2019.08.27
渡辺 雪乃さん(HAPPY VERY 代表)
大分県ではまだまだ馴染みの薄い“在宅ワーク”。「興味はあるものの、求人情報ではあまり見かけないし、どのWebサイトが信頼できるのか分からない」という人も多いのでは?そんな在宅ワークに興味を持つ大分のママに向けた在宅ワーカーマッチング事業「ママりく」は、テレアポやSNS代行業務、事務代行など、家事や育児と両立しながら、無理なく長く続けられる仕事をママたちへ紹介している。今回は、自身の経験をもとに「ママりく」を立ち上げたHAPPY VERY代表・渡辺雪乃さんに、業務について、在宅ワークの魅力、立ち上げに至ったきっかけなどをお聞きした。
―「ママりく」について教えてください。
在宅ワーク紹介サイト「ママりく」は、データ入力やテレアポなどをアウトソーシングしたい企業と、家事や子育てが忙しいので、できれば在宅で仕事をしたいママを結びつけるマッチングサービスです。業務の流れとして、まずは企業から私のもとに仕事の依頼が来ます。その依頼内容に合わせて、「ママりく」にご登録いただいているママにLINEでお仕事を紹介。現時点では、商品の在庫管理や、経理に関するデータ入力が一番多い依頼ですね。そのほか、SNS代行業務や事務代行など、特に専門的なスキルを持っていなくても活躍できるようなさまざまな業務を紹介しています。特に人気だった業務ははがきの宛名書きです。飲食店のクライアント様で、今までは手書きでDMを送っていたものの、送り先が増えたため対応できなくなったとのことでした。綺麗な文字が書けるママに依頼したところ、とっても楽しそうに作業をしていましたし、クライアント様も大満足の仕上がりでした。
―「ママりく」立ち上げに至った経緯を教えてください。
高校在学中に美容学校の通信課程に入学し、卒業後は美容室で3年間勤務していましたが、手荒れでドクターストップがかかり、美容師への道を諦めることに…。その後結婚し、28歳までアパレルの販売員として、2人目出産後もしばらくは働いていましたが、職場が移転してしまい、通勤し続けるのが難しくなったため退職し、専業主婦になりました。しかし、それまでずっと働いていたので、家事と子どものお世話だけをしていると、どうしても社会から取り残された気がして、日々悶々としていました。「自分は何もしていない」と感じることも多かったですね。やっぱり働きたいという意識がすごく強かったので、ミシンで作品を作ってネットショップで売っていたこともありましたが、ほんのお小遣い程度で(笑)。そんなとき、知り合いの社長から声をかけていただき在宅ワークに挑戦してみることになりました。
―どのような業務内容だったんですか?
情報をリストアップしてDMを送り、最後に電話をかけるというテレアポの作業です。家での電話中、どうしても子どもの泣き声が入ってしまうこともあり、作業をする1時間だけ親に見てもらうなど、いろいろと工夫して作業していましたね。しばらくして、友人に在宅ワークの話をすると、「どこで仕事を見つけたの!?うらやましい!」と。当時、大分では在宅ワークを紹介している情報もなく、「じゃあ、これを自分で広めていくしかない」という使命感にかられるようになりました。仕事を紹介していただいた方にも、「仕事を発注したい企業はたくさんあると思うよ」と言われていましたし、在宅で働きたいママもたくさんいることがわかったので、自分で事業を立ち上げようと決心。2018年11月末に「HAPPY VERY」を立ち上げました。
―在宅ワークに興味があるママたちはたくさんいるんですね。
そうなんです! 在宅ワークってママ側からすると、たくさん調べて探して、積極的に行動しないとなかなか出合えません。ほとんどの人が「働く=外に勤めに行く」という認識なので、求人が出ることもほとんどないですし、企業に直接聞くこともできませんから。本当は外で働きたいけれど、保育園に入れることができずに、外で働けないママも多いんです。それなら、数年間は在宅ワークを頑張って、外で働けるようになったら働きに出ればいい。収入も途切れないですし、仕事をしていない期間のブランクもなくせますよね。
―企業側と在宅ワークの現状についてどう考えていますか?
まだまだ大分県では、企業側の在宅ワークに対する意識がすごく低いと思います。ハローワークで「在宅の仕事はありません!」と言われたこともあるぐらいですから。中小企業が集まる場所でご挨拶した際、「うちは関係ないから」とおっしゃられる企業も多く、ご案内に伺っても連絡をいただけないこともしばしば。企業の方からすれば、発注するための業務内容を記載した仕様書をまとめるのも大変だそうで、まだまだ受け入れがたい部分があるようです。「仕様書ならこちらで作ります」、「一緒に仕事する事務員だと思ってください」と「HAPPY VERY」ができることを伝えてはいるのですが、なかなか…。あとは、実際に作業する方にお会いしてからでないと不安だとおっしゃる方も多いですね。