必要な分だけ量り売りで購入して
「zero waste=ゴミをゼロに」の社会へ
―どんなアイテムを取り揃えていますか?
オーガニック食品や雑貨、洗剤など、120~130商品が並んでいます。個包装していないので、容器を持参し、必要な量だけ量り売りで購入するシステムです。ゴミと食品ロスの軽減を目指しています。農薬を使っていないオーガニックの商品をメインに取り扱っています。輸入品が多いのですが、最近は大分県内在住の作り手さんや農家さんのお野菜なども少しずつ増やしています。
―商品選びのこだわりはありますか?おすすめのアイテムがあれば教えてください。
気になる商品があれば、自分で試してみたり、生産者の方に直接お取り扱いを依頼しています。さまざまな業界の方に、おすすめの商品を紹介してもらうこともありますが、ひとつの商品を販売するときに、その商品が作られた背景は考えるようにしています。特におすすめなのは「春の花のはちみつ」「栗の花のはちみつ」です。ヨーロッパでオーガニック認証を取得した非加熱のハチミツで、栄養もたっぷりです。こちらのクッキーは湯布院で作られた動物性食材を一切使っていない商品です。納品する際は、ビンを差し替えるだけなので、販売までパッケージのゴミが一切出ません。また、「超濃厚なめらか豆乳アイス」450円といったカフェメニューは、イートインスペースで楽しむことができます。
イートインスペースには、環境問題に関する書籍や絵本などが並んでいます
―料理教室のようなイベントも開催しているのですね。
7月末に、初めての料理教室を開催しました。マクロビ料理の先生を招いて、wazawazaビルにある「キッチンスタジオeat」で、お店で取り扱う商品を使いながら、切り干し大根のサラダ、玄米ご飯、お吸い物、デザートなどをつくりました。参加者はほとんど女性でしたが、男性の方も1名参加していました。
―今後もさまざまなイベントを開催する予定ですか?
定期的にイベントを行う予定で、特に料理教室は月に2回くらい実施したいと思っています。日本茶の販売もしているので、8月28日には、別府のお茶屋さん「hitofuki」をお呼びして、夏茶会をする予定です。また同ビル内「Lotus(ロータス)」とのコラボで朝ヨガを体験したあとに、店でひと休みするイベントも定期開催予定です。
気負いすぎない “BETTER”のマインドで、
環境問題を意識し、より良い社会へ
―店舗をオープンさせるに至ったきっかけは?
数年前、友達と沖縄に旅行に行き、美しい海を満喫して帰って来ました。しかし、その後ニュースで、温暖化やプラスチックゴミの影響でサンゴなど海の生物が死んでしまっていることを見聞きし、生活の中で排出されるプラスチックごみ問題が気になるようになりました。生活からプラスチックを排除しようと試みましたが、ちょうどコロナ禍で、さまざまな商品が個包装されるようになってきたタイミング。社会環境的にも難しく、苦戦しました。そこで、容器を持参し必要な分だけ買って帰る量り売りスタイルのお店をオープンさせようと決意。押し付けではなく量り売りの“楽しさ”を感じてもらうことで、環境問題への関心が広まれば嬉しいです。
―もともとオーガニック商品にこだわりがあったのでしょうか?
昔は何も気にしていませんでした。環境問題について考えるようになってから、オーガニックの食材に少しずつ切り替えるようになりました。また、農家さんから直接購入した野菜を食べた際、あまりの美味しさに感動し、そこから“自分にできることは何か”を考えはじめ、行動が少しずつ変化しました。
―店名の「BETTER」は、「もっと良い社会へ」との想いからですか?
私自身、日常からプラスチックを徹底的に排除しよう、口にいれるものをとにかくオーガニックなものにしようと、こだわりすぎて苦しくなった時期がありました。スーパーに行ってプラスチックを使っていないものを買おうとすると、何も買えずに帰ってくることも頻繁にありました。「より良い世界にしたい」という想いは大前提ですが、ベストを目指すとキリがなくなってしまいます。「今より少し良い選択をするベターぐらいのマインドでゆるく続けていこう」という意味を込めて名付けました。このお店に来ることで、皆が少しずつ環境問題への意識を持ち、行動が変われば良いと思っています。
こちらのはかりで重さを量ります。
容器がない場合は、無料の紙袋や寄付瓶を利用したり、店内で袋を購入可能!
社会問題を“自分ごと”にする
気軽にSDGsに取り組めるお店へ
―学校や、社会でもSDGSに取り組むことが多くなりました。しかし、子育て中の女性にはあまり馴染みがないのではと感じます。いかがでしょうか。
SDGsへの意識は少しずつ高まっていると感じています。そして、より多くの方に関心を持ってもらいたいと思っています。テレビやニュースでも環境問題については伝えられていますが、あまり身近に感じることもありません。実際、地球の環境はかなり深刻な状態で、今の母親世代でなんとかしないと、子どもたちが大人になるときには、かなり悲惨な状況になると思っています。近い将来、水不足や食糧不足が起こり、戦争も激化する可能性もあります。遠くの国で起きていることではなくて、わたしたち全員に関係があることです。社会の問題をいかに“私ごと”にしていくかということが大切だと思います。
―地球環境を守るために、普段から意識しておいたほうが良いことはありますか?
なかなか環境保護活動に参加することはハードルが高いので、まずは、環境に配慮した商品を製造・販売している企業やグループ、地域の有機農家さんの商品を購入することです。大事なお金で、なんとなく商品を買うのではなく、どんな企業に、どんなモノに使うか意識しましょう。お買い物で生産者を応援することは、私たちが取り組みやすいアクションだと思います。私自身、プラスチックフリーの生活を始めて、商品選びを意識しはじめたとき、「野菜は有機栽培のものに変えてみよう」「洗剤は生分解するものに替えよう」など、ゲーム感覚で楽しんでいました。何か1つでも、環境に良いものに変えてみるだけでも違うと思います。また、お子さんと一緒に来店し、「何グラムくらいだと思う?」「じゃあビンの重さを引いたらなんグラム?」と、量り売りの体験を楽しんでみるのも良いのではないでしょうか。「楽しい!」「ワクワクする!」という気持ちをもとに、量り売りの意義を知り、環境やSDGsへの学びを深めるきっかけにもなります。
―今後のビジョンや目標はありますか?
まずは、量り売りのお買い物方法が受け入れられ、当たり前になるといいなと思っています。また、環境問題に関心を持っている方もいるのですが、「何から始めたら良いのか分からない」、「自分の行動は正しいのか不安」といった声をもらうので、環境問題やSDGsに関する勉強会や講演会を開催し、お店を起点にして、お客様同士でつながる、コミュニティのようなものをつくることができたらいいなと思っています。