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2020.04.09

働き方改革や、ダイバーシティへの取り組み。
時代に求められる「イクボス」とは?

イクボス・セミナー

イクボス・セミナー

共働き世帯が増加している今、仕事とプライベートが両立できる職場環境が必要不可欠です。そこでポイントになるのが従業員や部下の育児参加に理解のある経営者や上司「イクボス」。1月28日、大分市の九州電力㈱大分支所にて開催したイクボス・セミナーでは、講師にNPO法人ファザーリング・ジャパン九州の中小企業診断士・中倉誠二さんをお招きし、「令和時代に求められる管理職とは〜イクボスによる働き方改革〜」をテーマに、イクボスに関する知識や、働き方改革の進め方などを学ぶ講演会やワークショップを行いました。

業績を上げ、結果を出しつつ、
自らも仕事と私生活を楽しむ

「父親を楽しむ、笑顔の父親を増やす」を目的とし、全国で約500名が所属するファザーリング・ジャパン。自身も双子の男の子のパパである中倉さんは、「わたしが社会人として働き始め、子育てを経験して現在に至るまでの30年間で働き方が激変した。社会の流れを踏まえ、管理職や経営者は何をすればよいのかを今一度考える必要がある」と述べ、講演をスタート。少子高齢化が進み、労働力の減少が深刻な問題となっている今、それを解消するためには2つの対策が必要になるとのこと。1つは労働者の生産性を上げること、もう1つは外国の方や子育て中の女性、障がいをもつ方が活躍できる環境をつくることだと説明しました。



生産性を上げることに関しては、「期間効率から時間効率へのシフト」がポイントだと紹介しながら、仕事のスタイルを、仕事が終わるまで全力投球する「野球型」と、決められた時間内でやりとげる「サッカー型」に分け、わかりやすく説明。また、急増する共働き世帯、迫り来る大介護時代にも触れながら、時短制度やフレックス制度を使う「時間制約社員」の増加にも言及。「育児や介護との両立はもちろん、プライベートとの両立を意識して働きたい人も増えています。やらなくて良い仕事や時間短縮できる仕事など、仕事の整理整頓が必要です」と中倉さん。



まずは、管理職や組織のトップの方の意識が変わらないといけない。男性の育休やワーク・ライフ・バランスといった時代の変化を理解し、「お互い様」「相互感謝」の風土を醸造する。そして、部下の事情 に配慮しながらチームをまとめる「密なコミュニケーション」、業務の断捨離・時間のムダを削減する「働き方の見直し」など、イクボス10か条を紹介しました。セミナーの参加者たちは、イクボスの重要性や働き方改革について注意深く耳を傾けていました。

イクボス・セミナー

参加者の九州電力大分支社 一井さんの声

―もともとイクボスという言葉をご存知でしたか?

イクメンという言葉は知っていましたが、イクボスについては知りませんでした。今日のセミナーに参加し、今後働き方改革を行ううえで、あらためて管理職や経営者の意識改革の必要性を感じましたね。

―セミナーよりも前に行っていた活動などはありましたか?

本店のダイバーシティ担当部署による女性社員向けセミナーや、女性を部下に持つ管理職向けのセミナーを年1~2回程度開催しています。また、女性の育児休職や育児短縮勤務などの育児支援制度は社内でも浸透していて、活用されています。そのため、結婚・出産に際しては、ほとんどの女性社員が退職せずに働き続けていますが、大分県内の弊社事業所における男性の育児休職取得状況は、2019年度で2名にとどまっており、まだまだ浸透しているとはいえません。育児をしている男性(イクメン)を取り上げ、社内イントラネットに掲載するなどの取り組みも行っておりますが、引続き育児に積極的な男性をPRしていきたいです。



―働き方改革や多様性への理解に向け、どのようなことに取り組んでいこうとお考えですか?

近年は「女性活躍推進に関する行動計画」に基づき、女性の管理職登用やキャリア形成支援に力を入れていますが、その為には職場の上司や同僚の意識改革や風土醸成が重要です。先述した社内セミナー・研修会や、社内イントラネットでのロールモデルとなる社員の紹介等の情報発信に加え、働き方改革などに関する社外セミナーへの参加の働きかけなども行っています。社員一人ひとりが性別や年齢などに関わらず、働きがい・生きがいを持って仕事ができる職場、活力ある企業風土の形成を目指すため、まだまだ取り組むべき課題はたくさんありますが、参加者にとって今日のセミナーが大きなヒントになったのではないかと感じています。

イクボス・セミナー

大分県福祉保健部 こども未来課 小山玄さんの声

―これまでもイクボスセミナーを何度か開催されていますが、振り返ってみていかがですか?

人口減少・高齢化社会の影響を受けて、優秀な人材を獲得し、働き続けてもらうためにも、多くの企業で働き方改革が推進されています。そのなかで具体的なアクションを起こしていこうと取り組んだのが「イクボス宣言」です。これまでにもNPO法人ファザーリングジャパン代表の安藤哲也さんのセミナーを開催するなど、イクボスの必要性を謳ってきました。今年はそこから一歩踏み込んで、直接企業に出向いて出前講座という形で展開しました。イクボスセミナーを行うことで、企業の管理職の意識改革をし、まず何をすべきかを考えてもらう。そこで得た知識や考え方を自分の会社に落とし込んでいってもらう。そんな良い流れができてきたのではないかと思います。



―ママたちにとってもイクボスは心強い存在になりますよね。

共働き世帯が増えている今、ママたちが働き、キャリアを伸ばしていくには、子育てに理解がある企業でないと難しいでしょう。さらに、ご主人と家事や育児を分担することも重要。ママの働きやすさのためには、こういった家庭の事情を理解するイクボスの存在が必要不可欠です。イクボスの存在は、ママたちが職種をえらぶときの基準になりますし、企業も戦略として掲げることで、より優秀な人材を獲得できるようになりますよ。

―今後の目標はありますか?

これまで県内企業5社でセミナーを開催しました。来年度も同じくセミナーを行っていきたいですね。回数を増やすのはもちろん、さらに内容の濃いものにしていきたい。また、10~20人の大人数での開催がほとんどでしたが、人数が少ない企業の場合は同じ業種が数社集まって行っても良いですね。イクボスの啓蒙活動をすることで、今は男性社員が多い企業でも、女性社員を獲得しやすい社風に変わっていきます。社会のあるべき未来の姿を教えてくれるのがイクボスなのです。大企業だけでなく、すべての企業が同じ方向を見て、取り組む風潮をつくっていきたいですね。

イクボス・セミナー

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