WORK働いているママ・これから働きたいママに
プラスとなる情報を紹介します。

2020.05.12

男性社会の業界イメージを払拭
女性が生き生き働く企業へ

株式会社坂井建設

株式会社坂井建設 代表取締役 臼井 栄仁さん

「子育て世代応援住宅」をコンセプトに、家族が健康で安心して楽しく暮らせる家を届ける新築事業や、不動産事業、リフォーム・リノベーション事業など、住まいに関する多彩なサービスを中心に事業を展開する「株式会社坂井建設」。男性社員の割合が多いと言われる住宅・不動産業界のなかで、実にスタッフの7割が女性という同社。今回は臼井栄仁代表取締役に、女性社員がのびのびと活躍するために会社が実際に取り組んでいる制度や、常に意識していることなど詳しく伺いました。

広報から現場の職人まで
幅広い部署で女性が活躍

ーもともと女性の割合が多かったんですか?

住宅・不動産業界は男性社員が多いというイメージをお持ちの方も多いと思いますが、弊社も以前は他社と同じく、女性は圧倒的に少なかったんですよ。ある年の新卒採用で、会社側が意識した訳ではないのに、優秀な人材が女性のほうが多くて採用した数も男性を超えた。会社を担う優れた人に男性も女性も関係ないのだと率直に感じました。それがきっかけで女性が結婚・出産を経ても長く続けられる環境を作るチャレンジが始まりました。徐々に環境を整える取り組みを続けていったところ、女性社員が次第に増えてきましたし、離職率も下がりました。たくさんの女性社員が自分の会社を好きになってくれていることを実感できました。今は会社に女性社員が合わせるのではなく、会社が女性の働き方に合わせて制度を変えていく時代。だからこそ会社としてのバックアップも本気で取り組むことが大切なのです。

ーどんな部署で女性が活躍しているんですか?

事務や広報セクション、営業はもちろん、弊社では施工の現場でも女性スタッフが職人として活躍しています。断熱施工を担っている従業員がいますが、技術的にも業界でトップクラスなのではないかと思うほど。現場監督として指揮をとるのが2人を中心に合計4人の女性スタッフが現場で汗を流しています。部署ごとにそれぞれ担当する仕事は異なりますが、自分の仕事だけでなく、各部署との連携を図れるチームワークの重要性も意識づけしています。



ー不動産業界における女性の優位性は何だと思いますか?

例えば職人の場合、当然、力仕事もあるので大変なことも多いのですが、きめ細やかさや正確さ、スケジュールの管理能力など、女性ならではの輝きはたくさんあります。やはり女性が現場で働くようになって、現場全体が明るくなりましたね。住宅営業においても男女の差はありませんが、お客様がモデルハウスの見学にいらっしゃった際など、奥さんとの話しやすさや女性の視点からコミュニケーションを図れるなどお客様に親近感を与えることも大きいですね。

ーちなみに今、働くママは何人いますか?

5人です。弊社の場合、出産を経て職場に戻ったからといって役職をなくしたり、給料を下げたりするということはありません。というのも、子育ては時間の管理や、セルフマネジメントといった仕事に直結するスキルを身につけることができます。さらに、後輩育成スキルのアップにもつながりますし。そして何より、子育てを経験することで、当たり前だったことに対して感謝の気持ちを持ち、以前よりもさらに前向きな気持ちで仕事に臨んでくれるようになったことが多いと感じます。

株式会社坂井建設

女性役職登用や独自のスキルアップ制度で
人材が育ちやすい環境づくりを

ー女性の役職者もいらっしゃるんですか?

はい。女性の役職者も多いですよ。ちなみに、うちの営業部のトップは28歳の女性です。まだまだ若いですが、若い人材が管理職につくことで、若手がその先輩の姿を見て育ってくれるはず。「◯◯さんは若くして管理職を務めているのだから、私も頑張らなければいけない」と大きな目標になると信じています。また、先輩たちが後輩に対してライバルとして、仲間として、仕事に対する熱い想いを後輩たちに伝えてあげるのもポイントですね。現在役職についている女性はその気持ちをしっかりと持っています。

ーステップアップのための試験のようなものがあるのでしょうか?

特に試験のようなものはありませんが、例えば施工現場では、独自のステップアップ制度を設けています。卵、ひよこ、鶏、唐揚げの4段階があり、「これとこれができたらひよこクラス」「これが終わったら、次はこれを覚えて鶏クラスへ」とステージを分けています。ステップも明確ですし、従業員のモチベーションも上がるようです。スキルアップに性別や社歴は関係ないと思っています。チームで切磋琢磨しながら仕事に臨める人は伸びていくのではないかと思っています。また、「将来こうなりたい」「自分の人生は自分で決めるんだ」「会社をよくしていきたい」といった強い意志を持った人はどんどん伸びていきますね。

ー女性の能力を発揮させるためには何が重要だと思いますか?

女性社員が増えていくと、個々の頑張りはもちろんですが、会社がその能力を活かせる環境をつくらなければいけません。「男女関係なく、やる気のある人を評価する」というメンタリティーの部分だけでなく、そこから一歩踏み込んで女性の能力が発揮できるよう、制度やシステムのフレームづくりが重要です。弊社では先代がいち早く意識改革を進め、今のような女性が活躍できる社風にシフトしてきました。はじめは戸惑いがありましたが、前のままの体質だったら退職する社員ももっと多かっただろうと思いますし、今ではほとんどの人が賛同してくれるようになりました。

株式会社坂井建設

保育園に3年カムバック制度…
女性活躍の準備は万端!

ー女性の働きやすさのために具体的に取り組んでいることはありますか?

「ワーキングママ支援制度」を設けています。例えば、産前産後休暇や育児休業、時短勤務など、ひとりひとりの状況によって働き方を相談できます。 また、先輩ママへ相談できる「子育てサポーター」制度も。その他にも、企業主導型保育園の運営事業を進めています。やはり従業員の子どもも社員と同じように大切にしなくてはいけないし、親御さんからすると、お子さんを近くに預けられたほうが安心ですし。基本は社員のお子さん優先ですが、地域のお子さんも入園可能です。国の審査期間が長く、何度か心が折れそうになりながらも(笑)、なんとかここまでこぎつけました。

ーそのほかにもユニークな制度があるとお聞きしました。

はい。「おかえり採用」という制度を設けています。坂井建設を退職してしまっても、3年以内に戻ってくれば、もとの役職・給料は変わらずに、復職することができます。戻ってきたときは、すごい能力が開花されています。やはり、「弊社でもう一度働きたい」と思って戻ってきてくれるので、以前とは言葉も違うし表情も違う。皆さん楽しそうに仕事をしてくれています。



ー残業時間の削減にも取り組んでいらっしゃいますね。

はい。まず20時半には完全消灯します。また、部署によっては19時半には自動でPCをシャットダウンする場合もあります。また、残業があまりにも多い社員は始末書を書かなければいけなかったり、賞与が減額になってしまったりすることも。それに、部下の残業時間が多ければ上司が指導されます。上司が強制的に部下を帰すようにしていますね。当然、時間内に仕事が終わらないことも多いです。しかし、「売上が下がろうとも会社は持ちこたえるから、とにかくタイムマネジメントを」と伝えています。ここから徐々に生産性をアップさせ、より効率の良い仕事をしてくれるようになれば良いですね。

ーこれからの目標を教えてください。

これまで、従業員が働きやすく、長く仕事を続けられるよう、さまざまな制度やシステムをアップデートし、環境が徐々に整ってきたところです。女性活躍のためのスタートラインにやっと立てました。女性は、結婚・出産・子どもが保育園に通う・小学校に入学するとか、細かいステージで状況が変わっていきます。個人のライフスタイルに応じてフレキシブルな勤務形態を選択できるようにしていかければいけません。また、仕事に本気になればなるほど、プライベートを犠牲にしてしまうこともあります。ただ、目の前の仕事に一生懸命でどんどん年齢を重ねてしまう。もちろん、仕事を頑張ってくれることは良いことなのですが、それって本当に会社として、経営者として正しいのか。意思決定に迷うことはたくさんあります。これからも社員がワーク・ライフ・バランスを大切にしながら働ける環境を整えていきたいですね。

株式会社坂井建設

株式会社坂井建設
https://www.saladhome.com/

こちらの記事もオススメです

page top