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2021.04.13

今は走り出している最中
このまま突き進んでもいいかな

江藤知枝さん[フリーランス]

今回のママ:
江藤知枝さん[フリーランス]
34歳・由布市出身・大分市在住(小学校2年生の母)

「誰かの元で雇われるのは性に合わない」とフリーランスになることを決意し、現在は、エクステリアの仕事(後ほど紹介)とコールセンターの管理業務など、様々な仕事を同時進行しながら忙しい毎日を過ごしている江藤さん。どこまでも貪欲に「自分らしい働き方」を探し続け、現在も試行錯誤する日々を送っています。

事務職から技術職へ
形になる仕事にやりがいを感じる

お店の名前にしても、様々な用語にしても、横文字の言葉はなかなか頭に入ってこない。江藤さんを取材するにあたり事前情報を調べてみると、これまでに聞いたことのないワードや、苦手なIT関連の言葉がつらつらと。「取材、大丈夫かな…」。一抹の不安を抱えながら江藤さんに会いに行った。今回、まず悩んだのは彼女の肩書き。「看護師」とか「●●アドバイザー」とか、これまでは名前の横に職業や肩書きを表記してきたのだが、彼女の肩書きはどう書いていいのか…???悩みに悩み「フリーランス」と書かせていただいたが、この言葉では語り尽くせないほど盛りだくさんの仕事をこなしている。

大分市内の進学高校に進み、卒業後は大分県立芸術短期大学に入学。情報コニュニケーション学科でパソコンを使った情報処理技術やメディアを活用するスキルを学んだ。大学卒業後、事務関係の仕事に就くも、往復80キロの通勤の大変さや人間関係の問題で1年後退職した。その後、実家のカーポート施工をした会社に縁あって就職。



「親が『娘が仕事を探しているんですけど、事務系の仕事を募集してる会社はありませんかね?』と聞いたら『じゃあうちに来ますか?』と。そこはエクステリアの会社で、当時の私も『エクステリアって何する会社?』って知りませんでした」。現在も江藤さんの仕事の基軸にもなっている「エクステリア」の仕事。簡単に説明すると、家周辺の敷地内に、庭や車庫、門周りなどのデザイン、施工をするという仕事だ。

「ハウスメーカーさんやリフォーム業者さんから仕事の依頼がありました。入社した会社は人数も少なかったので、営業から打ち合わせ、現地の測量、設計までの一連を一人でやらないといけなくて。私もこの仕事を任せられることになったんです」。

〝余ってる宅地スペースに車をもう1台停められるようにしたい〟〝庭を造園して、家の目隠しを作りたい〟などなど、様々な顧客のニーズに応えデザインし、立体パースに起こして提案する。それには3D CADが使えるようになることが必須だった。事務の仕事とは畑違いの技術職。戸惑いはなかったのだろうか?

「CADの扱いなどは入社して勉強しました。会社でマニュアルを渡され、イチからの勉強です。働きながら、上司に教わりながら、なんとか習得しました。現場もそれぞれで全然違うので問題にぶつかることもたくさんあったけど、毎回新しい発見もあって、自分の描いたデザインが実際に形になるのはすごく楽しかったですね」。

江藤知枝さん[フリーランス]

週末、一日限定の仕事を探し
いろんなバイトを経験

この会社に6年間勤め、出産を機に退社。職人さんが多い男社会の業界。職場に女性は少なく、育休・産休の制度は整っていなかった。

「一緒に仕事をするのは職人さんばかりで『女・子どもの言うことは聞かん!』って感じの現場でした。私も当時20代の若造だったので職人さんと何度も衝突しましたけど、徐々にコミュニケーションが取れるようになって信頼関係を築けるようになりました。だけど、エンドユーザーさんとの打ち合わせはどうしても週末になるので、お休みがなかなか取れなかったんです。仕事の内容もハードだったし、出産後、この仕事を続けるのは難しいかな…と、退職を決めました」。

10歳年上のご主人と26歳で結婚、27歳で出産した。出産後1年間は子育てに専念したが、「じっとしておけない性分」だったため「仕事したい熱がフツフツと沸き出し」そこから一日単位の仕事を探しながらアルバイトを開始した。



「旦那さんに子守してもらえる週末限定で、一日で完結する仕事をとにかく探しました。サイトで検索して、面白いアルバイトをたくさん経験しましたよ!」。試験監督、選挙の出口調査、電車に乗ってJRのアンケート調査、別府の旅館の朝のお給仕の仕事などなど…。旅館の仕事は朝5時集合。女性だらけの職場にはボス的存在の女性がいた。「どこかで見たことあるなぁと思っていたら、エクステリアの仕事をしてた時に仕事を依頼してた造園屋さんで働いてた方で。その時の繋がりがあったので、マウントされずにうまく関係を築けました(笑)。何かしらの縁に助けられましたね」。

一日で3ケ所の会場を周る選挙の出口調査のアルバイトは、おばあちゃんと娘さんを車に乗せて仕事をこなした。どこまでも働くことに貪欲な江藤さん。しかし、週末ごとに子守に追われたご主人からギブアップの申し出が…。「主人も会社を経営して忙しい人だったので、自分の時間もなくてきつかったんだと思います。しかも、娘はまだ『ママがいい!』という時期だったし。それで一日仕事のバイトは諦めることにしました」。

江藤知枝さん[フリーランス]

子育てしながら働く
厳しい現実に直面

しかし、ここでめげないのが江藤さんのタフなところ。懲りずに(笑)求人情報を見ていたら、鍋を販売する会社の求人を発見。面接に行くと、以前の仕事を通じ面識のあった人だった。

「エクステリアの仕事で週末のフェアに出展してたことがあって、その時にIHの実演販売をしてた会社の方だったんです。急にいなくなってどうしたんだろうと思ってたって覚えてくださっていて。それで採用になって、またその会社で働き始めました」。平日は保育園の一時預かりを利用し、娘さんを預けて仕事に行っていた。しかし週末の実演販売の仕事が多く、4ヶ月くらいで辞めることに…。並行して、前職の取引先から「図面を描かない?」と声をかけられ、エクステリアの仕事も始めていた。

「結局また、その流れでエクステリアの仕事に戻ることに。だけど、業界の仕事の内容は以前と変わらないので土日の出勤はあるし、夕方も早く帰れないことも多くて。仕事もちゃんとやっていたし、土日も出勤してたし、何も言われることはないと思って、会社にどうにかならないかと相談したら、『あなたは子どもに集中しすぎてる』って言われたんです。もちろん子どものことも親としてやるべきことはやって、仕事もやってますって伝えたけど分かってもらえなかったので会社を辞めました。正社員だったので、1年9ヶ月はハードな日々を過ごしましたね」。

その後、縁があり建設関係の仕事に就職するも「子どもがいる人が働くのは、やっぱり難しいかもしれん」と言われ辞めることもあった。業界によっては、まだまだ子育て中の女性が仕事するには高いハードルがあるなぁ…と、江藤さんの話を聞いて、改めてその厳しい現実を知った。

江藤知枝さん[フリーランス]

困っている人を助けられる
オンリーワンのサービスを見つけたい

だけど働くことを諦めたくない! そう思い続けていた江藤さんに、またまた新しい仕事が舞い込んでくる。今度はコールセンターの管理の仕事。正社員での採用だったが、途中でグループ会社の営業として出向になり、自宅でのリモートワークが始まる。1年半経った頃、規模縮小のため収入も減少。退職を決意する。

「この頃から、雇われる仕事は向いてないんじゃないか?と、起業を考えるようになりました。自分がやりたいようにって言うとワガママに聞こえるかもしれないですが、自分でやっていくのも一つの選択だなと」。

そこから職業訓練校に入学し、2級ファイナンシャルプラン技術士の資格を取得。もともと学ぶことが好きだったので、今まで知らなかったお金の知識を知ることができてワクワクしたと江藤さん。

「相続関係のお手伝いができる仕事をしてみたいと漠然と考えていたんですが、色々調べるとハードルが高いということが分かり今の自分では難しいなと…。でも、いつかは自分にしかできないサービスを作りたいと思っています。〝何かしてみたいけどその一歩をどう踏み出せばいいか分からない〟と言う人にアドバイスできるような、困っている人を助けることができるサービス。でもそれをお金にするって本当に難しいことですよね」。



その後、県の事業の「googleマイビジネス促進事業」に参加し、成功報酬型の仕事を初めて経験する。「ラグビーW杯やオリンピックで日本を訪れる海外の方に向けて、マップ情報を充実させるという事業。お店の方に登録してもらい、情報を開示する方法を教えるため、各店舗を回ってお知らせしました」。この仕事が終わるタイミングで、またエクステリアの仕事の話が舞い込んでくる。

「何度辞めて離れても、結局ここに戻ってくるんだなって思いました(笑)。だけど、これまでと一緒の働き方をしてても同じことの繰り返しなので〝業務委託で働きたい〟とお願いしたんです。要望を受け入れてもらい委託でお仕事をさせてもらってます。図面を描くCADを使うには、会社に出社しないといけないんですが、自分で3D CADを持ちたいと思って今準備しています。それが可能になったら、今までできなかった夜の時間帯に、家で図面を描くことができるようになります。そうなると一日中働くことになるかもしれないけど、リモートワークが可能になるし、時間も有効に使えるようになるので、より自由な働き方ができるなと。仕事を探してる主婦の人たちにCADの技術を教えて、人材を育てたいなとも考えています」。

同時に、再びコールセンターの管理業務の仕事も再開し、今は何足ものわらじを履いている状態の江藤さん。毎日やることが山積みで頭の中が混乱することもあるとか。そんな中、週1回の「大工活動」でリフレッシュしているそう。

「別府の古民家の改修を大工女子でお手伝いさせてもらってるんです。いろんな職業の仲間が集まって、一緒に壁を塗ったり床を貼ったり。大工仕事の後は温泉にゆっくり浸かって、美味しいものを食べるんです。あと、家族や友達家族とのキャンプもリセットさせてくれる大切な時間です」。

たくさんの人と関わって一緒に仕事をするのが好きだと江藤さん。「今は頭がこんがらがってしまうこともあるけど、無理な時は早めに正直に無理と伝えて、どこにも迷惑かけないよう仕事をしていきたいです。とにかく今は走り出している最中。このまま突き進んでもいいかなって思ってます!」。

どこまでも貪欲に、正直に、自分の働き方を追求してきた江藤さん。たくさんの仕事を経験して走りつづけ、自分が理想とする働き方がやっと漠然と見えてきたと話してくれた。受け身じゃダメ。待っていてもだめ。変わらないなら自分が変わるしかない。「働ける場所がない」なんて、江藤さんを見てると言い訳にしか過ぎないと教えてもらった気がする。

江藤知枝さん[フリーランス]

この記事のライター:安達博子

江藤さんの頭の中を割って見てみたい(笑)。現在は、エクステリアの図面制作の仕事からコールセンターの管理業務、販売営業のサポートなど、ほぼリモートワークでの働き方が実現しているようですが、様々な職種の様々な仕事を同時進行していてすごいです! 働く場所がないなら、働く場所を作ればいい! それを実行している人がいるって、本当に心強いです。忙しい中で娘さんとの時間も大事にしている江藤さんですが「自己肯定感が低くって」という意外な言葉にちょっとびっくり。なんでですかー!! 自分を褒めてあげてくださいよ! たくさんの女性たちに勇気を与えてくれてますよ! 今後どんな新たな世界に出会っていくのか、これからの江藤さんも楽しみです。あ、大分川の河川敷、一緒に走りましょうね。

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