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2020.04.21

キャリアプランニングツール「ジョブ・カード」で
ママの復職を丁寧に支える

株式会社パソナ

株式会社パソナ 大分キャリア形成サポートセンター
制度普及推進員 松本通夫さん・山口辰也さん

結婚・出産、子育てが落ち着き、いざ復職しようと意気込んでいるものの「ブランクがあるので不安」「時短勤務は可能かな」といった悩みを抱え、足踏みしているママも少なくない。そこでおすすめしたいのが、厚生労働省が推進するキャリアプランニングツール「ジョブ・カード」。今回は厚生労働省よりジョブ・カード制度の推進実施事業を受託運営している「株式会社パソナ」の松本さんと山口さんに、ジョブ・カードの内容について詳しく伺いながら、ママたちが「自分らしい働き方」を叶えるための活用方法などもお聞きした。

自分を見つめ直し、仕事を理解する
将来を考えるための「ジョブ・カード」

―まずはジョブ・カードについて詳しく教えていただけますか?

ジョブ・カードとは、個人のキャリアアップや、多様な人材の就職促進を目的としたキャリアプランニング・職業能力証明のツールです。目標とする職業や働き方を記入する「キャリアプランシート」、職務内容や職務から学んだ知識や技術を記入する「職務経歴シート」、免許・資格などを記入する「職業能力証明シート」の3種類で構成されています。ジョブ・カードによって、求職者の職業能力を見える化し、キャリア形成に役立てることができますし、企業側も、採用の強化、マッチングの向上、社員の定着率アップなど、さまざまなメリットがあります。ジョブカードの取り組み自体は、10年前から始まっていますが、まだまだ認知度は低く、大分県は現在、250社ほどのサポーター企業に登録いただいているものの九州の中でも遅れている印象ですね。

―履歴書とは具体的にどこが違うのでしょうか。

もちろん、履歴書の代わりとしても使えますが、仕事を探している人に、就職してから先も「自分の人生をどう生きていくのか」というキャリアプランを考えてもらうものがジョブ・カードです。「まだ子どもが小さいけれど、◯◯という強みを活かせる仕事に就きたい。当面は家庭とのバランスを取りつつ、落ち着いたら正社員としてバリバリ働きたい」という風に、自分自身の環境や特性をしっかり理解し、どのような仕事がしたいのか、自分は何ができるのか、大切にしたい価値観などから、目指したい方向を知り、これから何をすべきか考えることができます。

―お話を聞く限り、ママたちの復職にもとても役立つツールだと思うのですが、どのように使うのが効果的ですか。

ママたちはこれまでさまざまなキャリアを歩んできたと思います。しかし、結婚や出産を経て、久しぶりに社会復帰しようと決意して面接に臨んだものの、いきなり「今までの仕事の実績や職歴などを洗いざらい話してください」と言われたら、真っ白になってしまいますよね。これでは自分の思いや持っているスキルがうまく伝わりません。そうならないためにも、事前にこのジョブ・カードに自分のこれまでのキャリアやスキルを具体的に落とし込んでみてください。ある程度自分の中の情報整理ができます。



―先日、「働きたい女性トータルサポート事業Match work」主催の合同企業説明会にも出展されていましたがいかがでしたか?

説明会では、多くの方とお話することができ、実際に参加者の皆さんに感想を聞いてみると、「こんな取り組みもあるんですね、面白い」とおっしゃってくださいました。中には、ハローワークや職業訓練校で知ったという方もいらっしゃいましたが、99%の方がジョブ・カードのことを知りませんでした。ほとんど知られていない中で、ジョブ・カードについてのお話ができたので、認知度を高めるという意味合いでも大成功でした。その他にも、企業とのタイアップでママ向けのキャリアイベントを3回ほど開催しました。そこでも多くの人にジョブ・カードのメリットや魅力をお伝えしてきました。

―合同企業説明会のコンシェルジュも、ジョブ・カードのおかげで案内しやすかったとのことでした。

そういうお声をいただくととても励みになりますね。コンシェルジュの皆さんも、何の根拠もなく、女性を企業ブースに誘導するよりも、彼女のキャリアに関する情報があったほうが案内しやすいですからね。実際に、最初は一般事務職を志望されていた方がいらっしゃったのですが、ジョブカードに書かれていた彼女の経歴やキャリアプラン、得手不得手などから、営業も向いていそうだと判断し、営業職を募集する企業にご案内したそうです。

株式会社パソナ

取り巻く環境も含めて
女性の復職をサポート

―ママたちが復職するにあたり、現在の家庭の状況なども企業に伝えなければいけませんよね。そういった情報も記入しても良いのでしょうか。

もちろん書いていただいてかまいません。一般的な履歴書では、希望する仕事内容や所有資格の情報のみを書きますが、女性の場合はライフステージも複雑で、家事や育児の状況も人それぞれ。例えば、「3人の子どもがいるため、家事や育児で忙しいですが、そこで培ったタイムマネジメント力を会社でも活かせます」といった情報などは、履歴書・職務履歴書に書けずにこぼれ落ちてしまうことも多いでしょう。しかし、企業が欲しいのはそういった履歴書からこぼれ落ちた情報なのではないでしょうか。職務経歴だけでなく、「この人は何者でどういう特性があるのか」、「働くにあたってどういった悩みを抱えているのか」。履歴書だけでは知ることのできない情報ですよね。そのまま面接を迎え、履歴書に書いていないことを聞かれて、緊張してしまってうまく話せない可能性もあります。そういった際にジョブ・カードがあると安心ですよね。



―女性自身が自分の強みを企業に伝えるために、こういったツールを積極的に活用していかなければいけませんね。

その通りです。まさに、ジョブ・カードはママたちが復職する際に背中を押してあげるもの。しっかりと自身を振り返っていけば、「自分ではこうだったんだ、これからはこうしたい」という風に、自分の将来についてシンプルにまとめられるでしょう。そうなると自然と面接も気を負わずに臨めるようになるのではないかと思います。ただし、ジョブ・カードを書いて終わりではなく、「記入する、使う、カウンセリングする」までをしっかり一元化することが必要です。そうすることで、はじめてこのジョブ・カードが輝くのです。

―ジョブ・カードの作り方のアドバイスはいただけるのでしょうか?

現在、LINE@で、ジョブ・カードのアドバイスや活用に向けた情報をお届けしていますが、やはり自信をつけて面接に行ってもらうためにも、実際に作り方をレクチャーする機会を設けたいと思っています。女性に集まっていただいて皆さんにジョブカードを知ってもらい、実際に書いて、キャリアコンサルタントから色々とアドバイスをもらって仕上げていく。そして「将来はこう歩んでいきたい」とキャリアプランを考えていくのです。このように、将来に向かっての道順が出来てこそ、ジョブ・カードの意義が高まります。

株式会社パソナ

女性活用を促進させる
新しい採用のカタチ

―今後の目標はありますか?

多くの企業と女性をマッチングさせるべく、ジョブ・カードを使って、まだまだ踏み込んで活動していかなければいけないと思っています。最初に少しお話しましたが、企業に対する認知度もまだまだ低いため、求職者への周知だけでなく、企業への啓蒙活動も重要です。ただ、企業にお伝えするのは「ジョブ・カードを知ってください、導入してください」ということではなく、履歴書だけで判断しにくい応募者の価値観や強み、キャリアの方向性などを知るためには、“導入しないと損だ“ということ。私たちも企業をますます活性化させるために、無料でキャリアコンサルティングを行うなど、丁寧にサポートいたします。

―働き方改革が推進される今だからこそ、優秀な人材を探すことが求められますよね。

少子高齢化に伴い、労働人口の減少や残業時間の削減など、時間内にベストなパフォーマンスができる人材が必要です。確かに女性は子育て中の数年間は7割ほどの力しか出せないかもしれませんが、限られた時間内で効率よく仕事をするべく一生懸命仕事に臨み、その期間を終えたときに120%の力を発揮してくれるとも言われます。今後、企業にとって大きな戦力になるんです。そういう方々を大切にしていかないと、今後の日本経済が成り立ちません。企業も受け入れ体制を整えることで、素晴らしい人材が自然と集まってきますし、企業のイメージも良くなるのではないかと思っています。

―まだまだ女性の雇用に関して慎重な企業も多いようです。ジョブカードを取り入れることで、そのハードルも低くなるのではないでしょうか。

これからも多くの企業や団体に、採用のマッチングを向上させるジョブカードのメリットを伝え続けていきます。そこで興味を持ってくれた企業には、大分キャリア形成サポートセンターから講師を招き、30分でも1時間でもセミナーをセッティングして説明させていただきます。今後、ジョブ・カード制度を、雇用のスタンダードにしていければいいなと。大分県からジョブ・カード活用のモデル事業を広めていけたら良いなと考えています。

株式会社パソナ

ジョブ・カード
https://jobcard.mhlw.go.jp/index.html

株式会社パソナ
https://www.pasona.co.jp/

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