2024.04.23
今回のママ:
三浦和歌子さん[保育施設園長]
38歳・国東市出身・大分市在住
(小学校6年生・2年生・年長の二男一女の母)
大分市の猪野にある、認可外保育施設「Mammy Mammy」を開園し、今年で8年目。母として、園長として、多忙な毎日を過ごしている三浦和歌子さん。第二子を亡くすという辛い経験を経て、ママたちの困り事をサポートできることはないかと模索し、保育施設を作りました。
インスタのDMに取材依頼の連絡を送った。「大したことはしてないので私なんぞがお役に立ちますでしょうか…。でも私の話が少しでも誰かの役に立つのならお受けしたいと思います」と丁寧に返信をくれた。その謙虚さに「きっと素敵な女性に違いない」と確信した。海が見えるいつものカフェで待ち合わせ。先に店内で待ってくれていた和歌子さんを見つけ、初めましてのご挨拶。小柄でおしゃれさんな和歌子さんは、やっぱり素敵な雰囲気の女性だった。
お子さんを亡くした後、気を紛らわすためにも仕事をしようと、様々な職を探した。しかしまだ子どもも小さく、働ける時間が短いのでなかなか条件に合う職が見つからなかった。そんな中、アパレルメーカーのGUでパート勤務できることに。
9ヶ月働いた頃、妊娠が判明。恵まれた職場環境だったが、片道40分以上かかる通勤時間も考慮し出産ギリギリまで働くのは無理だと退職を決めた。
「子どもとの時間も大事にしながら働ける仕事はないかなぁと考えた時、フィッティングルームで試着する、子連れのママたちが困っていたことが頭に浮かんだんです。改めて小さな子どもを連れて買い物するのって大変だよねぇって。だったら、ちょっとの時間誰かに見て欲しいと思った時に利用できる一時預かりを始めよう、と。保育園に勤めていた時に、同僚と『みんなで保育園作りたいね』って話もしてたので、多分ずっと頭に残っていたんだと思います」。
そのアイデアを、自営業を営むご両親に話したところ「商工会議所に相談に行ってみたら? やってみたいことがあるならチャレンジした方がいい!」と背中を押してもらった。そこからトントン拍子で話は進み「周りに言われるがまま、いつの間にか保育施設を建てることになって、後には引けない感じになりました(笑)。でも思ったんです。失った命はどんなに願っても頑張っても取り戻すことはできないけど、それ以外のことだったら失敗してもその後の努力でやり直せる!って。亡くなった子どもが教えてくれたんだと思います」。
和歌子さんの1日は早朝5時半からスタート。ランニングマシーンで30分間汗を流し、シャワーを浴びてお弁当と朝食を作り、子どもたちを送り出し、8時半に保育施設をオープンする。仕事が終わると男子2人のバスケへの送迎。休日も子どもたちの用事で埋まり、ほぼ自分の時間はない。
「反抗期もあって、子育ての悩みもたくさんあるけど、保育施設に来る保護者の先輩ママたちに、逆に相談に乗ってもらったりしてます。家に帰れば戦場だけど(笑)保育施設は私にとって癒しの時間でもあります。保育士って、信頼している家族以外で一番最初に蜜に関わる大人だと思うんです。ここを卒園した後に通う保育園や幼稚園でいいスタートが切れるよう、〝親以外にも信頼できる大人がいる〟ということを伝えるために、いつだって楽しい場所でありたいと願っています」。
認可外保育施設「Mammy Mammy」利用の詳細はインスタをご参照ください
https://www.instagram.com/mammymammy913/
この記事のライター:安達博子
人の困り事の中に、商売のヒントがあるといいます。アパレルの仕事を通じて感じた、ママたちの不自由さをどうにかしたいという、リアルなママ目線が保育施設を作るきっかけになったのです。園長だからと肩肘張らず、等身大の自分をさらけ出せる彼女の周りには、いつも子どもたちや保護者の方の笑顔が咲き誇っていると想像できます。辛い話も涙を見せずに話してくれた和歌子さん。その強さもすごくかっこいいと思いました。目には見えないだけで、人それぞれいろんな経験をして今を生きているんだと、改めて感じた今回の取材。ランニングに取り憑かれている者同士、これからも繋がっていたい人です。次は、一緒にマラソン大会に出場しましょう! 私、和歌子さんに猛烈に勧められ、ランニングマシーンの購入も真剣に検討中です(笑)。