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2018.04.01

女性の一生を支える!
一人ひとりの人生に寄り添う女社長の経営方針

株式会社MASUKO

塚田益子さん(株式会社MASUKO 代表取締役)

結婚や妊娠、出産、子育て。女性にとって大きなライフイベントは、ときに働く女性を苦しめることがある。フィットネスクラブ『カーブス』を運営する「株式会社MASUKO」は、働く女性の一生を支える覚悟で、スタッフの教育・育成を行ってきた。その想いとは裏腹に運営を始めた当初は離職率50%。困難を乗り越え、試行錯誤を繰り返しながら女性が活躍できる場を生み出した代表の塚田益子社長に、大切にしているマインドや自社の取り組みについて伺った。

“縁”を大切にする独特な採用&育成方法

ーフィットネスクラブ『カーブス』を始めたきっかけを教えてください。

法人化を決意したのは11年前の2007年。会社設立後、趣味である美や健康のビジネスをカタチにしようと考えていた時に『カーブス』に出会いました。

ー現在社員は何名いらっしゃるのですか?

約40名の女性社員がいます。

ー採用時にはどんなところを重視していますか?

人と人との出会いは縁だと思っているので、まず採用を断ることはありません。この縁を活かせるか、活かせないか。私は運の強い人、自分自身を持っている人しか残したくない。だから採用試験をする、しないよりは、ここに残って頑張れるかを考えています。

ースタッフの育成方法について教えてください。

基本的には『カーブス』本部の育成スタイルがありますが、それだけではなく大切にしてほしいマインドや考え方は私が直接伝えていきます。目的と目標の違いや志の話や、どうすれば自分の心はワクワクするのかなども話しますね。『カーブス』は接客スキル的には難しくありません。ただスタッフの人間性にこだわるので、「これをやりたい」というものがないと続かないですね。

ー成長スピードには個人差があると思いますが、経営者として焦ることはありませんか?

全員に「いつまでにここまでレベルアップしなさい」と言っても無理な話です。みんな才能が違いますから。一人ひとり、その人の一番得意なところを伸ばしていく。「今はここかな」と思ったところから、徐々に違うステージに上げていくというイメージですね。東京本部による10日間の研修があるのですが、そこまでにある程度実力をつけてもらって送り出します。研修に行けるまで3カ月の人もいれば半年の人もいますし、同期で入ってもバラバラです。大切なのは本人が自信を持って研修に臨むことですから。

ー『カーブス』さん自体もスタッフの育成に関してしっかり取り組んでいると思うのですが、さらに益子さんのエッセンスで化学反応が起きているように感じます。

人それぞれカラーが違いますから、同じマニュアルでも同じ結果は出ないですし、個性が必要だと思います。だから人間学や日々の会話を重要視していますね。

株式会社MASUKO

女性のライフイベントを見越して共に歩むこと

ー女性が大切なものが何かを共有することが、塚田社長の社員教育の軸と思うのですが。

その通りです。女性は給料や休みがたくさんあるからそれで満足かというと、そうではありません。「頼りがいがでてきたね」とか「しっかりしてきたね」などを周りの友人などから言われた方が、お給料が上がるよりも嬉しいこともあります。

ー活躍するスタッフが結婚や妊娠で仕事をお休みすることに対して、「惜しいな」と言う気持ちはありますか?

それを見越して育てていますね。結婚も半年くらい前には分かりますし、妊娠も10カ月程あるので1年半について本人と今後のことを話し合う。その間に新人も入ってきますし、育休を取っていた人もパートや時短社員として戻ってきてくれるんです。その方々は即戦力になりますし、新人よりも経験豊か。ずっと働ける職場、どんな状況にも対応できるような職場をめざしているのが『カーブス』です。

ー色々な条件やキャリアのある方が様々な部分を補い合って一つのチームをつくっているんですね。

「女性が働きやすい会社を作ろう」と言っても、1年やそこらでできるものではないですよね。働く方もそういう働き方がしたいのであれば結婚する前から準備をしておかないと、出産した後に「時短で働かせてください」と言って働かせてくれる会社なんてないですよ。

ー働く女性のライフストーリーに寄り添うイメージですね。

昔の終身雇用はそうじゃありませんでしたか?将来に対して会社が責任を持つ。そういった企業体質だったから、会社に骨を埋める覚悟で皆さん頑張っていた。『カーブス』ではスタッフひとりひとりに自分がオーナーとして働いているというスタンスを持ってもらいます。そのときにスタッフの一生を面倒見る覚悟で会社がコミットしないのならば、社員が頑張るわけ無いんですよね。スタッフの中には若い頃から働いていて、結婚・妊娠・出産された方や母子家庭で子どもが3人いる方もいますよ。

ーライフマネジメントやキャリアコンサルタント、マインドのサポート。様々な形でケアをされていますね。

スタッフには「将来子どもが進学するときはどうするつもり?」と聞いたりすることもありますよ。そうするとどのくらい稼げばいいのかもわかりますし、「頑張って店長になった方がいい」などのアドバイスもできますから。

株式会社MASUKO

離職率50%、急成長の陰にあった苦悩

ーいろんな企業が苦労している離職率に関してはいかがですか?

とにかく利益を優先していた時期がありましたから。5年くらいはその状態で正直悩みましたよ。でも人が辞めると店舗が落ち着かないですし、スタッフのスキルも伸ばせないと感じていました。それから経営者としてのスタンスやマネジメントなど色々と勉強するようになりました。

ーそこに気づいたきっかけは何でしたか?

いちばんは、スタッフは私の鏡だったということ。私が数字しか見ずに、スタッフのことを見ていなかったのだと思います。
がむしゃらに取り組んでいた時期なので、私も立場が逆だったら辞めていたかも(笑)。それをこの5年間で修正しました。

株式会社MASUKO

女性がキャリアを伸ばすための土台づくり

ー次の目標はありますか?

「カーブス」を継承していける、自分の力で起業できる人材を育てていきたいですね。これからその土台づくりは私がしていきたいです。

ー女性活躍社会を実現するために、必要だと感じるものはありますか?

志や自分の夢、将来どうなりたいかを独身女性に学んでいただくことですかね。女性がキャリアを伸ばしていくためのステージを、若いころから考えることが土台から作ることが大事だと思います。

ー結婚や出産を経て働くというレーンに戻ってくるのは、焦りや勇気もいるものですよね?

自分がどうなりたいかがしっかりあれば、できるのではないでしょうか。本人の考え方なので周りは変えられない。だからこそ、企業の細やかなサポートが大事だと思います。

ー一般の企業では妊娠直後は時短で働けるけど、子どもが学校に行き始めたら定時まで。そういった企業が多いようですが。

それは企業努力の部分ですよね。他の働くママ同士でフォローもできる。子育ては介護とは違い2年もたてば状況も変わります。キャリアを積んだお母さんに代わる人材を育てようと思っても、それがどれだけ大変かを考えたら、うちは簡単に手離しません(笑)。最初の5年があったから人材の大切さを実感しています。私自身が学ばせてもらったことをこれから少しでも女性が働きやすい場づくりに活かしていけたらと思います。

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