技術を身につけ、安心して働ける環境をつくることが大切です。また、50代のベテラン層と20代の若手層の間には世代のギャップがあります。その間をつなぐ橋渡し役として、社内の雰囲気づくりに取り組んでいきたいと思っています。

今回インタビューを通して、今まで就職活動の参考としてきた福利厚生の中で「男性としてあまりイメージが伴いづらい」と感じていた育休・子どものための時短勤務の必要性を感じました。また、実際に育休や時短勤務を行った経験のある衛藤さんのお話を聞くことで、女性のためだけの制度ではなく、会社全体として取り組むことができる制度であることを実感することができたので、非常にいい機会になりました。


初めての企業取材で緊張していましたが、衛藤さんの気さくな人柄のおかげでリラックスして対話できました。女性活躍推進が組織全体に与える好影響を知り、企業選びの新たな視点を得ることができました。特に、対話や目的意識を重視する姿勢には非常に共感しました。私も今後の活動において、常に対話と「何のために取り組むのか」という目的意識を忘れずに、主体的に行動していきたいと強く感じました。



誰かのための働きやすさが、
みんなの働きやすさにつながる

今回の取材を通して見えてきたのは、「女性が働きやすい会社」は、結果として誰にとっても働きやすい職場につながっていくということでした。子育てや家庭の事情に応じて柔軟に働けること。困ったときに周囲が自然に支え合えること。立場や世代を越えて言葉を交わせること。そうした一つひとつの積み重ねが、職場の空気をつくり、働きやすさを育んでいきます。それは制度だけで実現するものではなく、日々の声かけや理解の中で少しずつ形づくられていくものです。女性のために整えられた環境は、やがて職場全体へと広がり、誰にとっても働きやすい環境へと変わっていく——。衞藤さんの働き方は、そんなこれからの“あたりまえ“を静かに示しているように感じられました。

株式会社 大和電業社
http://www.d-yamato.jp/

協力:サンバシ株式会社
https://www.sambashi.co.jp/

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