2018.04.24
巖水瑠華さん(第1回三十路式inおおいた 実行委員長)
女性にとって、30代は人生のターニングポイント。結婚や出産、子育てをはじめ、働き方についても大きな選択と決断を迫られる機会が多くなってくる。大分県に縁のある30歳を対象に開催した「第1回三十路式inおおいた」は、ビジネス・婚活・子育てなど、様々なテーマで交流できる場所を創出。120名の参加者がお互いの人生について語り合う。「30代に入り、私自身も人生のターニングポイントを迎えていますね」と語る実行委員長の巖水瑠華さんに、三十路式が果たす役割や、30代の女性が輝くためのライフプランについて伺った。
ー三十路式とは、どういったイベントなのですか?
大分県に縁のある30歳の方にお越しいただき、さまざまな環境に身を置く方々と親睦を深めるためのイベントです。今年1月に第一回目を開催しましたが、ビジネス・婚活・子育てなど、幅広いテーマを設け、男女問わず120名の方々に交流していただきました。
ー開催しようと思ったきっかけは何ですか?
30歳を迎える皆さんが、成人式と同じ感覚で大分県で暮らすことを考える、県外から郷土に帰ってくる風土をつくりたいと思ったことがきっかけです。20代の頃は、外の世界を見てみたいと県外に出る方が多くいらっしゃいます。それから10年経ち、これまでの人生で感じたことや、今後のライフプランを考えるとき、自分ひとりではなく、多くの方々と共有できる場所があれば…と考えたのがきっかけです。
ー三十路式の実行委員の方々も30歳なのですか?
そうです。私は大分市内の保育園の副園長をしています。昨年、施設内で大規模な改修工事を行ったのですが、その時の担当者が私と同じ30歳だったんです。同じ年齢ということもあってすぐに意気投合し、交流を重ねる中で「30歳」という共通項を持つ仲間とのつながりがどんどん広がっていきました。皆さん大分県を盛り上げていきたいという気持ちが強く、自分たちが主体になって「楽しいこと」を届けていこうと、三十路式実行委員会を立ち上げました。
ー特定のテーマを設けず、30歳になる人なら誰でも参加できるようにした理由は何ですか?
テーマに縛られない幅の広さが、多くの方々に来ていただくためのキーポイントだと考えました。プロレスや相撲のテレビ中継など、1つの面白いことをたくさんの人たちで共有していた時代とは違い、今の若者はスマホやパソコンで情報を取捨選択できます。生活に多様性がある反面、楽しさを共有することが難しいんです。私が目標にしたのは「大分県が好きで、大分県のために自分の力や思いを発信できる人」を増やすこと。目的はどうであれ、楽しさを見つけに来て欲しいと思っていました。
ー三十路式を企画する中で大切にした想いは何でしょう。
三十路式では参加者が「能動的に楽しむ」ことを大切にしています。「ビジネス」「子育て」「婚活」などのテーマを設け、該当する色のシールをネームプレートに貼るようにしています。そうすることで、同じ色のシールを貼っている人を見かけたら自然と会話が生まれ、自己表現の機会が訪れます。自分から能動的にコミュニケーションを楽しむことで、人生の共通項を持つ仲間とつながるという喜びを感じることができるのではないでしょうか。
ー三十路式には、子ども連れのママたちも参加していたとお聞きしました。30代女性の仕事や結婚、出産についてはどのようにお考えですか?
「私自身もそうですが、30代に差し掛かると、多くの女性が人生のターニングポイントを迎えるのではないでしょうか。年齢やライフステージなどから「女性はこうあるべき」という考えは無くなって欲しいと思いますが、社会の仕組みが旧態依然としている部分が多いのも事実。それにより働く女性やママへ重い負荷がかかっていることが問題だと思いますね。
ーそのような環境の中でも家庭と仕事を両立し、社会の最前線で輝く「芯の強い」女性もいますが…。
家事や育児をしながら「この仕事をやりたい」という信念がある女性は好きですし、私もそうなりたいと思っています。ですが、全ての女性がそのような強い心を持っているわけではありません。家庭と仕事を両立することへのプレッシャーに負け、心が折れてしまう女性もいらっしゃるはずです。
ー家庭と仕事のどちらに重きを置くのか、人によって違いますし、迷っている方もいると思います。
家庭と仕事の両立は理想像ばかりを追い求めると女性たちは疲弊していくだけだと思います。そうならないためには家族のサポートは不可欠。女性がフルタイムで働けるように、パートナーが家事や育児を担うとか。今後の社会の姿はそうあるべきだと思いますし、女性が声を上げていくことが男性の育児参加率を向上につながると思います。三十路式に参加したママたちが、自分の体験も含めて情報発信したり、グループ間での交流が生まれると良いですね。
ー女性は特に30代をどのように過ごすかで、今後の人生が大きく変わりますよね。家庭や仕事などライフスタイル全体のマネジメントをしながら、様々な選択を迫られるので大変だと思います。
男性に比べて、女性の方がその選択と決断を迫られる機会が多いですよね。結婚や出産、育児のために退職される方も多くいらっしゃいますが、そのようなライフステージの変化をリスクとして捉えないことが重要ですね。女性には男性に無い強みがあると思いますし、育児休暇や時短勤務制度を通じて、幅広い働き方を選択することが大切だと思います。
ー今後、三十路式でやってみたいことやビジョンはありますか?
大分市以外の市町村からも、三十路式を「大分県」のイベントとして認識してもらうことが次の課題ですね。次回の三十路式は、私たちのひとつ下へと引き継いでいきますが、どんな「楽しいこと」を届けたいのかという彼らの想いを聞いて、私たちなりに地元企業、行政とのマッチングなどのサポートしたいと考えています。
ーイベントに参加するママたちに向けての取り組みはどうでしょう?
第一回目の三十路式では、子育て中のママが来場することを想定して「子育てブース」を設けました。仕事でお付き合いのある保育用品業者から遊具をお借りしたり、駄菓子屋さんと提携して、子どもたちにお菓子を売ってもらったり…。国会議員の小泉進次郎さんが取り組んでいる「0歳からの活動報告会」をイメージしました。
ー「0歳からの活動報告会」は、小さなお子さんを連れたママでも、気軽に参加していますね。
子どもの泣き声や走り回る姿は、決して邪魔なものでも、心苦しく感じるものではないという風土をつくっていきたいです。イベントや会議などに子どもを連れていくことができないケースもまだまだありますが、最近では映画館なども子ども連れ可能な施設が増えており、徐々に環境が整ってきています。子どもと一緒に楽しめる空間づくりは、地域の発展にもつながると思いますね。三十路式の会場では、子どもがもし泣いたとしても、周りの人たちが一緒になってあやしてくれるような風土を根付かせたいですね。