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2018.08.24

誰もが子育てしやすい
環境づくりに全力投球

大分市子どもすこやか部

重石 多鶴子さん(大分市役所 大分市子どもすこやか部部長)

出産や子育てに不安や悩みを抱えているママは少なくない。大分市役所の重石多鶴子さんは、子育てに関する情報を発信するWEBサイト「naana」や、ママ自身が体験したことを演じる即興劇「プレイバックシアター」の立ち上げを通じて、ママの「悩み」や「困りごと」を共有し、サポートする取り組みを行ってきた。「悩みを抱えるたくさんのママたちを受け入れる環境づくり」と語る重石さんに話を伺った。

困っているママたちに、本当に役立つ情報を届けたい

-重石さんが「naana」を立ち上げるまでの経緯や、きっかけを教えてください。

私は、市の職員として様々な業務を担当してきましたが、13年ほど前に子育て支援施策に取り組む「児童家庭課」に配属されました。そこで担当したのが、子どもを健やかに育てるための環境を整備する「次世代育成支援行動計画」の策定で、実際に子育て中の市民の意見を参考にするためにアンケートを実施したところ「子育てに関する情報源が多すぎて、何を参考にすれば良いのか分からない」「大分で子育てする人に必要な情報がほしい」という声が数多く寄せられたのです。それまでも、市役所の各部署から子育てに関する様々な情報を発信していたのですが、必要な人のもとへしっかり届いていないことに強いショックを受けましたね。情報量だけではなく、情報の質の向上や入手しやすいスキームが必要だと感じました。そこで、子育て中のみなさんが、必要とする情報を簡単でタイムリーに入手でき、「行政情報」と「民間情報」を一元化したWEBサイト「naana」を企画しました。

-重石さんをはじめ、立ち上げに関わった周囲の方々は、どんな想いで取り組んでいたのでしょう。

当時の上司からは「子育て情報を発信する民間のサイトが数多くある中で、いまさら行政機関が新たなサイトを立ち上げる必要があるのか」とストップがかかったものの、周囲の応援もあり、何とかサイト開設事業が認められました。市役所内の関係部署、外部の専門事業者の皆さん…、本当に多くの方々が、心を一つにして取り組んでくれたおかげで「naana」をオープンすることができたのです。初めは必要性を懸念していた上司から「頑張ったね。なかなか良いWEBサイトができたね」と言葉をもらったときは嬉しかったですね。志をもって粘り強く取り組むことの大切さを学びました。

-「naana」で大切にしていることは何ですか?

何よりも大切にしているのは、子育てに関する「もっと知りたい」「もっと相談したい」「もっとつながりたい」というママのニーズに応えるということですね。「子育てをしているママの声を活かせるサイト」をコンセプトに、企画運営やイベントの取材・レポートなどを、子育ての最前線にいるママたちが主体となって行い、情報発信できる仕組みにしています。また、「つながる」ためのSNSサイトを設け、ママ友を探したり情報交換したりする場となっています。担当する職員には「困っているママを支える」という気持ちを大切にして、時代の変化に対応しつつ、立ち上げ時のコンセプトを継承してほしいと願っています。運営側が「想い」をどれだけ込めるかによって、情報を受け取る側が感じる印象も変わってくるはずです。

大分市子どもすこやか部

ママが自らの体験を演じるから、共感・感動が生まれる

-重石さんが関わったもうひとつのプロジェクト「プレイバックシアター」とは、どのようなものですか?

参加者や観客が、自分の体験したことや出来事を語り、打ち合わせなくその場で即興劇として演じるのが「プレイバックシアター」。参加者や観客に子育ての悩みや喜びなどを語ってもらい、劇で再現すると、客観的に自分を観ることができ、「新たな気付き」や自己肯定感を得るきっかけになります。また、一緒に観ている同じママたちに共感してもらえるという充足感を得ることができるようです。ひとりのママが「子どもを強く叱った後、気持ちが疲れて眠ってしまった私に、子どもが優しく毛布をかけてくれた」という話をしました。それを聞いていたママたちは、子育ての大変さが分かっているので、自分のことのように感じて涙を流していました。「辛い思いをしているのは自分だけではなかったんだ」と感じることで、次の一歩が踏み出せるのだと思います。

-「プレイバックシアター」をはじめたきっかけは?

私は一人目の子どもを生んだ時、育児休暇を取得してしっかり子育てしようと意気込んでいました。しかし、いちばんの相談相手であった母が現役で働いていたこともあり、育児書の通りにいかない子育てにひとり悩みました。いつしか子どもと接することにゆとりがなくなり、まるで責務のように感じた時期がありました。同じようなママがきっといるはず、そんなママたちの気持ちを軽くするための新たな方法はないかと考えながら、インターネットで情報を集めていた時に出会ったのが「プレイバックシアター」でした。「人の気持ちを受け止めて、即座に劇で再現する」というところに惹かれました。

-「プレイバックシアター」を大分市で開催するまでの経緯を教えてください。

まず、私自身が「プレイバックシアター」を体験するため、県外でのワークショップに参加しました。実際に自分の子育て体験を語り、再現された劇を観た時、感極まって涙があふれてきましたね。大分市にこの劇団を呼びたいと思いましたが、劇団の代表から、多くの市民に体験してもらうには、市内で活動する劇団の育成が効果的だと提案がありました。その後、横浜から劇団を呼んで公演を行うと共に、関心を持ってくださった市民を対象とする「プレイバックシアター・アクター養成講座」を一年かけて実施し、劇団の立ち上げを支援しました。修了後、大分市の子育て支援に貢献したいという志をお持ちの市民による「プレイバックシアターOnce」という劇団が結成されましたが、関わっているうちに、私自身も受講生の皆さんと仲良くなり、自然と一緒に活動を続けていくこととなった次第です。

-「プレイバックシアター」の劇団活動を通じて、どのような取り組みを?

全く知名度がなく、初めは活動の場を探すのに苦労しました。立ち上げの目的が、「子育て支援」でしたので、まずは、地区公民館や地域の子育てサロンに直接売り込みをして、講座やイベントに集まった子育て中の方たちを対象に活動を開始しました。その後も子育て支援を中心にしながら、年間10回ほどの公演やワークショップを行ってきました。早いもので、もう結成7年目。現在、活動している団員は15名。ずっと一緒に取り組んでいる大切な仲間です。

-「プレイバックシアター」は、子育て支援だけでなく様々な分野にも応用できそうですね。

そうですね。これまでも、ご要望に応じて人権講座や職場研修もお受けしてきました。最近では、文化庁の補助事業を活用し、小学校の児童を対象にした授業に取り入れていただいています。その他、地域のコミュニティづくりや被災地支援など、幅広い活用が可能です。

大分市子どもすこやか部

寄り添い、継続することが何より大切

-「naana」と「プレイバックシアター」のどちらも、一過性のものではなく取り組みを継続することの大切さを感じます。

孤立しがちなママたちが、一歩踏み出すためのきっかけを届ける取り組みを継続することが大切だと考えています。「naana」も「プレイバックシアター」も、初めは、ちいさな一歩でしたが、たくさんのママのライフスタイルに寄り添い、コツコツと取り組むことで、多くの方々に支持されるようになったと思います。子育てがまさにそうだと思いますが、協力してもらえる方々の大切さも、プロジェクトを通じて実感しました。

-今後、重石さんが取り組んでいきたいことは何かありますか?

経済面や家庭環境、そして子どもの発達などで悩みを抱えている家庭を支えるための施策を充実したいと考えています。それは、物の提供や金銭的な支援に限ったものではありません。一人ひとりに寄り添うことを第一に考え、悩みや問題を抱えた背景を理解しながら、一緒になって解決方法を考える仕組みづくりが大切だと思います。私はもうすぐ定年退職を迎えますが、大分市で子育てするすべての人が、よりよい環境で子育てができるよう、力を尽くしたいと思います。

大分市子どもすこやか部

大分市公式ホームページ
http://www.city.oita.oita.jp/

大分市子育て支援サイト naana
https://www.naana-oita.jp/

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