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2020.12.15

子どもとママが生き生きと過ごし
ありのまま輝ける場所をつくる

フューチャーCプロジェクト

フューチャーCプロジェクト
古賀(多々良) 友美さん

不登校や引きこもり、学校に行くことに違和感を覚えている子どもたちに、学校でもない、家庭でもない、誰もが楽しく安心して過ごせる「第三の居場所づくり」を行うフューチャーCプロジェクト。「CAN(できる)」「CHANCE(好機)」「CHALLENGE(挑戦)」など、たくさんのCを持つ子どもたちの可能性を信じ、さまざまな事業を展開しています。今回は、代表を務める古賀(多々良)友美さんに、立ち上げに至った経緯や目的、具体的な取り組み、今後の展望などを伺いました。

子どもがありのままでいられる場所づくりを

―事業の本格スタートは11月からですか。

はい。11月17日に正式オープンし、現在は6名が通っています。もともと私は、ニートや引きこもりの就労支援を行う「おおいた地域若者サポートステーション」の立ち上げに携わり、若者の自立サポートを10年ほど行っていました。さまざまな事業を行うなかで、子どもたちのためにまだまだできることがあるのではないか。本人だけでなく、ママのサポートができたら、もっと状況が変わるのではないか…。悶々と考える日々が続きました。退職後、フリースクールを運営し、そこでの経験も現在の「フューチャーCプロジェクト」につながっています。



―事業について詳しく教えてください。

大きく分けて4つの事業を展開しています。フリースペースや学習スペースといった子どもがありのままでいられる場所で学習をサポートする「居場所づくり」、家族と異なる社会との接点の役割を担う「訪問サポート」、就職を考えている高校生や仕事に対して自信のない若者を対象にした「職業トレーニング」、リアルな居場所だけでなく、オンラインで交流できる「バーチャルスペースやイベントの運営」の4つです。

―訪問サポートとは、具体的にどのようなサービスなのですか?

実は、本当に引きこもり状態の子どもがフリースクールに来るのはとても敷居が高いんです。しかし、家に来てくれるなら会いたいと言う子も多く、その場合は実際にお宅に伺い、一緒にゲームをしたり、親御さんと話してアドバイスなどを行います。もちろん誰とも会いたくないと言う子もいますが、そういった場合は親御さんとじっくり話すところからスタートします。実際に引きこもりのお子さんを持つ親御さんの中には、どういう風に子どもと接したらいいかわからない、うまく接することができないと悩む人も多いです。お子さんの悪いところばかり目についてしまうこともあるため、「良いところもたくさんありますよ、すごいんですよ」とお子さんの素晴らしい部分を伝えながらサポートしていきます。

フューチャーCプロジェクト

時代にマッチする
新しい取り組みも積極的に導入

―これまでのフリースクールとは少し違う新しい取り組みも行っているんですよね。

殻に閉じこもっている子どもとコミュニケーションをとるとき、リアルだけではなく、YouTubeやSNSなどバーチャルの世界がきっかけになる時代になってきたと感じています。そのため、当プロジェクトではバーチャルスペースを運営し、Zoomのようにオンラインで会話したり、一緒にYouTubeの動画や、アニメを見ることで交流を図ります。引きこもりの子どもの中には、人と話すのは苦手だけれど、人とのつながりは持ちたいという部分もあるので、ひとつのコミュニケーションのカタチとして確立しています。

―離れていても同じ空間でファミリーのように過ごせますね。

そうですね。今後はYoutubeチャンネルを作って、自分の好きなことや得意なこと、何気ない日常を投稿したり、オンラインでのイベントも計画中です。また、全国のフリースクールの経営者と連携をとり、スクール同士のコミュニティを作っていきたいとも考えています。



―大学生とも協力してプロジェクトを企画しているとお聞きしました。

はい。チャレンジ・スタディー・クラブといって、県内大学に通っている大学生に運営の一部を任せています。「フューチャーCプロジェクト」は、人を育てる場所でありたいと考えています。社会に出れば、自分自身で考え、企画・運営をすることが当たり前。大学生に前もって体験してもらうことで、社会に出たときに役立つ知識や経験を身に着けてもらえたら嬉しいですね。子どもたちの「好き」や「興味」を専門性の高いものにしようとする際、大人の力が必要になることも多いです。何かに挑戦するとき、1人のプロが入ることでどんどん知識が生まれ、その人と一緒に取り組むことによって「今の自分には何が必要なのか」、「将来どういう選択をしていくのか」も考えやすくなるのではないかと思っています。

フューチャーCプロジェクト

苦しんでいるママの
心を軽くする場所でもありたい

―不登校や引きこもりはお子さん自身の問題かもしれませんが、実際はママの負担も大きいですよね。そんなママたちのサポートもされているのですね。

はい。私がこのプロジェクトで一番大切にしているのは、「人を育てる」ことと「人に寄り添う」ことです。ママが「個」でいられる居場所を目指しています。いくらお子さんの問題とはいえ、ママへのサポートが盲点になっていることもあります。子どもが不登校になったといえば、周囲から責められる。ママ本人だって辛いのに、その苦しみを抱え込んでしまうことも非常に多いです。ママにお話を聞くと、自分の育て方が悪いのかとすごく苦しんでいます。ママたちの苦しみをなくさないと、子どもはどんどん自分を責め、「自分のせいで家がこんなに暗くなっている」、「自分のせいでお母さんはいつも泣いている」と、負のスパイラルに陥ってしまいます。そうならないためにもママの苦しみを楽にしてあげる場所でありつづけたいと思っています。



―ママのサポートのため、具体的にどんなことをしているのですか?

同じ思いを持つママ同士のお茶会やランチ会を開催しています。実際に庄内の畑で作業をした際、あるママ2人が休憩時間に畔に座ってずっと話をしていました。子どもたちの話をしたり、趣味の話をしたり、リラックスして過ごしているようでした。自然に他愛ない話をして楽しく過ごす。悩みや苦しみを人に話すことで心が軽くなりますよね。ここに来ることで“○○ちゃんのママ“や、”○○さんの奥さん“というレッテルを一度取り外し、自分自身を「個」として考えられる場所にしたいです。

―将来このプロジェクトの展望はありますか。

ママの同士の交流のため、今は畑作業などを中心に行っていますが、いずれは畑で収穫したお野菜などでお料理を作り、お話しながら過ごせたらいいなと思っています。また、バーチャルスペースを大きくし、日本全国、海外まで広げていきたいですね。私の思いに賛同してくれた方々が市外や県外で同じような仕組みのプロジェクトをやりたいというお話もあるかもしれません。そこからどんどん裾野を広げていきたい。プロジェクトの輪が広がっていけば、引きこもりの子どもたちがどれだけ救えるのだろうと思うんです。そのためにもまずは、このプロジェクトをしっかり運営していくのが当面の私の目標ですね。

フューチャーCプロジェクト

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