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2024.04.16

つながり、ひろがる。
誰ひとり取り残すことない社会へ。

九州若者サポートネットワーク(9sapo)

九州若者サポートネットワーク
事務局長 矢野 茂生さん

社会には、さまざまな要因によって、親や家族を頼ることができずに、生きづらさや困難を抱える子どもや若者がいます。「九州若者サポートネットワーク(9sapo)」は、彼らのサポートや居場所づくり、社会参加や就労支援に取り組んでいる九州各地(沖縄含む)の団体を応援するネットワークです。困りごとを抱える子ども・若者が、社会の中で応援される仕組みと、スムーズに支援できる環境をつくるためのつながりを、九州・沖縄に広げる取り組みを展開しています。今回は事務局長の矢野 茂生さん(特定非営利活動法人おおいた子ども支援ネット)に、設立の経緯、目的、ビジョンなどをお聞きしました。

子どもの数は減少しているのに
困難は増加している現状

―子どもや若者が抱えている問題について教えてください。

現在、社会には、貧困や虐待、両親の不慮の事故・病気などが原因で、生きづらさを感じている子どもや若者がいます。彼らは、「相談できる大人や友人が近くにいない」「進学を諦めた」「自分ひとりで生活費を工面しなければいけない」といった悩みを抱えながらも、自立を求められ、学び、働き、暮らしていかなければなりません。



―困りごとを抱える子どもたちはどれぐらいいるのですか?

児童養護施設や里親家庭といった社会的養護のもとで暮らす子どもは全国に約42,000人、虐待相談の対応件数は207,000人、小中高生の自殺件数は514人(2022年)にものぼります。長引いたコロナ禍や物価上昇など、社会の変化にもっとも大きな影響を受けるのは、家庭基盤や経済基盤の弱い若い人たち。コロナ禍をきっかけに、親の失業などによって経済的に困窮し、誰かのサポートが必要にもかかわらず誰にも頼ることができない子どもたちが増えました。

社会的にはコロナ禍以前に戻ったように見えます。しかし、一度生活の基盤が崩れてしまうと、立て直すのは難しく、現在も多くの人がサポートを必要としています。「児童福祉法」には、困難を抱える子どもや若者を保護、ケアする制度や事業はありますが、彼らが抱える状況が困難であればあるほど、現行の支援制度では対応ができません。

そんな問題を打破するため、「九州がつながる・ますます豊かな支援が拡がる」ことを目標に、子ども・若者たちをサポートする団体を応援するネットワーク「9sapo」を立ち上げました。

九州若者サポートネットワーク(9sapo)

九州にはあったけーひとがおる
だから歩むことを諦めないでほしい

―9sapoについて教えてください。

未就学の子どもたちから、児童発達支援センター、ひきこもり地域支援センターなど若者・青年期まで困りごとを抱える人のライフコースをサポートする「特定非営利活動法人おおいた子ども支援ネット(大分県)」、広島から鹿児島までの9県で、高齢者、障がい者、子ども、生活困窮者の福祉に取り組む「社会福祉法人グリーンコープ(福岡県)」が協働で9sapoを運営しています。



―矢野さんのもとにはどんな相談が寄せられますか?

子どもたちが抱える悩みのひとつに「虐待」が挙げられます。その背景には、貧困や孤立などさまざまな要因があります。虐待を受けた記憶は、大人になったからといって消えるわけではありません。誰にも相談できず、頼ることも出来ず、ひとりで苦しさや辛さと戦っている子どもがいます。彼らが安心して暮らせる環境をつくるため「共生の理念」を大切にしながら、児童福祉のみならず、若者支援、まちづくりなど多様な活動を行う方々とつながり、子どもや若者の笑顔と伴走者たちの安心が増えるよう、社会をデザインしていきたいと考えています。

―より多くの人に9sapoについて知ってもらいたいですね。

生きづらさや困難を抱える若者の存在や9sapo設立の経緯、目的、ビジョンなどをより多くの人に知ってもらうため、イベントへの参加や研修会なども開催しています。九州のいろんな場所で、子ども・若者たちの「話を聞いてほしい」、「こんな夢をかなえたい」といった小さな声が、たくさんの人に必ず届く社会をつくっていきたいと思っています。

九州若者サポートネットワーク(9sapo)

「九州若者おうえん基金」で
子ども・若者を守り、支援したい

―支援団体への助成も行っていると聞きました。

現行の制度ではカバーしきれない子どもや若者の困りごとを受け止め、伴走していく団体等に助成を行うための基金「九州若者おうえん基金」を立ち上げ、支援を募っています。社会的養護のもとに育った九州全域で暮らす子ども・若者を支援する伴走者から助成が必要なプランや事業を公募し、外部の厳正なる審査を経て、助成を行なっています。



―助成金によってどのような支援が行われるのでしょうか?

実際には、若者への食糧支援、就労体験プログラムへの参加、就職活動用のスーツの提供、大学入学費用の支援、居住サポートなど、若者たちがひとり立ちするために、さまざまな取り組みを展開する支援団体へしています。2024年1月より1回目の助成団体の応募が始まり、4団体6事業への助成が決定しました。

―今後のビジョンを教えてください。

社会的養護のもとに育った子ども・若者たちを継続的にケアするためには、皆様からのあたたかいサポートが必要不可欠です。これまで支援の手が届いていなかった彼らが普通に暮らせること、もっと笑顔と安心が増えていくことを願い、今後も活動を続けていきます。

九州若者サポートネットワーク(9sapo)

九州若者サポートネットワーク(9sapo)
https://9sapo.com/

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