2018.04.01
渡辺真奈美さん(Maman 代表)
女性の働き方が変わってきている昨今、保育に関するニーズも多様化している。その中で問題視されているのが待機児童問題。大分市は全国の中でもワーストランキング上位にランクインしており、解決の糸口は見えていない状況が続いている。そんななか、子どもを受け入れる側の体制も変貌を遂げている。『働くママの応援団Maman(ママン)』は、認可保育園では実現が難しい「あったらいいな」のサービスを展開。仕事を抱えながら子育てに伴走し、ストレスも少なくないママたちの心強い味方となっている存在だ。今回は痒いところに手が届くサポート事業の内容や、働くママたちの現状について伺った。
ーママンを始める、きっかけは?
約2年前に自宅の一室で始めましたが、私は22年間、認可保育所の職員として勤めていました。その時には気づかなかったのですが、仕事を辞めてから「急な用事の時に預けるところに困っている」など、いろんな悩みをママから聞く機会がありました。それと同時に保育士と保育所不足の問題、大分市の待機児童数が全国でもワーストランキング上位であることも知って、まずは自分のできることからとにかくスタートしようと考えました。
ー日本のママたちの働く環境は目まぐるしく変わっていますよね。
保育所で働いていた間を振り返っても、すごく変わったという実感はありますね。お迎えが間に合わなくて、泣きそうな顔をして駆け込んでくるお母さんがいたり、親子行事に参加するために仕事を休むのが心苦しいというホンネを聞いたり…ママンでは保育園行事に代行参加するメニューも入れました。
ーお迎えが遅くなる、行事に参加できない保護者に対して、どのように感じていましたか?
正直、自分が出産前、保育所に勤めていた時は「どうしてこんなに大切な行事に参加できないんだろう」という疑問はありました。ただ自分自身、出産して子どもを預けてみると、自分が勤務する保育所と子どもを預ける保育園の行事が重なることも多く、すごく大変な思いをしました。そんな気持ちを自身がリアルに感じたからこそ、ママの「あったらいい」に寄り添いたいと思いました。
ー認可保育園と認可外保育園という2つのカテゴリーがありますが、ママンはどちらに属しますか?
大分市役所のホームページに「なあな」というものがあります。その一覧表では認可外の施設として掲載されています。私は長年保育士として勤めていたので、大分市からきちんと認可をもらいたいという思いで相談に行きました。すると、認可外の保育所として認めてもらえて。出張保育サービスなど独特な取り組みは「ベビーホテル」という欄で掲載していただいています。
ーママンでは認可保育園ではできないサービスをいろいろと提供していると感じました。お母さんたちのニーズを受けて最初に実現したサービスは何ですか?
送迎ですね。母子家庭で車がない方は、保育園までバスで送り迎えするのが凄く大変とおっしゃっていました。あとは産後とか、自分が動けない方からの依頼もありました。ママの声って、本当にヒントが多い。例えば朝の出勤が早いお母さんから、朝お宅に行って、朝食を食べさせて、保育園に連れて行って欲しいという依頼もありましたよ。
ーできないことは「できません」で終わるのが一般的な保育園ですよね。ですがママンさんは本当に踏み込んだところまでサービスを考えていますね。
「Maman応援メニュー」というカタチで保育料にプラスして、保育園行事への代理参加、病院へ連れて行く、昼食、入浴などがあります。
ーママたちは「これはさすがに無理かな?」と思いながら相談しますよね。そこで「できることは何でもやるから連れてきてね」と言ってくれると、本当に心強いと思います。
たとえば、結婚がきっかけで県外から来たママは、お困りごとが多くても頼れる人が少ない。県外ご出身なので実家というわけにはいきません。旦那さんの実家には頼みづらいとか。私は、ママンを実家と思って来て欲しいと伝えているんです。私は保育士さんではなくて、みんなのおばあちゃんだからねと(笑)。
ー長期預かりも行っているのですか。
もともとは単発のサービスでしたが、半年ぐらい経った頃に「もっと長いスパンで預けたい」という声をいただき、「週3パック」を作りました。大分市は待機児童の問題が解消されない影響もあると思いますが、今は「月極パック」も用意しました。
ー長期プランの一方で、1時間だけでも預けられるプランがあるなど、預ける側のライフスタイル、ワークタイムの多様性を考えていらっしゃいますよね。
一時預かりで単発の方は急な用事ができたとかで利用されますね。2時間後にはパパが会社から戻るので、その間だけ…とかですね。
ー学童保育もされていますよね。学校が終わった小学生も来るんですか?
小学生は校区問わず色々なところから来ていますね。長期休暇の時などは大家族のようになっていて、高学年の子どもがおむつを替えたりとか、寝かしつけたりとか。私が一番やりたかったのはそれなんですよね。見ていて温かい気持ちになります。
ー今、スタッフは何人ですか?
10人ぐらいでシフトを組んでいます。みんなママなんですよ。幼稚園に子どもを預けてから、ここに来てくれています。
ー4月から新しいサービスも始めるようですね。
出産後すぐに働きたいというママのために0歳児の預かりに力を入れます。一時預りの定員を増やしたり、金額もご利用しやすいように努力しています。今後は、企業へのサービス、提携も考えています。会社に託児ルームを作ってくれたら出張もできますから、子育てママに対するサポートをもっともっと増やしていきたいですね。
働くママの応援団 Maman
https://maman-oita.net/