2019.10.08
吉村洋史さん (株式会社 NTTデータ・ビーンサービス 代表取締役社長)
大分市に拠点を置くNTTデータ・ビーンサービスは、企業の事務部門のアウトソーシングを担う情報サービス業。保険会社の診断書や、長期保管が必要な大量の書類のデジタル化など、高水準のクオリティとスピード化を実現したBPOサービスをご提案し、クライアントの経営課題の解決、業務プロセスの改善をサポートしている。同社には女性スタッフが多く在籍しているが、その大きな理由は、フレキシブルに働き方を選択しながら、常にキャリアップや挑戦を続けられる環境が整っていること。今回は、吉村洋史代表取締役社長に、職場の環境整備や導入している制度、今後の目標などを詳しくお聞きした。
―現在の職場環境について教えてください。
契約社員の方、派遣の方合わせて300人ほどの従業員がおり、女性が8~9割を占めています。女性の活躍推進のためには、それぞれのライフスタイルに合わせてフレキシブルな働き方を導入していかなければと考え、社員の要望などを考慮し短時間勤務などいくつかのパターンでの働き方を実践しています。多くの人が快適に働き続けられるように意識しています。従業員の入れ替わりが激しければ、どうしても教育稼働がかかりますし、仕事を覚えてもらうための時間もゼロから必要となります。だからこそ職場環境の充実に全力で取り組んでいますし、今後、起こりうるさまざまなケースに備えて、きめ細かく対応できるよう心がけています。
―以前からずっとママにとって働きやすい環境だったのでしょうか?
以前は残業も多く、スタッフが育休・産休制度をうまく活用できなかった時期もありました。今のようにワークライフバランスを大切にするのではなく、「女性も男性と同じように働くにはどうすれば良いか」という観点で仕事をしていたためです。そこで、独身の方や主婦の方、年代などもバラバラの従業員たちで時短勤務推進委員会を立ち上げ、経営陣と社員との距離を縮めるべく、コミュニケーションをとりながら社内改革を進めていきました。全てのスタッフの要望を聞き入れることはできませんが、多くの人が働きやすいようなシステムを社内で協議しながら導入。実際に制度を使ってもらいながら「もう少しこうしてほしい」という意見にも耳を傾け、さらに改善を行う。制度自体のアップデートを続けたことで、今の環境ができあがったのです。
―具体的に導入している制度などを教えてください。
産休、育休、時短勤務の制度を基本軸に、子どもの体調不良などの際に休暇が取れる看護休暇なども取得できます。これは先ほどの時短推進委員会でディスカッションから生まれた制度です。また、子育てだけでなく、最近では親の介護の話も出てくるようになりました。各家庭のさまざまな悩みを鑑みて、しっかりコミュニケーションをとりながら時代に合った制度を充実させています。会社主体ではなく、現場でのきめ細かい要望に細かくアジャストしていくことが必要だと思います。
―育休後に復職する方がほとんどだそうですが、その要因は何でしょうか?
ありがたいことに弊社は育休後の復帰率が100%なんですよ。従業員が産休や育休に入る際には、会社との繋がりを職場を離れた間も感じてもらえるよう、「復帰を心待ちにしています」というメッセージを伝えることを第一に考えています。それがきっと「産後もここで仕事を続けたい」というエネルギーに変わってくるはず…。だからこそ、育休中のスタッフとのコミュニケーションや、情報交換はこれからも行なっていきたいと考えています。また、当然ですが育児で仕事をしばらく休んだからといって評価が下がるわけではありません。人生100年時代、仕事を休んでいる平行線の期間があっても、復帰後に、その時のライフスタイルに合わせて頑張ってくれればいい。会社側がスタッフとの雇用関係を長いスパンで受け入れられる体制を整えるようにしていますね。
―従業員からの声を受けて、新しい発見などはありましたか?
もちろんありましたね。今の時代、子どもに手がかからなくなる頃には介護の問題も出てくるのです。今の制度では介護休暇が取りづらいとの意見を受け、期間と回数の制限を見直して柔軟に取得することができるように改善しました。これからは、介護サービスなども含め、全員で介護をしていく時代になると思いますので、スケジュールがより柔軟に調整できることが求められるようになるでしょう。常に先の計画を立て、この日は休みますとあらかじめ決めてメンバーを上手く調整できれば業務が滞ることはありません。また、育児や介護の突発的な休みに関しては、チームを組んで作業を行うので上手く分担すれば問題ありません。スタッフも最初のうちはなかなか言い出すことができず、周りに申し訳ないという雰囲気があったようですが、徐々に「この前お願いしたから今度、仲間に何かあった時は私が頑張ろう」とお互いに協力し合う良い関係に変化しつつあります。そこに信頼感が生まれてくれば良いですよね。
株式会社 NTTデータ・ビーンサービス
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