MAMA STYLE様々なママの様々なスタイルを
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2019.06.04

0歩と1歩は、まったく違う
その一歩を踏み出す勇気を持って

工藤真梨さん

今回のママ:
工藤真梨さん・32歳・宮崎県出身・大分市在住
(小学校2年生・年中5歳の二児の母)

大分で自分らしく生きるママたちのこれまでを綴るインタビューシリーズ。今回は、専業主婦から一念発起し、現在は大分市内で資格取得も可能なお菓子教室「Honey Honey」を開いている工藤真梨さんのストーリー。 日本サロネーゼ協会認定講師、ALAショコラフラワー認定講師の資格を持ち、見た目も可愛らしく華やかな、アイシングクッキーやあんフワラー、あんクラフト、ショコラフラワーなどのお菓子作りの楽しさを伝えている。

それ以外の場所に
自分の存在意義を見つけたい

プレゼントに喜ばれそうな、見た目も可愛らしいアイシングクッキー。カラフルでキュートで、でも食べてみたら美味しくて…。そんな無敵なスイーツが世の中にあることをご存知だろうか? 工藤さんが作るお菓子の数々は、思わず「かわいいー!」と声をあげてしまいたくなるほど。アイシングクッキーはもちろん、白あんで花びらを形どり花を作るあんフラワーや、チョコレートで作るショコラフラワーなど、女性なら誰もがうっとりするほど華やかで綺麗、そして美味しいお菓子の世界が広がる。

大分市でお菓子教室「Honey Honey」を開いて今年で5年目。いわゆる、女性たちが憧れる「サロネーゼ」だ。「サロネーゼ」とは、主に自宅でサロンを開催して人気を博している女性のこと。今から10数年前に女性誌が特集を組んだことから注目を集めた。自分の好きなことを仕事にしてキラキラと輝いている工藤さんだが、ここまでの道のりは長かった。



高校までは宮崎で過ごし、美容師になるため大分の専門学校に入学。卒業後、美容師として働くも2年間で退職。その後、百貨店の化粧品販売員として働くことになり、23歳で結婚、25歳で第一子、28歳で第二子を出産した。

「第一子を妊娠した時、とにかくつわりがひどくて。立ち仕事でとても辛かったので妊娠6ヶ月で化粧品会社を退職しました。仕事は楽しかったけど、もともと早く子どもを産んで家庭を持ちたいという願望があったので、出産を機に仕事を辞めることは私の中では自然なことだったし、未練もなかったですね。でも、子どもが2歳になったくらいに『働きたい!』という欲が出てきて、もともと接客業が好きだったので、雑貨屋さんでパートとして働くことになりました。せっかく働くんだから頑張らないと!と、遅番のシフトにも無理やり組み込んでもらって働いていました。でも、子どもが保育園になかなか慣れず泣きっぱなしだったり、急な病気で休まないといけなくなったり、そんな状況が続き、結局1ヶ月半くらいで辞めてしまいました。無理な働き方をしてしまったなぁ…と反省しましたね」。

専業主婦として子育てと家事に追われる毎日。「私、このままでいいの?」とモヤモヤする今の状況を打破したい!と、働きに出る女性も多いと思う。だけど、実際に直面すると、子育てしながら働くことはそんなに柔なことじゃないということに気づく。「もちろん子育ては大切だけど、それ以外の場所に自分の存在意義を見つけたい…」。工藤さんの中に芽生えた気持ちは、多くのママが深く共感する、誰もが抱く感情だろう。

工藤真梨さん

「これだ!」と直感した運命の出会い

その後、しばらくして第二子を妊娠し出産。長女が幼稚園入学前、次女が1歳になる前に、今の仕事のきっかけとなるアイシングクッキーに出会った。

「子育てで一番大変だった時期は、上が3歳、下が0歳の時。まだアイシングクッキーとは出会ってない頃です。どうやって日々を過ごしたか記憶にないくらい(笑)。2人とも泣き出して、私もわーっ!ってなって、近くのお友達が心配して来てくれて、大泣きしたこともありましたね。ママたちはみんな同じ経験をしてると思うんですけどね。多分、必死だったんだと思うんですけど、同時に、子どものお母さんとしての存在はもちろんすごく大事なことだけど、母としての役割以外で認められたいという承認欲求がどんどん強くなっていった気がします。『私といえば、これ!』というのが欲しくて、いずれそれが仕事になったらいいなって漠然と思ってました。子どもが第一優先というのは守りたかったので、そこを大事にしながら、なおかつ自分の好きなことが仕事になったらベストだなと考えたけど、漠然として現実味はなかったですね。その〝何か〟を探したくて、消しゴムはんこや手芸など、いろんなことをやってみたんですけど、どれも三日坊主で続かない。そんな時にアイシングクッキーの存在を知ったんです。もともと絵を描くのも好きだったし、クッキーもよく焼いてたので自分の好きなものがアイシングクッキーの中に凝縮されていました。資格を取得して教室を開くこともできるという話を聞いたので、習いに行く前から取得について調べて、主人に『この資格を取りたい!』ってお願いしたんです。でも、今までどれも長続きしなかったから、またか…みたいな感じで相手にされず『とりあえず体験してみたら?』と、熱くなっている気持ちをなだめられました(笑)。心はほぼ決まっていたんですけどね」。



教室に行くと、想像通りの楽しさで、すぐにアイシングクッキーの世界に引き込まれた。再び、ご主人の説得を試みる。「今までもいろいろやってみてダメだったでしょ?本当に仕事としてやっていけるの?と言われて、今までの私だったらすぐに諦めていたんですが、今回は引き下がりませんでした。結婚が早かったので自分の貯金があるわけでもないから、受講料を出してもらうとしたら家庭からのお金。だから、収支まで算出して『このくらいの生徒さんの数で受講料がトントンになって、その後は収益になるよ』とプレゼンしたんです。今までになく本気な姿だったので、それを認めてくれて、主人からゴーサインが出たんです!」。

受講するため県外に行く際は、ご主人がお休みを取ってお子さんの面倒をみてくれ、今では「やってみたら?」と後押ししてくれる存在でもあるそう。家族の協力あってこその私と、感謝の気持ちを忘れない工藤さん。当たり前だけど大切なことを、改めて教えてもらった気がする。

工藤真梨さん

辞めたいと思ったことはなかった
本当に好きなんだと思います

とはいえ、認知度はまだまだ低く、教室を開いたところで1年間は生徒さんもなかなか増えなかった。そんな中でもお菓子作りの腕を磨きながら下準備をしつつ、パートに出ていた工藤さん。

「ちょうどそのくらいの時、以前美容部員として働いていた百貨店から『人材不足だから、また働かない?』と声をかけていただいたんです。パート枠で勤務時間は6時間程度、土日もお休みして大丈夫とかなりの好条件でした。もし1年早く声をかけてもらっていたら、私は間違いなくそちらを選択してたと思います。だけど迷いなく、アイシングクッキーの方を選びました」。迷いのない選択ができるのは、『子ども第一』という工藤さんの信念があるからこそ。子どもの時間を優先し、無理のない範囲で働ける環境は、何ものにも代え難い。

「本当にゼロから始めたので、集客できるかわからないという不安を抱えつつ、子どもをおんぶしていろんなお店に飛び込みでチラシを置かせてもらえるようお願いしたりしてました。もちろん断られることもありましたね。当時の話をお店の方から聞くと『一生懸命だったし、必死だったから応援したいと思ったよ』って言われます(笑)。本当に必死だったんだと思います」。



その甲斐あって、3年目には教室も徐々に軌道に乗り、パートを退職。その後も認知度は上がり、生徒さんも増え、教室はさらに軌道に乗ってきた。「でも、5年目の今でも不安は変わりません。今、私が何かをサボると、これから先が見えなくなる気がして。だから、あんフラワーやショコラフラワーなど、新しい技術を身につけつつ常に前進しないといけないと思っています。例えば、教室案内の際に添えるお菓子のサンプル写真も、どんなデザインにしたらみんなが興味を持ってくれるかなぁとか、常に考えて進歩することが大事だなと感じます。『生徒さんが来なくても、続けることが大事なんじゃない?』と理解を示してくれた主人の励みもあって、不安な中でも続けられたんだと思います。でも、辞めたいと思ったことは一度もなかった。本当に今のお仕事が大好きなんだと思います!」。

娘さん2人は、生徒さんを教える自分の姿を誇らしげに見てくれていると少し照れながら教えてくれた。そして、工藤さんが作った美しいお菓子の世界に、毎回感動してくれる大切な存在なのだ。娘さんたちにとって、自慢のお母さん。それって、母親としては何よりも励みになる。

工藤真梨さん

出来ないこと、難しいことに
挑戦する楽しさを伝えたい

「美容師免許を取ったけどすぐに辞めて、百貨店も出産を機に辞めて。心のどこかで『結婚も、出産も、もう少し後にして働いてみても良かったのかな。もし生まれ変わったなら…』という気持ちが、ずっと心のどこかにあったと思うんです。でも、結果的に好きなことに出会えて、それを仕事としてやらせてもらえてることが本当にありがたいですね。あの時、『何かにぶつかるにも進まなきゃぶつかれない』と勢いのまま無我夢中で突っ走って、最初の一歩を踏み出したあの時の私がいるから、今があると思うんです。趣味もない、手に職もない、専業主婦だったこんな私でもできたから『大丈夫!』って、生徒さんにも伝えるんです。保守的になってばかりいると時間があっという間に過ぎてしまう気がして。0歩と1歩じゃ全然違う。勇気を持って、その一歩踏み出せるかですよね。いつまでこの仕事ができるのかな…という不安はつきまとうけど、できる限りやってみて、仕事として難しくなっても趣味として続けていきたいです。これは私の財産だから」。

最後に、これからチャレンジしてみたいことを聞いてみた。「この仕事がこんなに楽しいのはなんでだろうと考えた時、わかったんです。子どもって出来ないことが多いから出来た時の喜びが大きいと思うんです。でも大人はできないことはないから、逆にできることしかやってない。だから、今までできなかった難しいことにチャレンジして、完成した時の喜びが半端ないんだって。だからこんなに楽しいんだとわかったんです。お菓子を作っている時は無になれる時間。作りながら『あー、楽しい!』って呟きたくなるくらい(笑)。女性はいくつになっても楽しいことを見つけようと探求してると思います。だから、まだ知らない人たちにこの楽しさを知ってもらえるように広めていきたいです」。

工藤真梨さん

お菓子教室 Honey Honey(ハニーハニー)
https://ameblo.jp/indsw1211/

この記事のライター:安達博子

「毎度のことなんですが、なんででしょう。どうしてこのコーナーに登場する女性はこんなにも美しいのでしょうか。眩しいくらいに輝いていた工藤さん。もちろん、もともとがお綺麗な方なんですが、内面から輝きがにじみ出ているんです。「楽しくて仕方ない!」と、隠しきれない仕事への愛にも溢れ、充実した毎日を過ごしているんだなと感じました。大好きな仕事に出会えるなんて、本当に羨ましい。工藤さんご自身もおっしゃってますが、だからと言って、もともと手に職があったわけでもなく、キャリアを生かしたわけでもなく、勇気を持って一歩を踏み出したから新しい扉が開いたのです。「0歩と1歩は全然違う」という工藤さんの言葉が心に響いたのは、私だけじゃないはず。等身大のママのサクセスストーリー、たくさんの勇気をもらいました!」

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