MAMA STYLE様々なママの様々なスタイルを
ご紹介します

2019.05.21

まだ見ぬ世界に飛び込むのが好き
いつか、美容業界の潤滑油のような存在になれたら

船田理沙さん

今回のママ:
船田理沙さん・40歳・長崎県出身・大分市在住
(3歳・1歳の二男の母)

大分で自分らしく生きるママたちのこれまでを綴るインタビューシリーズ。今回は「ママのまま」のママアンバサダーの新メンバーとして、先日のイベント「ままいろフェスタ」では実行委員として活躍してくれてた船田理沙さんのストーリー。現在、トラストコーチングスクール(TSC)認定コーチ、マザーズコーチングスクール(MCS)認定マザーズティーチャーとして、企業やママたちに向けたコーチングの仕事に携わっている。

美容師からカフェ店員、旅館の仲居さんに転身
こんなに職業があるのに、勿体無い!

目をつむって誰かを想う時、その人は笑顔?無表情? 誰かの脳裏に浮かぶ自分の姿がせめて笑顔であればいいな…と常々思っているのだが、今回取材した船田さんを思い出すと、満面の笑顔が浮かんでくる。「ままいろフェスタ」の取材で初めて船田さんにお会いした時、カメラのレンズ越しに覗く笑顔がとても印象に残っていたからだろう。少女のような屈託のない笑顔に、女ながら一瞬でトリコになってしまった。
 
大分市内の高校を卒業後、地元の美容室に就職。働きながら美容師の資格を取得し、スタイリストとして3年間働いた船田さん。美容師の仕事の脂が乗ってきた頃、典型的な20代によくある「一度、大分を出てみたい!」という衝動にかられ、姉妹が住んでいた東京で暮らすことに。当初は美容師としてのスキルアップを目指して上京したものの、都会の自由な空気に流され、興味があったカフェと雑貨のお店で約3年間働くことに。

「東京でやりたいことをやり尽くした時、結局は職場と家の往復で、大分で暮らしていた時とさほど変わりはないと気づいたんです。環境の変化から途中体調を崩して、もともと症状があったアトピーが悪化し大分の実家に戻ることになりました。職を転々としている私はこのままでいいの?と自問自答する日々で、そのストレスから、一時期全身真っ赤になるくらい悪化してしまったんです」。



そこからは半年間、実家で静養。体調も回復し「20代のうちに、やりたいことをやっておきたい!」と次に進むべき道を模索し辿り着いたのは、旅館の仲居の仕事だった。27歳から29歳までの2年間を、黒川温泉の旅館で仲居として住み込みで働いた。「お客様として訪れた社長様のお話を聞けたり、貴重な経験がたくさんできました。仲居さんの仕事は本当に勉強になりました。皆さんによくしてもらったし、楽しかったです」。今までの職種とはかけ離れた世界に躊躇もなく飛び込める、船田さんの好奇心旺盛な一面を垣間見た。

住み込みの仲居の仕事を選んだのには理由があった。30歳を目前に、ヨーロッパに1ヶ月滞在するための資金を貯めるためだった。旅好きな船田さんは、度々、1人で海外を訪れていた。「まだ見たことのない国の、そこに住む人たちの日常を見るのが好きなんです。観光名所や世界遺産とかにはあまり興味がないから行ったことがなくて(笑)。泊まる宿と交通ルートだけ確保して、あとは現地で決めるという無計画の旅です。仕事に区切りがついたきっかけで何度か海外へ行きましたが、それまでは出発前に何かを決めてから行くということはしていなかったんです。でも、今回は20代最後だから『帰ってきたら腰を据えてしっかり働こう!』と覚悟して、日本を発つ前に新しい仕事を決めてから出発しました。旅行から帰ってきてもモヤモヤしてた今までとは違い、先が自分が見えてたので、ヨーロッパの旅を思いきり満喫できましたね」。

美容師からカフェ店員、そして温泉旅館の仲居さんと、20代のうちに多くの仕事を経験した船田さんは、新しい場所に身を置くことを楽しんでいた一方、様々な葛藤とも戦っていた。「商業系の高校だったので、一般事務の仕事に就職するお友達も多い中、美容業界を就職先に選んだ私が、今でも不思議なんです。その時の選択が、今の私を作ってるから。コロコロ仕事を変えている私と、同じ職場で真面目に働き続けている友達を見比べて、転職を繰り返す私がダメなんじゃないかって思うこともありました。だけど、世の中にはたくさんの職業や職種があるのに、一箇所だけに身を置くのは勿体無いなって、どこかで思っていましたね」。

船田理沙さん

再び身を置いた美容業界
忙しい日々で置き去りになっていた自分

ヨーロッパから戻り、30歳から8年間、宣言通りに腰を据えて働いた再就職先は美容業界。美容師として働いていた頃も、髪型を整える仕事より、シャンプーなどお客様をリラックスさせる仕事が好きだったと船田さん。アロマセラピーやリフレクソロジーの勉強をし、職場ではエステティシャン・セラピストとして現場を切り盛りし、九州エリアの店舗を統括する管理職も任され、キャリアも積んでいった。
 
その後、現在の旦那様と知り合い、36歳で結婚。38歳で第一子、40歳で第二子を出産した。「キャリアアップして仕事も充実しているけど、朝から深夜まで働きづめの日々。今のこの働き方の中に、結婚と出産をどこに組み込めばいいんだろう…と漠然と悩みを抱いていた頃に主人と出会ったので、ちょうど結婚のタイミングだったんだと思います。1人目を出産した時は、半年で復職しました。出産前と同じ、管理職のまま復帰したので、当時の私は仕事優先で、子どもは周りの人たちにお任せします!って、正直そんな感じでした。毎日の保育園のお迎えや晩御飯はお義母さんがやってくれてました。熱を出して保育園から呼び出しがあっても、お義母さんが迎えに行ってくれていたし、どんなことも『いいよ!』って引き受けてくれ、全部受け止めてくれました。すごく心強い存在だったし、そのサポートがあったから当時の私は成り立っていました。感謝しかありませんね」。

職場では「2人目はまだ待ってね」と釘をさされていたが、あっという間に40歳目前になっていた。「40歳になるまでにはもう一人子どもが欲しい…」。多くの葛藤を経て、今まで積み重ねていたキャリアを捨て、仕事を辞めることを決意した。

「接客やスタッフ教育で役立てたいと、もともとコーチングの勉強はしていたんです。痩せたい、ニキビを治したいというお客様の根本の悩みを引き出せるカウンセリング力をつけたいと思っていて。背景には食生活や生活環境、メンタルの部分も大きく関わっているので、その問題を引き出したかったんです。それに、スタッフ教育や、職場のチームワークを作る上でもコーチングが役立っていました。なので、美容業界を辞めたら、次はこれを自分の仕事にできたら…と思っていました」。それまでは「会社のため」「お客様のため」を優先し、自分をずっと置き去りにしていたと船田さん。どういう働き方をして、私はこれからどうなっていきたいんだろう…と自分と向き合う時間さえなかったことに気づき、この道を選んだ。まだ見ぬ新しい世界へ踏み出す戸惑いと、同時にワクワクする自分がいた。

船田理沙さん

今は思い通りにはならないけど
自分が選んだ道だから、やるしかない!

船田さんの肩書きである「トラストコーチング」「マザーズコーチング」。以前も「コーチング」に触れたことはあるが、そもそも「コーチングとはなんぞや?」という方のために簡単に説明しておこう。コーチングとは、クライアント(依頼主)が目標達成するプロセスを応援することで、人材育成や組織開発の手段としても注目されているコミュニケーションスキルの一つだ。その中の「トラストコーチング」は経営者や企業向け、「マザーズコーチング」は母親向けのコーチングを行なっている。企業や団体、個人向けに講座を開き、組織や個人が持つ潜在能力を引き出すお手伝いをしているのが船田さんの今のお仕事だ。

「美容業界は女性が多い職場。女性だから気分の波はあるし、チームワークを保つのにエネルギーを必要とします。私も現場で葛藤したりたくさん悩んだので、また美容業界の現場に入って、お客様やスタッフたちに関わっていける仕事ができたらいいなと思っています。美容業界って綺麗なお仕事だし、憧れて入ってくる人も多いのに人材が育たないという現状もあります。人とのコミュニケーションが苦手で辞める人や、人間関係に悩む人など、技術面以外の理由で仕事を諦める人も多い。現場のスタッフの人たちを円滑に出来る役割を今後は担えたらなって思っています」。



現在は仕事プラス、今まで十分に持てなかった子どもたちとの時間を大切にしていると船田さん。「働くお母さん達は、仕事も中途半端だし、子どもと一緒にいてあげられる時間も少なくて、どっちも不完全だと自分を責めてしまう時があると思うんです。そこまでしてやりたい仕事なの?って自問自答することも。今は、自分の時間が持てないことで正直悔しいと思うこともあるし、もちろん思い通りにはならないけど、自分で決めて選んだ道なので、そこはやるしかない!と思っています。腰を据えて思い切り仕事できたから、どこかでやりきった感があるのかな。だけど、今の生活は子どもと過ごす時間が楽しいし、私自身のやりたいこともやらせてもらえているので満足です。主人や義母、義父の周りのサポートあってですけどね。お義母さんからは、『もう自分でやりなさい』ってチャイルドシートを返還されたんですけど、最近またチャイルドシートを戻しました(笑)」。

世の中の流れは「ワークライフバランス」から「ライフワークバランス」へ…。「仕事と生活の調和」より「生き方を優先したバランス」へと、価値観が変化しつつある。20代、30代、40代の節目で自分を見つめ続けてきた船田さん。今の自分に正直に、進むべき道を選択してきたからこそ、40代の船田さんらしい「生き方」が見つかっていると感じた。常に多くの選択を強いられる女性にとって、自分らしい「生き方」「働き方」を選択するためには、まずは「自分自身」と向き合うことが大事なのだと、船田さんが教えてくれた気がする。

船田理沙さん

トラストコーチングスクール
https://trustcoachingschool.com/

マザーズコーチングスクール
https://motherscoachingschool.com/

船田理沙 オーダーメイドコーチング《大分・オンライン》
https://ameblo.jp/ririko-trust/

この記事のライター:安達博子

「私の周辺には、平気で1人で海外旅行に行く女友達がたくさんいます(笑)。彼女たちは常に自分を持っていて、そしていつも問題意識を持っています。私は一人で海外旅行なんていけないので、尊敬の眼差しです。そんな友達と同じ匂いがした船田さん。新しい環境や知らない世界に飛び込むことを楽しめる、バイタリティ溢れる女性です。自分を見つめて「どうなりたいのか?」を常に問いかけ続けています。「ボーっと生きてんじゃねえよ!」とチコちゃんに突っ込まれそうな私にとって、船田さんとの出会いはとても刺激的でした。そして、このキュートな笑顔!これからも好奇心旺盛な性格を武器に、ママアンバザダーとして私たちと一緒に『ママのまま』を盛り上げてくださいね!」

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