MAMA STYLE様々なママの様々なスタイルを
ご紹介します

2018.10.12

子どもの気持ちを尊重しながら
ママはママ主役の人生を楽しんでほしい!

吉田由花さん

今回のママ:
吉田由花さん・32歳・大分市出身・大分市在住
(6歳・4歳・2歳の3姉妹の母)

子どもと共に育つ気持ちで、大人も子どもも人生の主人公になれるように…。そんな思いを込め、講演会や子育て相談などの活動を行う「さんく~cinq」を昨年4月に設立。別府大学短期大学部初等教科を卒業後、幼稚園に就職し、現職中にモンテッソーリ教育の教員免許を取得。出産を機に幼稚園を退職し、現在は三姉妹の子育てを楽しみながら、幼稚園教論時代に学んだ子育てでの気づきを伝えている。一方で、ママ達がやってみたいことにチャレンジできるサークル「くじさんじ」も設立。漁師のご主人をサポートしながらも、自然に恵まれた環境の中で子育ての時間を謳歌している。また「ママのままプロジェクト」のママアンバサダーに新加入し、今後の活躍が楽しみだ。

大分で自分らしく生きるママたちのこれまでを綴るインタビューシリーズ。
今回は、三姉妹のママでもあり、心に寄り添う子育てがしたいと願うママ達をサポートする「共育コンシェルジュ」として活動する
吉田由花さんのストーリー。

働くことへの罪悪感を取り除いてあげたい
一通の熱いメールから繋がった縁

本サイト「ママのままプロジェクト」が始動して以来、様々なご意見を頂戴する。その中で、熱いメッセージを送ってくれた一人が吉田さんだった。ママを対象とする講演などを行っている彼女は、活動を通して常に感じている思いを綴っていた。

「働くことの後ろめたさ。保育園へ預けることの罪悪感。子どもとの関係への不安。自分らしくいることの罪悪感。子育てと家事の両立などの話を、参加者の方からよく聞きます。確かに、働くと子どもと過ごす時間は少なくなりますが、頑張っているママの姿は子どもにたくさんのことを伝えていると思いますし、少なくても一緒に過ごす時間を大切にすれば全然問題はないと思います。ママが自分らしく笑顔で輝く為にも、働くことへの不安、子どもへの罪悪感を取り除いていけたらな…と常に思っています」。

メールの一部を抜粋したが、ママたちに対する愛がたくさん詰まっていた。その胸の内を直接聞きたいと、早速会いに行った。
 
佐賀関の海岸線から少し山手に登った、高台のご自宅におじゃました。澄んだ空気、広い庭、メダカやニワトリなど様々な命が育まれるのびのびとした環境は、子育てには最高の場所だった。「こんにちは!」。こぼれ落ちそうな大きな瞳が印象的な、すらりとした美しい女性が出迎えてくれた。メールをくれた吉田さんだ。毎回、このコーナーの取材をするたび思うのだが、登場してくれるママはいつもキラキラしていて、お世辞抜きでみんなキレイ…。本当に不思議だ。

吉田由花さん

子ども主体の教育を学び、私の世界も広がった

別府大学短期大学部初等教科を卒業後、モンテッソーリ教育を行なっている大分市内の幼稚園へ就職し4年間勤務。その間、働きながらモンテッソーリ教育の教員免許を取得するため、広島に通いながら勉強し免許を取得。25歳での結婚を機に幼稚園を退職し、翌年長女を出産した。ここで、モンテッソーリ教育について簡単に説明しておこう。将棋界の天才・藤井聡太四段が幼児期に受けた教育として注目を浴びたので、ご存知の方も多いかもしれない。イタリアで最初の女性医学博士の一人、マリア・モンテッソーリによって開発された教育法で、大人が手出しをしてコントロールするのではなく、生まれながらにして誰しもが備えている『自分でやってみたい!』『できるようになりたい』という子どもの自発的な思いや行動を尊重し、責任感と思いやりをもった自立的な人間、一生を通じて学び続ける姿勢をもった人間を育てることを目的としている教育だ。

「大学で教えてもらった価値観で幼稚園に就職したので、あれ?それとは違うな…、と思いました。子ども主体の関わり方や視点を勉強することで、私自身の世界も広がりました。幼稚園で子ども達と関わる中で、可能性がどんどん広がっていく無限のパワーを目の当たりにして、感動すら覚えました。そして、間違えることも大切だということも学びました。教える立場の私が、逆に子ども達に色々なことを教えてもらった気がします」。この学びが、今の吉田さんのベースになっている。



その経験は今の吉田さん自身の子育てにも反映できているのか、質問してみた。「モンテッソーリを学んでて良かったなと思うのは、子どもと同じ目線で楽しめることですね。日常生活の中で、例えば大人がスボンをパパッと履かせてしまえば楽なんですけど、それをせずに、見て待つことができるか?ですよね。この前、4歳の娘がお茶碗を洗いたいと言うのでお願いしたんです。時間もかかるし、お茶碗を割りそうでハラハラするし、私がやった方がもちろん早いんですけど、そこは何もしないで見ておこうと、じっと我慢。この前読んだ本に書いていたことがとても印象に残っていて。私たち大人は、何をしてあげるか?じゃなくて、何をしないか?を選択するべきだと。その通りだと思いました。思い返せば、私たちも子どもの頃は不器用で、一生懸命やっても時間がかかったし、たくさんの失敗をした。いきなり大人になってできるわけじゃなくて、失敗や時間を重ねてそこからたくさんのことを学んで、今があるんですよね。だから子ども達ができないのは当たり前なことなんです。大事な経験を子どもたちにさせず、答えだけを渡してもいいのか?と考えます。私の常識は、もしかしたらその子にとっては非常識かもしれない。その価値観は子どもが自分で見つけるべきだから」。本当にそうだ。たくさんの失敗や挫折を経験したからこそ、今の自分がある。でも大人の私たちは、子どもたちが失敗しないようにと先回りして、答えを与え、もし失敗したなら「だから言ったでしょ!言わんこっちゃない」と言う。転ばぬ先の杖を、良かれと思って差し出す。転んでもいい、転んだ後、どうやって起き上がるかを教えてあげるのが、私たち大人の役目じゃないだろうか。吉田さんの話を聞いて、今までの自分を猛省した。

吉田由花さん

二度の流産から私を救ってくれた場所
今度は私がその存在になれたら…

子どもが大好きだった吉田さんにとって、幼稚園の教員はまさに天職だった。“漁師になる”というご主人の夢をサポートすべく、佐賀関に移住することを決意していた吉田さんは、結婚を機に幼稚園を退職することを選んだ。でもそれを後悔することはなかった。逆に、新しい環境でチャレンジすることを楽しんでいた。

「確かに、辞める時は寂しかったですが、迷いはなかったですね。主人は、2年間、漁師の弟子入りをして漁業を学び、結婚を機に漁師として独り立ちしたので、結婚当初は経済的には厳しかったけど、その暮らしも楽しかったし不安もありませんでした。好きなことには一直線な人なので、今、好きな仕事ができている主人はのびのびしてます(笑)。素潜り漁なんですが、天候が悪かったり風が強い日は仕事はお休みのはずなのに、他の漁に行ってるので、よほど漁師という仕事が好きなんだと思います。釣ってきた魚は自分でさばくし、仕事以外の時間は家のリフォームや畑仕事をしたり、子ども達とニワトリの世話をしたり、生きる力に溢れた人なんです。子ども達も生命力が強い人間に育って欲しいので、父親の姿は彼女たちにとっていい見本になっていると思います」と吉田さん。都会では得られない経験を子どもと共有できる環境は、心の豊かさを育む、何にも変えがたい人間教育の場だと思う。それが自宅でできているなんて、本当に羨ましい限りだ。そして、お互いを尊重し合う夫婦の関係は、子どもたちにとって、コミュニケーションを学ぶ最高のお手本になると思う。



はたから見れば、誰もが羨む絵に描いたような理想の家族だ。しかし、ここにたどり着くまでには、色々なことがあった。長女を出産後、二度の流産を経験。その後、吉田さんは塞ぎ込み、家から一歩も出られない時期もあった。SNSで発信される幸せな家族を疎ましく思い「なんで私だけ」と自分を責めた。そんな吉田さんを救ったのは、公民館や子どもルームなどで開催されていたサークル活動だった。そこに参加することで、落ち込んだ場所から一歩踏み出す勇気をもらった。自分と同じように苦しんでいるママに、今度は私が手を差し伸べることができたら…。そんな思いから「さんく~cinq」を立ち上げ、子どもルームのボランティア講師としての活動を始めた。そんな中、もっと吉田さんの話を深く聞きたいという声が上がり「こそだてわくわくお話し会」を開催することになり、どんどんと活動の輪が広がっていった。

「多くのママの話を聞いていくうちに、お母さんたちが子どもたちの影に隠れている気がして…。『お母さんも主役でいいんだよ!好きなことやってみようよ!』と思って始めたのが『くじさんじ』というサークル活動なんです。9時から3時は、子どもたちが通園通学で不在だったり家事の落ち着くママ達の自由な時間。一人で踏み出すには勇気がいるけれど、みんなで一緒にだったら怖くない。ハンドメイドが得意なママや、やってみたいことがあるママもいて、学園祭みたいなノリで楽しく活動してます。やりたいことを出し合って、ワークショップを開催したりしながら形にしていくことで、ママ達の自信に繋がれば…。参加しているみんながいつか一人で歩き出した時、この活動がゴールを迎えるのかなって思っています」。

吉田由花さん

生きてるだけで丸儲け
だから、自分主役の今を楽しんでほしい

「私もこれまでいろんな経験をしたから、今がとても幸せと思えるんです。実は、三女を出産した際、大量出血で酸素吸入や心電図を付けられ、その時に死を覚悟しました。産まれた赤ちゃんとも会えず、家で待っている子どもとは入院の前に「じゃあ、明日ね」と言ったきり、もしかしたらもう会えないのかも…とも。だから、こうして家族みんなで何事もなく元気に暮らせ、毎日『おやすみ』と言えることがとても幸せなんです。明日があるのが当たり前じゃなく、生きていることが、そして命が、とても尊いものだと感じます。だから、その日のことはその日のうちに解決したい。夜、子どもと喧嘩しても、その日のうちにごめんねって謝るんです。一度死を覚悟すると、自分自身が生かされている感じがして、私ができることをやりたいと思う気持ちが強くなったんです。だからいてもたってもいられず、メールを送ったんだと思います。メールにも書きましたが、この活動を始めて、子どもに申し訳ないと思いながら働いているママが多いなと感じます。例えば、自分が仕事を始めたことで子どもに家事を手伝わせることになったことや、ご飯を待たせることになったこととか、それに申し訳ないと…。だけど、お母さんが働く姿は子ども達の勇気になると思うし、家事を分担できる家庭環境は素敵だと思うんです。子どもは環境に順応して、きっとその世界を楽しんでいる。だから、子どもに申し訳ないと思うことは、子どもに対して申し訳ないと感じてしまう。申し訳なく思う必要は全然なくて、それぞれのスタイルがあっていいと思うんですよね。子どもは子どもが主役の人生があって、ママにはママが主役の人生がある。だから『私も頑張る、あなたも頑張ってね!』でいいんじゃないかな」。

子どもが主役で私が脇役でもなく、私が主役で子どもが脇役でもない。あくまで、それぞれが主役の人生だと割り切れば、気持ちもすごく楽になると吉田さん。彼女が発信するメッセージは、迷えるママたちの救世主となり、背中を押してくれるに違いない。ママのままプロジェクトのママアンバザダーとして、新しい風を吹かせてくれる予感がする。

吉田由花さん

この記事のライター:安達博子

「海好きだったご主人の漁師の夢を一緒に追いかけるべく、迷いなく幼稚園の先生を辞めた吉田さん。その潔さと『何とかなるさ!』という覚悟が男前で、かっこいい生き様だと思います。子どものやる気や自発的な思いを“見守る”ことの大切さ…、これが簡単なようでなかなか難しい(涙)。私も子育てを通して、実感しています。だけど、それを見失いそうになった時は、自分が子どもだった頃のことを思い出せばいいんですね。私だってたくさん失敗して挫折して大人になったから。自分勝手な思いを子どもに押し付けるんじゃなく、子どもの目線になって声を聞き、必要であれば手を添えられる母親でありたいものだ、と改めて感じた取材でした。これから、ママアンバサダーとして、たくさんのママ達の声に傾聴し、そして寄り添ってくれる心強い存在になってくれると確信しました。これからを楽しみにしてます!」。

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