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2020.04.14

子育てメインの働き方をさせてもらってるので
いつか会社に恩返ししたいですね

太神綾乃さん

今回のママ:
太神(おおが)綾乃さん・33歳・大分市出身・大分市在住
(小学校3年生・幼稚園年中の1男1女の母)

今回は、大分県に本社を置く、システム開発と人材育成の企業「株式会社ザイナス」に勤務する、太神綾乃さんのストーリー。現在、ご主人は県外に単身赴任中で、ワンオペ状態で毎日の子育てと仕事に追われている太神さん。子育てしながら働くママが「分かる~!」と思わず共感できる、等身大の日々が垣間見れます。

私だけ置いてきぼり…
孤立したような気持ちに

大分市金池南に拠点を持ち、東京、福岡に支店を持つIT企業「株式会社ザイナス」。企業が必要とする業務アプリケーションやシステム開発、また今後を見据えた企画提案などを行なっている会社で、大分駅近くの自社ビルにオフィスがあり、働くシチュエーションとしてはちょっと憧れる感じでもある。「大分市子育て支援中小企業」や「おおいた働き方改革推進優良企業」として表彰されたりと、働きやすい環境を常に考える、地元でも話題性のある元気な企業だ。この「株式会社ザイナス」の「大分システムセンター」で働く太神さん。ふんわりと柔らかで優しい笑顔がとても印象的な女性だ。



大分高専(大分工業高等専門学校)を卒業後、新卒で「株式会社ザイナス」に入社。「普通科の高校に行くよりも、これからは工業系や技術系で学んで、手に職を着けた方がいいよって兄姉にアドバイスしてもらってたんです。家にはパソコンもなく、両親もそれらの分野には疎くて。これからはパソコンが使えないと厳しい時代になりそうと思って高専に入学しました」。

ご両親が高齢ということもあり、卒業後の就職先を地元で探していた太神さん。高専時代に学んだことも活かせる仕事ということもあり条件もぴったりだった。入社後3年間勤務し、その後結婚。翌年、妊娠が分かり退職した。

「私が入社したばかりの時、働いている女性が社内で初めて産休、育休を取得しました。私もそれに続きたかったんですが、当時は仕事もまだまだ未熟で残業も多かったので、仕事と子育てを両立する自信がなくて…。引き止めてもらったんですけど、仕事を辞める決断をしました」。長女を出産したのが25歳の時。同期入社した仕事仲間や友人たちはまだ結婚もしておらず、バリバリ働いてキャリアを積んでいた。たまに会う機会があっても、会話も噛み合わず、次第に置いていかれている感覚に。

「話題は仕事の話やブランド品の話。みんな結婚してないから旦那の愚痴も言いづらいし、お金の余裕もないし。私ひとり、孤立化しているなぁって感じましたね。子育てに奮闘してるのに『この1年、私、何もしてないなぁ』って悲観的になったり…」。子どもと自分だけの閉鎖された(ように感じる)空間の中、子育て中に一度は感じてしまう感覚。社会から疎外されているような気持ちになり、孤独を感じる。私も経験済みだったので、その気持ちが痛いほど分かった。

太神綾乃さん

有り難かった
自分に合った歩幅の、スモールスタート

第二子を妊娠中、元同僚の結婚式に出席した太神さん。「仕事に復帰してみない?」と式に出席していた元上司に声をかけてもらったものの、妊娠中だったこともあり断念。その約1年後、諸事情でご主人の給料が下がってしまうという想定外の事態に陥った。家計を助けるためにも仕事を探さないと…と、焦る気持ちの中手当たりしだいに仕事を探した。その時、結婚式で声をかけてもらったことを思い出し、元上司に相談。「下の子どももまだ6ヶ月で小さいのでフルタイムでは働けないんですけど、今雇ってもらえませんか?」。その相談に快諾してくれ、再び入社することが決まった。入社してみると、太神さんが以前勤めていた時代よりも産休、育休を経て働き続けている女性社員が増えていた。見違えるように整っていた職場環境に、いい意味で浦島太郎のような気分だったと太神さん。

同期入社した仲間たちも、結婚後も在籍していたため、仕事や子育ての悩みを共有できる仲間がいることがとても心強いと話してくれた。仕事を離れてから6年ぐらいのブランクがあったため、復職の際は不安もあったそう。

「最初は、当時の仕事を思い出しながらだったので、現場には結構なご迷惑をおかけしたと思います。でも、まずは簡単な仕事からスタートさせてくれ、私もできる限りの中でやりながら、徐々に仕事の勘を取り戻していきました。自分の歩幅にあったスタートを与えてくれ、本当にありがたかったです」。

太神綾乃さん

私も役に立っているんだなと
やりがいを感じます

そういえば…今更ながら…太神さんの仕事内容を、かなりアナログ人間の私にも分かるように噛みくだいて教えてもらえますか?(笑)。

「クライアントさんが希望する『こういうシステムがあったらいいな。便利だな。』という理想を実現にして、仕事を楽にするためのシステムを開発するお手伝いです。例えば、今こういう事を手作業でやってるんだけど、もっと楽にならないかな?とか様々な要望があって。お客様の要望を踏まえて、どんなシステムにするかという設計書からプログラミングすることもあるし、設計自体から考えることもあります」。

現在職場で働く子育て中の女性スタッフは、ほぼ時短勤務だそう。太神さんも9時から16時までの勤務体制で働いている。その時間内でシステムを開発するプロジェクトに携わっているって、イメージではなかなか大変そう…。

「クライアントさんの方でシステムを導入するスタートが決まってプロジェクトがスタートするので、もちろん締め切りというものがあります。その納入時期に向けての作業の進行やスケジュールは、プロジェクトのリーダーが全体を見て調整しながら管理してくれています。納期が近いのにスケジュールが遅れている場合は残業や休日出勤もありますけど、リーダーのマネジメントのおかげでとても仕事しやすい環境です。今は制作サイドなので、開発したシステムに対しての感想を直接お客様から聞く機会はないんですが、『これ手伝ってもらえる?』と社内で頼ってもらったり、自分の力を認めてもらえる機会があると、‘私も役に立ってるんだな’と嬉しく思います。今後、私もいつかプロジェクトのリーダーを任せてもらえるような存在になれるよう頑張りたいです」。

太神綾乃さん

毎日怒涛の日々だけど
仕事は私にとってリフレッシュの時間

二児の母でもある太神さん。現在、ご主人は北陸地方に単身赴任中のため、家事育児はほぼワンオペでこなしている。朝は下のお子さんを保育園に送りそのまま出勤。仕事が終わったら保育園と、小学校の学童に行っている長女のお迎えに行って、夜ご飯の支度。3人でお風呂に入り寝かしつけた後、撮り溜めておいたドラマを見るのが唯一の自分時間。休日は、お子さんの習い事の送迎や、日々こなせていない掃除や家事をして、あっという間に終わる。

「やっとそのペースにも慣れてきましたけど、たまに投げ出したくなる時もあります。最近の下の子の口癖は『ママ、今怒ってる?』で(笑)。子どもを怒鳴って、寝顔を見て『こんなお母さんでごめんね…』って反省する日々です(深く同感! みんな同じ!)。仕事と子育てを上手にこなせてるとは言えないですけど、でも会社に来ることが私にとってリフレッシュになってます。子どもたちが巣立った時、自分の居場所があるというのも働き続けてる大きな理由の一つかな。今は子育てメインで職場にも甘えさせてもらってるので、子どもたちに手がかからなくなってきたら、次世代の若い社員の子たちがより働きやすい環境になるよう力添えできる存在になりたいですね。会社に恩返ししていきたいです」。

リセットする時間は?と質問した時に、会社のお昼休みにこっそりコンビニスイーツを食べることと答えてくれた太神さん。自分の時間がない中で小さな幸せを見つけられる、その可愛らしさと健気さにちょっと泣きそうになった。「フレー!フレー!働くお母さん!みんな頑張れー!」。心の底から、エールを送りたくなった。

太神綾乃さん

この記事のライター:安達博子

「運も実力のうち」。子育てしながら働きやすい仕事に就けるというもの、実力のうちかも…と感じた今回の取材。それは太神さんの、優しくて真面目で健気で一生懸命な人柄だからこそ、環境が整った古巣に戻れたんだと思います。お子さんの縄跳び大会を見に行くために出勤が遅れるのも全然オッケーな雰囲気の職場で、本当にありがたいと太神さん。『いつか会社に恩返ししたい』という気持ちこそが、企業と女性を結ぶ、持ちつ持たれつの理想的な関係じゃないんだろうか…と改めて教えてもらった気がします。いくら怒鳴っても、ママの頑張る姿はきっとお子さんたちに届いているはず。これからも、笑顔が素敵な優しい太神さんでいてくださいね!

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