WORK働いているママ・これから働きたいママに
プラスとなる情報を紹介します。

2021.03.16

テレワークを活用しながら
人と人とをパッチワークする

合同会社パッチワークカンパニー

合同会社パッチワークカンパニー
代表 岡野望美さん

3D CADを使った図面制作業務を中心に、建設業界のさまざまなニーズに応える「合同会社パッチワークカンパニー」。コロナ禍以前よりテレワークを積極導入し、自分らしい働き方で社会とつながることができるワークスタイルを確立しています。今回は、代表の岡野望美さんに、提供するサービスや立ち上げのきっかけ、テレワークを円滑に進めるための大切なポイント、今後のビジョンなどを伺いました。ニューノーマルの時代に対応する、第三の働き方についてたっぷり語っていただきます。

自分らしい作業環境で
社会に役立つ仕事を

―業務内容について教えてください。

弊社パッチワークカンパニーは「家で働くという選択肢が当たり前の世の中に!」を目指している会社です。テレワークを活用しながら、橋梁点検損傷図や調書の作成、鉄骨施工図の制作業務などを行っています。現在、弊社では、大分、別府、臼杵、宇佐、中津と県内各地の男性6人、女性9人の計15人が自営型テレワーカーとして勤務。クライアントから依頼された業務は、各自のスキルやスケジュールを考慮しながら、私が仕事を振り分けています。作業中はビデオチャットツールを立ち上げておくことで、遠隔でもコミュニケーションの取りやすい環境を整えています。

―会社を設立したきっかけは?

私は大学卒業後、3D CADを使った鉄骨施工図作成業務を行っていました。5年間勤務し、28歳の頃フリーランスとして独立。その後は1人で図面作成の仕事を続けていました。担当者と打ち合わせをして、図面を描いて、納品して…というルーティーンワークの毎日が続き、次第にマンネリ感が否めなくなりました。「このままで良いのか、もっと他にやりたいことがあるのではないか」と自問自答を繰り返す日々が続いていました。そこで、国東市にIターンして雑貨販売やネットショップなど、新しいことに挑戦しましたが、やはり長年続けたCADの仕事を続けたいと思い、2014年に法人を設立。当時はまだ注目を浴びていなかったテレワークを活用したCADワーク業務をスタートさせました。これがパッチワークカンパニーの原点です。



―テレワーカーのなかには子育て中の人もいるのでしょうか。

弊社にも数人の子育てママが在籍しています。建設業界は、女性が業務を続けにくいと言われる業界です。まだまだ制度が整っていない企業も多く、そういった事情もあってか、有効求人倍率が6.7倍の売り手市場です。特に、地方では女性の働く場所も限られています。自分でスケジュール管理がしやすく、打ち合わせなどに移動時間などもないテレワークを利活用することで建設業界に風穴を開けることができればいいなと思っています。

―お子さんの体調不良など突発的な事態で作業が遅れてしまうこともあるのでは?

そうですね、頻繁にあります。作業しているスタッフの画面越しにお子さんの泣き声が聞こえることもありますよ(笑)。作業スピードが遅くなってしまうこともありますが、「子どもよりも仕事を優先しなさい」と急かすことはしません。弊社の場合は、仕事のスケジュールや進捗管理など、すべてがセルフマネジメント。作業が遅れそうだと感じたら、マネジメントサイドに共有するなど、自分で考えて行動することが重要です。働き方の選択肢が増え、自由度が高まることで、本人のモチベーションも上がりますし、スキルアップにもつながるのではないでしょうか。

合同会社パッチワークカンパニー

お互いが離れているからこそ
密なコミュニケーションが大切

―育成プログラムなどはありますか?

基本的には、私が直接指導しています。それと同時に、自分で調べて考える習慣も意識するよう伝えています。今後は育成プログラムをコンテンツ化して、学びたいときに学べる仕組みを整備中です。建設業界は間口が狭く、CADの学校に行ったからといって必ずしも就職できるとは限りません。CADを各自で勉強できるカリキュラムづくりを行っています。今後はCADエンジニアのテレワーカーを養成するアカデミーを準備しているところです。

―マネジメントやスキルアップのために、重要なことは何だと思いますか?

弊社は支配的で管理型の組織ではなく、自主性を大事にしたフラットな組織を目指しています。間違っていけないのは、怒ることをやめて優しくするだけでは人は育たないということなんだと思います。それぞれの性格や個性を日々観察し、適切な声掛けをすることを心掛けています。またリーダーは間違いを指摘したり、怒ったりする役目ではなく、みんなが足りない部分をフォローし責任を取ってくれる役目なんだと理解してもらう事で、安心して仕事が出来るようになります。とはいえ、マネジメントに関してはまだまだ勉強段階。私自身もスキルアップが必要だと感じています。



―業務以外での個別のモチベーションケアのようなことはしていますか。

年に2回ほど、メンバー同士の交流を行っています。お互いが離れた場所にいるからこそコミュニケーションが大切です。こちらの思いを正確に伝えないといけませんし、相手の気持ちもしっかりと受け止めなければいけません。お互いが話しやすい環境づくりのためにも、雑談をうまく交えながらコミュニケーションを取るようにしています。画面越しでは「空気を読む」ことが難しいので、より丁寧な言葉で詳しく伝えなければいけません。

―普段、気をつけていることはありますか?

相手の間違いに対しては、しっかりと伝えるようにしていますね。ただし、みんなの前ではなく、個別に話すことがポイント。ウェブ空間にも個別でコミュニケーションできる部屋を設けています。感情的に伝えるのではなく、落ち着いたトーンで具体的に説明するよう心がけています。

合同会社パッチワークカンパニー

新型コロナウイルスをきっかけに
働き方のひとつとして確立した

―新型コロナウイルスがきっかけで働き方に変化が生まれたのではないでしょうか。

これまで、テレワークという働き方は認知度が低く、抵抗がある人もいたと思います。しかし、新型コロナウイルスで世の中の常識は大きく変わりました。多くの人がテレワークという働き方の魅力、可能性を体感することで働き方のひとつとして確立されたのではないでしょうか。

―家庭の事情などで外に出て働けないが、社会とつながりたい、働きたいという人もいますよね。

そうですね。小さなお子さんを持つママは特にそうかもしれませんね。子どもに「お帰りと言ってあげたい」というママが多くなって来ているように感じています。子どもの面倒を見ながら働く事が出来ますか、という問い合わせは多いですが、まずは家族のコンセンサスを得ることが大事ですと伝えています。そうでなければ、家にいるのになんで家のことを優先できないの?家族の時間に仕事を持ち込まないで、など、家族に理解されないとせっかくのテレワークが、辛い働き方になってしまいます。

―次のステップとして考えていることはありますか。

クラウドソーシングを見ていると、自営型テレワークは単価が安くなりがちです。テレワークという働き方に無限の可能性を感じているからこそ、生活の軸になり得るような賃金スタイルを確立していきたいです。現在の業務は大分県内の案件がほとんどですが、私たちの取り組みを全国に広めて、人材不足に悩む建設業界でイノベーションを起こせるといいですね。そして何より、皆さんに「仕事は人生を豊かにするもの」だと知ってほしい。楽しく仕事をできる環境を作っていきたいと思っています。

合同会社パッチワークカンパニー

合同会社パッチワークカンパニー
https://patchcom.jp/

こちらの記事もオススメです

page top