MAMA STYLE様々なママの様々なスタイルを
ご紹介します

2018.07.31

私の経験が役に立つのなら…
「大丈夫だよ!」ってママたちに伝えたい

大鶴めぐみさん

今回のママ:
大鶴めぐみさん・40歳・由布市出身・別府市在住
(中学3年生・中学1年生・小学校4年生の三姉妹の母)

子育てママの未来創造コミュニティ!honohono place~with Mon~主宰。スリング教室や、子育てに関する講座、イベントなどを開催しながら、家庭訪問型の子育て支援のボランティア活動にも参加している。美容師の資格も持ち、自分の髪を自分でカットするというから驚き!(今日のおしゃれなヘアスタイルもセルフカット)。23歳で結婚し、25歳で第一子を出産。思春期真っ只中の三姉妹のお子さんとの葛藤の日々を、笑ったり泣いたり怒ったりしながら、今しかない時間を目一杯楽しんでいる。

大分で自分らしく生きるママたちのこれまでを綴るインタビューシリーズ。
今回は、子育てを楽しもう!をテーマに、スリング教室や子育てに関する講座などを開き、
ママたちのサポートに関する活動を精力的に行っている大鶴めぐみさんのストーリー。

赤ちゃんとの毎日があることは
当たり前じゃないと知ったあの日

大鶴さんを一言で言い表すなら「太陽のような人」。人物取材の原稿を作る際、私はいつもその人を思い描きながら文章を作成するのだが、大鶴さんに関しては笑顔しか浮かんでこない。それも屈託のない満面の笑顔。その人がいるだけで周りがパッと明るくなる。楽しくなる。そんなオーラを放っている。

自身の経験を生かし、ベビースリング(抱っこ紐)のインストラクターとして使い方をレクチャーしたり、子育て塾や講座を開いたりと、様々な活動を楽しんでいる大鶴さん。本サイト「ママのまま」のママアンバサダーとしても、現在、イベントを企画中で、その行動力には頭の下がる思いだ。

三姉妹の次女として育った大鶴さん。女手一つで育ててくれた母親に苦労をかけまいと、高校卒業後は関西にある美容専門学校へ入学。美容院に住み込みで働きながら学校に行き、勉強する毎日を送る。「校風がとても厳しい学校で、その厳しさに負けて半年後に大分に帰ってきました。大分に帰ってからは美容院で働きながら通信で美容師の資格を取りました。手に職ってよく言ったもんですよね。ほんと、身につけた技術は裏切らない! この髪、自分で切ったんですよ(笑)」。

その後、23歳で結婚し、間もなく妊娠が判明する。「実は、長女の前に子どもがいたんです…。今日はその子の誕生日なんです」。突然の告白に、内容がいまいち把握しきれない。頭の整理がつかない中、大鶴さんは静かに話しを始めた。

「特に問題もなく、普通に妊娠して出産までの時間を過ごしました。出産予定日よりも少しだけ早く産まれたんですけど、それも特に問題もなくて。産まれて2日くらい経って小児科の先生が赤ちゃんの診察をしている時、先生が『あれ?』って感じだったんです。酸素の取り込みが少し悪いからと、赤ちゃんは保育器に入れられたんですが、再度念入りに診察してもらったら、やっぱり酸素の供給がうまくいってないようだから一応国立の病院で検査をしてもらうということになり、私は出産してすぐだったので、主人が救急車で病院まで赤ちゃんに連れ添ってくれました。その後、主人から電話があり『どうもそんなに簡単な話じゃない。明日、北九州の有名な病院に搬送して手術をすることになった』という話で…。私も気が動転して何が何だかわからない感じだったんですけど、1時間後に主人が戻ってきて『で、どうなったの?』と聞いたら『死んじゃった…』と言われて。その子の誕生日が今日だったんです」。

初めてのお子さんを心臓の病気で亡くすというとても辛い経験をしていた大鶴さん。言葉を失った。「辛かったですね…」という、ありきたりな言葉しか出てこない自分が悔しかった。「当時はもちろん辛かったし、みんなからも心配されたんですけど、今は辛い思い出としては残ってないんです。溢れてくる涙はあるけど、それは亡くした悲しみよりも、むしろ、こうやってその子がいたことを話せることが嬉しいという思いから。あの経験を経て、義父さんや義母さんとも本当の家族になれたと思うし、何より妊娠して出産して、子どもがいる生活が当たり前じゃないって気づけたんです。だから尊い毎日を大事にしようって。過去は変えられないっていうけど、過去の思い出は何年経っても自分で変えられる。もし、今、めちゃくちゃ嫌なことやしんどいことがあって人生終わりだ!って思っている深刻なママたちがいたら「大丈夫だよ!」って伝えてあげたい」。自分の経験が誰かの役に立つなら…。ママたちをサポートしたいという今の活動のきっかけとなる経験だった。

大鶴めぐみさん

抱っこしているのは〝命〟
育児が楽しくなる手助けができたら

程なくして、長女がお腹に宿り、無事に誕生した時にはこの上ない幸せな空間に包まれた。その2年後には次女も誕生。「次女が産まれ、小児科の先生に診てもらったら心雑音がすると言われ、心臓に血を送る血管が細いということが判明。なるべく負担をかけないほうがいいと言われて、泣かせないようにしないと…と思ったんです。布団に寝かせるとすぐに泣く子だったので、なんとかしたい!とネットで調べていたら、スリングというものを見つけたんです。当時はまだ今みたいに知られていなくて、スリングに入れると両手も空くし、すぐ寝てくれると書いてあってこれだ!と思ってすぐ西松屋に買いに行って、見よう見まねでスリングに赤ちゃんを入れたら、泣き止んで寝てくれたんです。それでスリングのことをもっと知りたいと、大分でスリングサークルを探して参加したのがこの活動のスタートです。

子どもが大きくなるにつれ、参加者も減りサークルも休止に。それで10年前に自分でスリングサークルを立ち上げました」。当初は、我が子の負担を減らすため泣かせたくないという一心でスリングを使っていた大鶴さんだったが、関西でスリングの活動をしている辻直美さんのブログを見て、考え方が一転した。

「大分でスリングのことをきちん教えてくれる場所がなかったので色々調べていたら、辻直美さんのブログにたどり着いたんです。半身麻痺で車椅子で生活している女性が赤ちゃんを産んで、その方にスリングの使い方を教えに行ったという内容でした。それまではきっと膝の上に赤ちゃんを乗せていたのだと思うんですが、使える方の体にスリングをかけて、赤ちゃんを胸の前でスリングに包んで、抱いてもらったそうです。そうすると女性は赤ちゃんをぎゅっと抱きしめて『これが命の重さなんですね。初めて我が子を抱っこしました』と言ったそうです。それを読んで涙が溢れました。私が1年間抱っこしていたのは命だったんだって。便利な育児グッズじゃなくて、命を感じる抱っこ紐なんだって気づいて、ママの育児が楽しく、あったかくなるお手伝いができたらなぁって思ったんです」。

大鶴めぐみさん

ボランティアを通してママに寄り添う
お金にはかえられない経験が何よりの報酬

海外でスタートした「ホームスタート」というシステムをご存知だろうか? 研修を受けたボランティアが家庭を訪問して傾聴し、共に家事・育児をしながら親に寄り添って支援する活動で、大分県内でも、この活動を行っている市町村がある。大鶴さんも、別府市でボランティアとして活動している。

「地域で孤立しがちなママをひとりにさせないため、研修をしたホームビジターが家庭におじゃまして、ママたちの話を聞いて、一緒に家事や子育てをしたり、おしゃべりしてコミュニケーションを取りながら、ママの小さな困りを一緒に解消していくという活動です。ホームビジターの中には祖母世代のベテランの方もいて、一緒に料理を作ったり、一緒に赤ちゃんをお風呂に入れるこ
とも…。最初は心を閉ざしていても、何度か訪問して一緒に過ごすようになると悩みを打ち明けてくれたり、心に余裕が出てきたり、気分が晴れやかになって笑顔が見えるようになります。原則として育児経験のある人が講座を受けてビジターとして活動できます。お母さん同士だからできる支援。お母さん同士だから気持ちもわかるし、またおばあちゃんのような存在の人がきてくれると安心感もあります。この活動で救われたママが、今度はその経験を生かしてホームビジターになって活動を始めることも。様々な年齢層の人がいて、ボランティア活動をしながら、私も助けられ、本当にいい活動をさせてもらっているなと実感しています」。

働く=報酬や地位、実績を求めがちだが、大鶴さんにその価値観は当てはまらない。

「主人は、お金稼いで!って思っているかもしれませんよね(笑)。そんなお金にならない活動をしている私をずっと見守ってくれている主人にはとても感謝しています。メリットや損得を考えて動きたくないというのがあって。そうすると、いろいろ口に出せなくなる気がするんです。だったら楽しくやりたいし、子どもたちが私の背中を見ることで、のびのびと未来を選択できる人になってほしい。講演会などの時は、子どもたちにもお手伝いしてもらう機会があるんですけど、多くの大人に出会うことで知らないうちに彼女たちが学んでいることがたくさんあって、それはお金にはかえられない経験と思うし、私にとってのお給料だと思ったら何より価値のあるものだと感じます」。

大鶴めぐみさん

私の人生に〝母親〟という一章があるだけ
だから、今を楽しみたい!

辛いことがあっても、その経験を糧に、歩き出す力に変える。根っからのポジティブ思考はどうやって大鶴さんに根付いたのか?「女に勉学はいらん!っていう田舎で育った母はとにかく学ぶことが大好きでした。でもそれを活かしきれなかった母はバックパッカーで外国を訪れました。私たち姉妹が小学生くらいの時、外国を見せたいと言って、2週間海外旅行に連れて行ってくれたり、60代後半でいきなり仏師に弟子入りしようとしたりする母なんです」。そんな活動的なお母様は本も大好きで、ある日「愛少女ポリアンナ物語」という一冊の本を手渡してくれた。逆境に立たされた主人公が、日々「よかった探し」をしながら逞しく育っていくという物語だ。「学生時代から嫌なことはたくさんあったけど、ま、いっかって思える性格だったかもしれません。落ち込むけれど、落ち込んだところにどっぷり沈みこまないでいれたのは、私の中にも〝よかった探し〟が染み付いてたのかもしれません」。

最後に自身の子育てについて聞いてみた。「私はその子を綿毛の中ぬくぬくと育てたい…とは一切思ってないんです。社会に出れば理不尽なこともたくさんあって、納得いかない経験をすることも必要だと思っています。だから、子どもたちが『早く家を出たい!』と思う家であってもいいと思っています。それは自立への第一歩だと思うから。帰りたくない家にしたくないけど、出たくなる家であっていいと思っていて、しんどい時に家族を思って帰れる場所でありたいです。思春期真っ只中の3人なので、頻繁にぶつかることもあるけど、私とこの子は違う人間なんだと気付いた時から一歩引いて見れるようになりました。だから、一人の女性として相談してもらえる存在でありたいです。子育ての時間はあっという間。自分の人生の中で、子育ての時間が終わったらそれは大鶴めぐみの第一章が終わっただけで、第二章、三章と続いていくんですよね。子どもが巣立った後も自分の人生はずっと続くから、そこで完全燃焼するんじゃなく、ペース配分して自分の人生を組み立てていきたい。だからこそ、今しかない母親という時間も楽しみたいです!」。

大鶴めぐみさん

子育てママの未来創造コミュニティ!honohono place~with Mon~
https://ameblo.jp/honohono-biyori/

ホームスタートジャパン
http://www.homestartjapan.org/

この記事のライター:安達博子

「天真爛漫という言葉は彼女のためにあるのでは?と思うほど常に笑顔の大鶴さん。その笑顔の裏には辛い経験があったことなど想像もつきませんでしたが、だからこそ、芯の強さと明るさを持ち合わせているんだと感じました。イメージ的に子どもを怒ることはないんだろうな…と思いきや「怒りますよー!! ただ、自尊心を傷つけることだけは言わないようにしてます。それ以外なら結構言いますよ(笑)」と、理不尽な喧嘩も多いとかで、私も同じだと安心。過去最長の2時間半のインタビューで、書きたいことは山ほどあり全部紹介できないのが残念ですが、全ての経験が今の大鶴さんに繋がっているという、人生の不思議を感じます。人間臭くて、一途で、何より心の絆が大切で、やりたいことにまっしぐら!な、熱い心を持ったママでした。ママアンバサダーとしての今後の活躍も楽しみにしてます!

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