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2020.09.15

お互いの考えや希望を共有することで、
ママが輝き、進化し続ける会社へ

株式会社cotta

株式会社 cotta
代表取締役 黒須 綾希子さん

製菓材料や包装資材などの販売を、小ロット・低単価・短納期で行う「株式会社cotta」。コロナ禍においても業績を伸ばし続けていると注目を集める企業だ。エンドユーザーからプロまでをターゲットに、商品販売だけでなく、お菓子・パン作りに関するレシピなどのコンテンツも配信。今回は、自身も母親であり、仕事と家庭の両立に奮闘する黒須綾希子社長に、会社のこと、ママが働きやすい環境づくりなどについてオンラインで詳しく話を伺った。

業績アップのためには
女性が働きやすい環境が不可欠

―パートタイマー、正社員合わせて100人ほどの従業員がいるとのことですが、男女比について教えてください。

100人のうちパートは7割、正社員は3割ほどです。従業員の9割が女性なんですよ。ほとんどが既婚者でお子さんがいます。

―女性比率が高いのは会社の方針なのでしょうか?

私は九州エリアと東京の両方を管轄しているのですが、意識的に女性を採用しているのではなく、自然と女性従業員が増えていきました。結婚後、女性が働く際に、仕事のシフトの調節のしやすさ、仕事と家庭のバランスが取れるかどうかなど職場が働きやすい環境であることはとても大切だと考えます。やりがいや給料面のことなどを総合的に考えると弊社の働き方は理想にマッチしているのかもしれませんね。

―社長就任時から女性の働きやすさや環境づくりを意識していましたか?

そうですね。私自身も母親なので、休暇の取りやすさや子どもの関係で急に休んでもあまり責任を感じなくていい雰囲気や、PTAなどの行事で胸を張って有給を取れるような社風や制度づくりの両方を行っていました。全員が利用しているわけではありませんが、そういった点が居心地の良さにつながっているのではないかと思います。

―そういった制度は従業員の意見を聞きながらつくっていったのですか?

創業者である現・会長は、「ビジネスを成功させるためには、アイデアや推進力だけでなく出荷力が重要」だと考える人でした。どんなにスキームやビジネスモデルが良くても、売り上げを立てるにはどうしても出荷システムが確立されていなくてはいけませんよね。出荷力を上げるため、責任感やセルフマネジメント力がある女性を積極的に登用してしっかりとしたフレームを作っていきました。

株式会社cotta

出産・育児の可能性があるからこそ
責任感を忘れず仕事に取り組んで

―子育てを経験している正社員はどれくらいいますか?

大分在住の正社員の場合、1人を除いて全員が既婚者です。東京は30人いるうちの28人が女性で、その中の約6割が既婚者ですね。

―子育中の既婚者と独身で、働く条件に違いはありますか?

基本的にはありません。しかし、出産・育児で数年間ブランクをあける可能性がある女性が、正社員として男性と平等に働いていくには、それ相応の努力や意識が必要だと思っています。「わたしはここまで努力します!キャリアを積みます!」と意気込みを語る社員に対してはもちろんフォローアップをしますので、中途半端な気持ちではなく責任を持って仕事に臨んでほしいと思います。女性は結婚・出産・育児とライフイベントが多い。だからこそケースバイケースで、「あなたの人生だから、あなたなりの考えを聞かせて」と、お互いに向き合いながら答えを探していきます。

―出産・育児をして戻ってきた社員に対して、成長を感じられる部分や変化など感じることはありましたか?

やはり、母になり、より一層効率よく仕事をしてくれていると感じますね。ワークスマートのためにも、残業できないスタッフがいることは逆に良いことだと思うので、時短で働きたいと言ってくれるのも大歓迎です。皆さんしっかりと仕事に責任を持って、効率を上げて取り組んでくれています。彼女たちは時間が限られているので、こちらも無駄のない正しいアプローチのコミュニケーションが必要になってきます。社内にそういう雰囲気が生まれると、さらに良い環境になるのではないかと思っています。

株式会社cotta

女性が働く環境は変化。
さらに新しい働き方へ進化し続ける

―近年、女性が働く上で社会が変化したと思う点はありますか?

やはり男性の理解ですね。私も家事は主人と完全に分担しています。特に子どもができてからは当たり前のように家事をしてくれるようになりました。お互いができないのなら、専門サービスに依頼して解決すると言うドライな部分もあります。やはり昔と比べるとそういう選択肢が増えましたよね。そうでなければ女性が社会の第一線で活躍することはできなかったと思います。ただ、その一方で東京と大分で格差を感じることもあります。東京では女性と同じぐらい家事をする男性も多い。女性が男性と対等に働くということは、男性も女性と対等に家事をしなければいけないということです。東京では当たり前になってきましたが、その点まだまだ大分は遅れているなと思うことはたくさんありますね。特に東京は男性も女性も同じ総合職に就くので、給与も同じですし、与えられる役割やミッションも同じ。ですが九州に戻ると、女性は一般職という認識もまだまだあります。そうなると女性が休んで子育てをしたほうが良いとなってしまうのかもしれません。



―結婚や出産など含めて仕事を休んだ時期はありますか?

私は子どもを2人出産していますが、2回とも悪阻がひどく、妊娠がわかったときから3カ月ほど家から出られず入院もしました。こんなに悪阻が重いなんて知らなかったので、準備もできず、仕方なくキャリアを3カ月間中断しました。これまでのさまざまな出来事と比べても一番辛かった経験です。

―その当時から代表を務めていたのですか?

わたしが1人目を出産したときは、まだ代表ではありませんでした。いわゆるサラリーマンとして産休に入りました。皆さんに笑顔で送り出していただきましたが、復帰後、自分が戻る場所はあるのかと、とてつもない不安に襲われていました。あまりクヨクヨすることのない私もこんな気持ちになるのかと感じたのを覚えています。キャリアを積みたいけれど、1年間も休ませてもらうのだからそんなわがままな主張はできないので、復帰後のポジションで迷惑をかけないようにやらせてもらうしかないと、後ろ向きでした。しかし、それは全くハッピーではありませんし会社にとっても損失です。そして何より、赤ちゃんのことを思い描いて過ごす幸せな1年間のはずなのに、仕事のことでモヤモヤしながら過ごすのはすごく嫌だなぁと思い、自分が代表に就任したとき、スタッフを産休に送り出すときはこのモヤモヤを絶対になくしていきたいと決意しました。

―産休・育休後復帰しやすい環境づくりについて、どうお考えですか?

やはり、産休・育休明けのママにとって、働く環境はすごく重要。会社はその環境づくりへの役割も大きいと感じています。女性は出産を機に人生観と暮らしの優先順位を見つめ直すのですが、それが正しいのかどうかは分かりません。妊娠して、家庭を優先したいけどそれでいいのか。自分は甘えているのではないかと思ったり、逆に全てが面倒になってしまって仕事から逃げてしまったり…。そんなときに会社がリードしてあげなければいけないなと思います。妊娠が分かってから出産までの期間で、会社とじっくり話し合わなければなりません。なかには、仕事より子育てを優先したい人もいるかもしれません。安定した給与も欲しいけれど、これまでのように仕事が一番ではなくなると悩む人も多いでしょう。そのときに会社はその人に何を期待すべきなのか。またこの人にはいくらの対価を払うのが妥当であるかを考えることが大切です。お互いの認識がずれるとどうしても不満が生まれてしまいます。



―お互いが不満を抱かないために取り組んでいることはありますか?

産休に入る前に今後についてきちんと話し合って決めていきます。話しづらいことだからと会社も本人もうやむやにしたまま産休に入ってしまうとお互いのためになりません。もしかしたら産休明けにアルバイトになりたい人がいるかもしれません。現在、3人産休を取っていますが、出産後すぐに復帰したいので自分のポジションは空けといてくださいと言うスタッフもいれば、産後はアルバイトとして働きたいというスタッフも。もしかしたら戻ってこないかもしれませんと言うスタッフもいます。もちろん、その人の大切な人生なので全て尊重してあげなければいけません。ではどうやって会社は彼女たちの未来を受け入れるのか、どうすればお互いが満足いく結果になるのか。例えばこれまでキャリアを積んできたスタッフがアルバイトになりたいと言っても歓迎します。それは新しくアルバイトを入れるよりも圧倒的に良いスタッフを採用できているのですごくラッキーです。逆に、子どもを産んですぐ戻ってくるので自分のキャリアを続けさせてほしいと言うスタッフには、「期待してるね、頑張って戻ってきてね、それまで私がこのポジションを守っているから」と伝えます。彼女が高いモチベーションを保った状態で復帰できることを一番重要視しています。

―今後、経営者として女性活用の面で取り組んでみたいことや方針はありますか?

現在、新型コロナウイルスの影響もあって、弊社ではリモートワークを推奨しており、今後も上手く活用していきたいと思っています。雇用契約を結ばず業務委託でも所属できるようにしていますし、場所も縛られなければ働く時間も縛られていません。しかし、その中で1点気をつけたいこともあります。このしなやかな制度や社風が続くと、「自由な会社だから何をしてもOKなんだ!」と仕事に対する緩さや甘えが生まれる可能性もあります。そうならないためにも、共通認識として一本の道筋を正しく発信していきながら、多様性溢れる職場環境をつくっていきたいです。

株式会社cotta

株式会社cotta
https://www.cotta.jp/

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