2021.05.25
日本連合警備株式会社
代表取締役 馬場ヒロ子さん
昭和44年の創業の日本連合警備株式会社。「なにも起こらない幸せな日々のために」をモットーに、官公庁や民間企業の警備をはじめ、ラグビーワールドカップ2019や九州沖縄サミット首脳会合など世界規模のイベントまで、さまざまな警備業務を行っています。男性社員が多いイメージのある警備業界ですが、実は幅広いフィールドで女性社員も活躍しています。今回は、代表を務める馬場ヒロ子さんに、女性活躍について、働きやすい環境づくりのために意識していることなど、詳しく伺いました。
―男女比率はどれくらいですか。
現在は9:1の割合で男性社員が多いです。まだまだ女性は少ないのですが、長く勤めてくれている人が多く、とても魅力的な方ばかりなんですよ。私は、社長になって12年になりますが、能力の高い社員たちにフォローしてもらいながらここまでやってきました。自分で考えて動くことができる自主性のある社員が多いですね。
―どのような部署で女性が活躍しているのでしょうか。
総務や経理、営業、警備、現金精査などほとんどの部署に必ず女性を配属しています。リーダーのサポート役としてチームをまとめ、男性警備員とコミュニケーションをとりながら現場管理などもしています。そのほか、イベントや建物の常駐警備を担当することもあります。おかげさまで、大分県立美術館OPAMのインフォメーションやチケット販売、コンシェルジュとしても弊社の女性社員が活躍しています。
―子育て中のママ社員はいますか?子育て中の社員が働きやすい制度などはありますか?
現在、多くの子育て中のママが働いています。やはり子どもは急に熱を出したり、体調を崩したりすることも多いので、いつでも休める環境づくりを意識しています。その人が休んだからといって仕事が進まないという状況をつくらないよう、リモートワークが可能か、1日休んでも問題がないか、フレキシブルに対応しながら仕事を割り振っています。また、必ず1人サポート役の人材を配置し、いつでも休める環境を整えておくようにしています。
―警備の仕事で1番重要だと感じることはなんですか?
最も大切なのは安心安全ですが、それと同じぐらい重要視しているのは、咄嗟の機転や細やかな気配りです。美術展や企画展の警備の際は、美術系の大学を出ている社員や、展示会に興味がある社員を配置してしっかりとしたマナー教育を行っています。2019年のラグビーワールドカップの際は、徹底した語学教育を行いました。男性のイメージが強い警備の仕事ですが、たくましさだけではない柔らかさやしなやかさ、おもてなしの心も大切にしています。
―誰かに立ち向かうのではなく、誰かに寄り添う局面もありますよね。
その通りです。子どもが迷子になった、女性のお客様の体調不良になった、という際もわたしたちの出番です。そういった場面においては男性よりも女性の方が細やかな対応をしてくれると感じています。「柔よく剛を制す」という言葉もある通り、力仕事を頑張るだけではなく、柔らかさや周囲を和ませる力をもって、仕事に向き合ってほしいと思っています。もちろん、柔らかさだけが大切なわけではありませんが、「自分はなぜここにいるのか」「ここで何ができるのか」「自分の役割は何か」をしっかり考えながら働くことが大切ですね。
―女性が働くメリットは何だと思いますか。
弊社の女性社員は、仕事をするうちにどんどん美しくなっています。社会でたくさんの人やモノと触れ合うことで、感性が磨かれているのかもしれませんね。仕事が楽しいと感じることで、内面から美しさが溢れるのでしょう。日本はジェンダーギャップ指数が高いと言われます。ただ「男性だから」「女性だから」を気にしすぎる必要はありません。人に認めてもらうために生きているわけではありませんし、自分が好きなように、思いのままに仕事をすればよいのではないでしょうか。
―馬場さん自身も働くママですが、これまでを振り返ってみるといかがですか?
私が仕事をすることで、家族に寂しい思いをさせているのではと、辛い気持ちになることも多々ありました。しかし、大変だった時期を家族全員で乗り越えたからこそ連帯感も生まれたと感じています。子どもたちも社会人になりましたが、今でも良いコミュニケーションがとれています。
―家族の協力や絆があっての仕事ですね。
そうです。きっと子どもたちなりに私の仕事を理解してくれていたんでしょうね。また、夫はもちろん、おじいちゃんおばあちゃん、近所の人や友人、学校の支えがあってこそ、子育てと仕事の両立をすることができました。その点で、私は恵まれていたと思います。人間は1人では生きていけません。子育て中のママはサポートして下さる人たちに申し訳なく感じるのではなく、もっと甘えていいと思います。もちろん、感謝の気持ちは忘れずに。手を差し伸べて下さる人たちはママの頑張りをきっと認めて下さっています。すこしの間だけ甘えさせてもらって、あとから恩返しすればよいのです。
―働くママに伝えたいことはありますか。
子どもは、頑張っているお母さんの姿をしっかりと見ています。そのお母さんの背中を見て育った子は社会人になっても頑張れる。「あのとき、お母さんは頑張っていたなぁ。僕も頑張ろう」と。仕事ばかりの日々で、子どもに対して「寂しい思いをさせている」と後ろめたさを感じることもあるかもしれません。しかし、「あのときは大変だったけど、よかった」と思える日がきっと来ます。
ー今後取り組みたいことなどはありますか。
現在は男性警備員が多い状況ですが、女性の活躍の幅を大きくしていきたいです。これからも女性社員の良いところや強みを活かせるような仕事を増やしていきたいですね。
日本連合警備株式会社
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