MAMA STYLE様々なママの様々なスタイルを
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2023.10.31

ないのなら自分で働く場所を作る
〝ママたちに寄り添う〟をモットーに

織田佑衣さん[フリーペーパー出版・家づくりサポート]

今回のママ:
織田佑衣さん [フリーペーパー出版・家づくりサポート]
38歳・大分市出身・大分市在住(1歳9ヶ月の女児の母)

住宅関係の仕事から広告会社へ転職し、妊娠・出産を経て、仕事を続ける大変さを実感。「だったら自分たちで働きやすい会社を作ろう!」と『企業組合 Koa』を起業した織田佑衣さん。ママに寄り添うことをモットーに、長年構想を温めていたフリーペーパーの発行、住宅プロデュースを現在の仕事として毎日奔走している。時には、まだ1歳の娘さんと同行して営業に回り、3万部のフリーペーパーの配送を一人で行なっていた。そのパワーを生み出す佑衣さんの信念とは…。

工業高校を経て
やりがいのある住宅関係の仕事に

子どもって、絶妙なタイミングで熱を出す。楽しみにしてたスケジュールや外せない仕事の時に限って、まるで嫌がらせのように(泣)。取材先に現れた佑衣さんに、保育園から娘さんが熱を出したという連絡が入った。「日程変えて、また改めてにしましょうか?」と提案すると「大丈夫です!主人が対応してくれるので」とのこと。その後すぐに、ご主人が取材先に駆けつけた。「よろしくお願いします」とご主人は足早に保育園へ向かった。連携プレイがきちんと取れたご夫妻なんだろうな…と二人を見ていて、ホッと心が温まった。



幼い頃から、マンションや家のチラシがなぜが好きで、大切にファイリングしていた。ページをめくるたび「ここが私の部屋で、ここに家具を置いて…」と想像して楽しむのが好きだった。その影響もあってか、大分県立大分工業高校の建築科に進んだ。

「周りは男子ばかり。その中でやっていけるの?と中学の先生は心配してくれたんですけど、高校の3年間はすごく楽しかったんです。どちらかというと男勝りな性格だったし…」。高校卒業後は地元の工務店に就職。CADや設計、コーディネーター、現場監督の仕事を経て、注文住宅の営業職に付き、28歳まで勤めた。その後、子供服の販売の仕事に転職するが、再び同じ工務店に戻った。

「子供服の展示会の帰りの電車で、偶然お世話になった工務店の社長に出会ったんです。久々に再会して話をしていたら、工務店が住宅展示場にモデルハウスを出展するとのこと。そこに待機してくれるスタッフを探しているのでやってみない?と誘われて。子供服の販売の仕事は楽しかったけど、住宅の仕事への未練もあったのでその仕事をお受けすることにしたんです」。久々に住宅関係の仕事に復帰した佑衣さんは、来客するお客さんにまるで家族のように寄り添った。とてもやりがいのある仕事だった。

勤務していた31歳の時、子宮頸がん・卵巣嚢腫を患い手術を行った。その後、33歳で結婚。友人のお店を偶然訪れたご主人に出会い、ビビっときた佑衣さんからのアプローチでお付き合いが始まった。「私、この人と絶対に仲良くなる!って思ったんです」。それが16歳年上の現在のご主人。離婚歴がありお子さんもいたが、そういう状況に興味を持った佑衣さんは「どうにかしてこの人を攻略しよう!(笑)」と思ったそうだ。10月に出会い、12月には両家の顔合わせ、3月には結婚というスピード婚だった。今では、ご主人は佑衣さんにとって最強のサポーター。やりたいことを全肯定してれ、誰よりも佑衣さんの可能性を信じて後押ししてくれる存在だ。

織田佑衣さん[フリーペーパー出版・家づくりサポート]

困難だった仕事と不妊治療の両立
ならば自分で作ろう!と起業

結婚後、すぐに妊娠がわかったが流産を繰り返し、赤ちゃんができにくいことがわかった。勤務していた住宅展示場はコロナ禍で閉鎖することになり、やむを得ず退職することに。その後、広告会社のパートに転職した。勤務しながら不妊治療で北九州の病院に通った。当初から不妊治療でできる最後の砦、顕微授精を行うもなかなか赤ちゃんは授からなかった。不妊治療中は様々な試練もあり、子宮外妊娠で卵巣の手術をした。治療を初めて3年、36歳のときに念願の赤ちゃんを授かった。

「最初は双子だったんですけど、次の検診で一人の心音はもうなくなっていました…。でももう一人の赤ちゃんは無事に育ち、妊娠中も特に問題もなく無事出産することができました」。



仕事と不妊治療の両立はとても大変だった。北九州に通いながら働くことに困難を感じ、会社を辞めた。「ママたちの働きにくさや立場の弱さを強く感じました。そういうママたちが働きやすい職場環境を誰かに求めるんじゃなくて、自分で作ろう!と思ったのがきっかけです」。その後『企業組合 Koa』を起業した。

「住宅の営業の仕事時代、多くの家族と出会い〝家族〟というものが好きだと気付いたんです。自分の家族はもちろん、どんな家族も〝家族〟という在り方が素敵だなって…。私、マザコンなんです(笑)。お母さんが大好きで、〝母〟という存在全てが好き。自分が起業した時、そんなママたちが少しでも楽しくなったり嬉しくなったりできることを提供して、寄り添いたいと思ったんです」。

織田佑衣さん[フリーペーパー出版・家づくりサポート]

構想していたフリーペーパーを発行
ベースにあるのは〝人が好き〟という気持ち

起業後まず取り組んだのは、広告会社で働いていた経験をもとに、フリーペーパーを発行すること。長年構想していたママ向けのフリーペーパーを形にした。それが「おおいたのママ・パパのためのマガジン HANAMARU(はなまる)」だ。発行して丸2年、現在12号目が発行されている。 

私も長年出版関係の仕事に携わってきたので、取材をして記事を書き、校正をして出版するまでの工程の大変さを良く知っている。持参してくれた「HANAMARU」を拝見し、営業活動や誌面構成を一人でこなしているという話を聞いてびっくりした。「今はこの『HANAMARU』が名刺代わりだと思って作っています。ママたちに少しでも面白いと思ってもらえたら嬉しいです」。3万部発行し、現在は大分市内の幼稚園や保育園、子どもルーム、小児科などに配置している。「少し前までは、配送も一人でやっていました。そうしたら、私も配るよ!と言ってくれる方がたくさんいて、皆さんに配送を手伝ってもらえることになったんです」。



現在は、フリーぺーパー発行以外にもチラシ制作や代理店の仕事、イベント企画のディレクションなども行なっている。「やりたいことを口にすると皆さんが手伝うよ!と言ってくれたり、いろんな方を紹介してくれたりして多くの繋がりが生まれています。『HANAMARU』のイベントにも多くのママたちが来場してくれ、誌面の表紙モデルオーディションは大きな反響がありました。みんなが声をかけあってくれて口コミで広がって、本当にありがたかったですね」。広告関係の仕事の他にも、住宅の仕事に長年携わってきた経験を生かし、家づくりやライフプランの相談を受けている。聞いただけでも、やること、やりたいことが山積み。現在、1歳9ヶ月の娘さんの子育てをしながら、それらの業務をこなしている。このパワーはどこから生まれているのか? 

「今年の春から娘は保育園に通い始めましたが、その前までは仕事の現場に娘を一緒に連れて行ってました。どこの営業先の方も娘を可愛がってくれて、逆に私一人で行くようになったら『え?社長は?(娘さんのこと)』ってみんな寂しがってくれてます。子連れの反応はまちまちですけど、冷たくあしらわれても、優しくされても、その反応も私自身が面白がってました(笑)」。



佑衣さんの思考がとにかくすごい。普通ならきっと凹むであろう相手の冷たい言動や行動も、全て面白く捉えられる。これは才能だと思う。どうやったらこんなに前向きに物事を捉えられるのだろう。

「昔からかなりポジティブな性格でしたね(笑)。高校の時にいろんな人の反応の面白さに気付いて、たとえいじめられたとしても(笑)『どういう考えでそんな発言になるん?』って、その人の思考を考えるのが面白くて。そこからもっと深くドラマチックに想像するのも好きなんです。その人の人生を想像するのも面白いと感じるんだと思います。多分、私、人が好きなんだと思います」。

織田佑衣さん[フリーペーパー出版・家づくりサポート]

一人一人の夢を
みんなの力で一緒に叶えたい

これからの目標や夢を聞いてみた。

「ママたちの人生に寄り添うというのが私の中のテーマ。私と同じように、子育てのことで自分も役に立ちたいと思ってるママもたくさんいると思うんです。そういう人たちの夢を、みんなで叶えたい! 一人一人の力だと叶えられないことでもみんなでやれば叶えられるし、別々の夢でも繋がっている部分が絶対にあるから。夢を叶えるまでの時間も早いと思うんですよね。この輪に入ってくれた人たちの夢を、みんなで叶えたい!。そして、そういう会社を作っていきたいし、みんなが集まれる拠点を作りたいんです!」。

様々な可能性を秘めている佑衣さんの活動。名刺がわりに発行しているフリーペーパー「HANAMARU」を核に、佑衣さんがやりたいことがどんどん広がり、文字どおり、人生の大きな〝花マル〟を描き続けている。彼女のひたむきで一生懸命な姿に心動かされ、活動に賛同するママたちが集う。そうして、今よりももっともっと大きな円(縁)が広がっていくのが想像できる。「やろうと思えば、できないことは何一つない」と、背中を押してもらった気がする。

織田佑衣さん[フリーペーパー出版・家づくりサポート]

この記事のライター:安達博子

みなぎるパワーが半端ない! 「悩んでも2時間(笑)」と佑衣さんは言ってたけど、心を痛める経験もたくさんしてきたはず。でもその経験を面白さや楽しさに変換し、突き進む力にしている。こういう人が上に立つべき人だと感じました。フリーペーパー「HANAMARU」は、紙媒体だけにとどまらず、今後大きな影響力を持つ媒体になると確信。「ママたちに寄り添いたい」という佑衣さんの純粋な想いや行動が、多くのママたちの心を動かしているからだと思います。ママのままプロジェクトとコラボしたら、面白いことできそー!!と勝手に興奮するのでした。彼女の並々ならぬ行動力は、私たちに多くのことを教えてくれた気がします。これからもたくさんのママを巻き込んで、面白いことたくさん仕掛けてくださいね~!楽しみにしてます。

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