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2019.12.03

ママの笑顔を支える
ママの“ゆりかご”

ママのゆりかご

ママのゆりかご 代表 皆川めぐみさん

「子育てファミリー・サポート・センター」をはじめとする、子育て中のママを支援するサポートサービスは数あれど、金額的な面などから利用に踏み切れない人も多い。子育てママたちが運営するサークル「ママのゆりかご」では、毎月第2金曜に大在の公民館で、妊娠中の女性から0〜2歳児までの子を持つママのサポート活動を展開。子育ての悩みをママ同士で相談できたり、子育てにおいて知っておくと便利な講座を気軽に受けられたりと、まさに、ママの“ゆりかご”のような子育てサークルだ。今回は、「ママのゆりかご」の代表を務める皆川さんに、具体的な活動内容や立ち上げに至ったきっかけ、子育てに関する思いなどを詳しく伺った。

育児に追われるママたちが
ほっと息抜きする時間を

―「ママのゆりかご」について教えてください。

0〜3歳くらいの子を持つママは、子どものお世話をしながら家事や身の回りのことを済ますなど、とにかく時間がないんですよね。1人でトイレに行ったり、本を読んだりはもちろん、ご飯を食べる時間さえもゆっくり取れません。「5分で良いから1人でコンビニに行きたい」という切実な思いを抱くママたちに、少しでも息抜きできる環境を届けたい。それが「ママのゆりかご」のコンセプトです。

―具体的にどんな活動をしているのですか?

大在の公民館にて10時から14時半までの時間で活動しています。スタッフと子どもが遊んでいる間に、他のスタッフがママの悩みを聞いたり、他愛のない話をしたり…、ママたちができるだけ自由な時間を持てるようにサポートしています。ファイナンシャルプランナーや保険、鍼灸師などの専門資格を持つスタッフによる講座も行なっています。その他にも、おむつなし育児のアドバイスや、応急処置や熱中症予防についての勉強会も開くこともあります。もちろん、興味のない方には強制しませんし、基本的には自由に過ごしていただいています。



―保育園や子育てファミリー・サポート・センターとは違い、サークルだと気軽に参加できますね。

そうですね。保育園は働いている人しか預けられないケースがほとんど。ファミリー・サポート・センターは、1時間あたり600円〜700円ほど料金がかかります。慣れない環境に泣き続けたり、ご飯を食べなかったりすることも少なくないのでなかなか踏ん切りがつかないママも多いんですよ。地域には「子どもルーム」もありますが、やっぱり子どもから目を離せませんし、ママ同士の交流もその場限りなことが多い。ここを定期的に利用いただくと、顔なじみのスタッフがしっかりお子さんを見守っていますので、ママたちはゆっくりと気を休めることができるんです。

―ママたちからさまざまな相談が飛び交うと思いますが、どのような悩みが一番多いですか?

「離乳食を全然食べてくれない」「昼寝をしない」といった子どもの食事や生活のこと、家族の愚痴なども多いですね(笑)。育児書の読みすぎで、その通りにいかないと不安になることも多いようです。1人目の子育て中のママは、何もかもが手探りで不安も多い。2人目、3人目でも、自分の思っているようにいかないと悩む…。「そんなに気にせずに子どもに任せればいいんですよ」と伝えていますが、ママに悩みは尽きませんよね。

ママのゆりかご

自らの子育て経験を活かした
欲しい場所・あったら嬉しいサービスを実現

―「ママのゆりかご」を発足しようと思ったきっかけは何ですか?

私自身、結婚して出産し、子育てをする中でわからないことや不安でいっぱいでした。育児書はたくさん読みましたが、育児書通りいかないことも多かったし、お互い初めてのことだらけで夫婦の喧嘩も多かった。息子が3日間泣きっぱなしの状態が続いて、子育ての大変さを痛感しました。正直、子どもを虐待してしまうママの精神状態に近いものがありましたね。あのとき話を聞いてくれる人やアドバイスをくれる人がいたなら、そんな気持ちにはならなかったのかもしれません。

―なるほど。自分の経験から立ち上げに至った部分もあるのですね。

子育てをしている中で自分が感じた「5分でも良いから誰か子どもを抱っこしてほしい」「買い物に行くほんの少しの時間だけでも見ていてほしい」といった、かゆいところに手が届くようなサービスがあったら良いんじゃないかなと思いました。自分が欲しいもの・あったら嬉しいサービスをカタチにしようと思ったのが、「ママのゆりかご」の始まりです。そんなわたしの考えに共感してくれるママスタッフが少しずつ増えていき、今のスタイルになりました。

―たくさん子どもがいると、大変ではありませんか?

それが、すごく癒されるんですよ!うちの子はもう4歳なのですが、1〜2歳の頃は精神的にいっぱいいっぱいでした。でも今、他のお子さんを見ていると「大変だったけど、あの愛おしくて大切なときは過ぎ去ってしまったんだ」と涙が出そうになります。「ママのゆりかご」で家族以外のお子さんと接することで、我が子に優しくしようという前向きな気持ちになれます。自分の子育てを見直すことにもつながっています。

ママのゆりかご

昔のご近所付き合いのように
大人みんなで子育てを

―「ママのゆりかご」の先輩ママたちの言葉が、育児に悩むママの力になりますよね。

世間のママたちはさまざまな悩みを抱えています。また、虐待にも敏感になっているようで、子どもが悪いことをしても厳しく叱れないという人も多いですね。アパートで激しく叱ると虐待だと通報されそうで怒れないと。しかし、そのストレスが逆にエスカレートして本当に虐待をしてしまう可能性もあるんです。だからこそ、私はしっかりと叱ってほしい。私自身、子どもたちをかなりのスパルタで育てていますし(笑)。悪いことはしっかり愛情を込めて叱る。それぐらいの器量でやっておけばいいんですよ。これは自分の感覚ですが、きちんと叱るべきところは叱っていた方が、5〜7歳くらいになると子育てがすごく楽になります。2歳頃からのイヤイヤ期から4歳くらいまでが勝負ですね。

―今後の目標はありますか?

現在は毎月第2金曜だけの開催ですが、今後、開催する回数を増やしていきたいですね。また、大在だけでなく、南大分周辺の公民館をお借りして開催したいとも考えています。自家用車を持っていないママたちは、徒歩圏内の距離にある方が利用しやすいですから。昔はご近所の方にちょっと子どもを見てもらって…ということもできましたよね。地域の子どもたちを、地域の大人みんなで育てる。そんなサービスをしていけたらと考えています。



―昔ながらの近所付き合いのような雰囲気ですね。

まさにそうです。子どもはみんな一緒で私の子、地域の子という感じですね。「ママのゆりかご」のスタッフは、そういう意識の人ばかり。今後はマンションの集会所なども利用し、学校帰りの子どもの遊びの場や生活の場にしていきたいですね。

―行政ではなくママたちだからできることも多いですよね。

世の中には、周囲との接点を失くしたママの虐待で苦しむ子どもも多いです。もちろん、虐待は絶対してはいけないことですが、私は責めるべきは母親だけではないのではないかと思います。助けてほしいけれど、誰にも相談できず、どんどん精神的にまいってしまう。子どもに食事を与えなかったり、言葉で傷つけてしまったり…。いけないとわかっていても止められなくなるんです。頼れる場所はたくさんあるのに、どこに頼るべきなのか分からない。頼るべき場所に導き、苦しんでいるママたちに手を差し伸べる、そんなサークルでありたいですね。

ママのゆりかご

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