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2021.07.27

多様な性を正しく理解し考える。
誰もが生きやすい大分県を目指して。

大分県生活環境部

大分県生活環境部 人権尊重・部落差別解消推進課 調整班
課長補佐(総括) 平川俊助さん、主査 飛弾美杉さん

LGBTとは、レズビアン(Lesbian:女性の同性愛者)、ゲイ(Gay:男性の同性愛者)、バイセクシュアル(Bisexual:両性愛者)、トランスジェンダー(Transgender:こころの性とからだの性との不一致)の頭文字から作られた言葉です。ここ数年、日本においてもLGBT等の問題が取り沙汰されるようになりました。大分県では性の自認や性的指向の悩みを、大分県公認心理師協会所属の公認心理師や臨床心理士に相談できる相談窓口を設置。窓口を運営する大分県生活環境部の平川俊助さん、飛弾美杉さんに、LGBT等の現状、課題について詳しくお聞きしました。この機会に、多様な性について考えてみましょう。

LGBTに正しい理解と認識を。
日本の現状と課題とは?

ー最近ではLGBT等についての認識も広まってきたと感じます。

飛弾
そうですね。最近はLGBTに、クイア、クエスチョニング(Queer,Questioning:定義できない)まで含めたLGBTQと呼ばれることもあります。近年、ニュースで耳にする機会が増えましたが、実はもともと男尊女卑や外国人差別といった“人権”という大きな枠組みの中に存在していました。ここ数年で急に生まれた問題ではなく、徐々に認知が広まってきたという印象です。

ー広く認知されるきっかけがあったのでしょうか。

平川
個人的な意見にはなるのですが、LGBT等の問題で悩む人が少しずつ声を上げられるようになったのだと感じています。以前から「レインボーパレード」と呼ばれるLGBTQをはじめとするセクシャルマイノリティーの存在を社会に広め、「"性"と"生"の多様性」を祝福するイベントも行われていましたが、日本国内の意識はまだまだ薄かったです。ここ数年、グローバルスタンダードにはなったものの、日本ではセクシャルマイノリティーに関する法律等もなく、今回「LGBT理解増進法案(仮称)」提出も見送られてしまいました。LGBT等に関する理解度はまだまだ後進国と言わざるを得ません。

ー教育現場における理解の現状はどうでしょうか?

平川
男女差別や外国人差別などは道徳で学びますが、LGBT等の問題は、性教育との兼ね合いもあるので、子どもたちの発達段階に応じて学ぶ必要があります。中学生になると、体育の授業前の着替えやお手洗いの問題など、さまざまな悩みも増えます。選択式制服の導入など、独自の取り組みを行っている学校もあるようです。以前に比べたら、LGBT等にまつわる教育は進められているのではないでしょうか。

ーとは言え、LGBT等の問題はまだまだ根深いですよね。

飛弾
そうですね。理解に向けて全国的に取り組むようになったとはいえ課題も多いです。自分を受け入れられずに一人で悩んでいる子どもは、まだまだ多いと考えます。大人になってからも「親を安心させるために結婚はしたが、結婚生活を送る自分は本当の自分ではない」と、自分の性を隠しながら暮らしている方もいます。LGBT等の問題は単なる趣味だと誤解されることもありますが、決してそうではありません。生きることそのものです。それぐらい大切な問題だということを多くの人に知ってもらいたいですね。

大分県生活環境部

本人だけでなく、家族や友人、教師など、
あらゆる方からの相談にも対応

ー大分県に設けられた相談窓口はどのようなものなのですか。

飛弾
今年の6月に、大分県公認心理師協会と協力してLGBT等の相談窓口を開設しました。性の自認や性的指向について、どなたでも無料で相談することができます。匿名でのお電話でも構いません。声を上げることができる場所をつくることで、彼らに寄り添い、支援をしていく場所にしたいと思っています。

ー具体的にどういう相談が寄せられているのですか?

飛弾
他県の情報も含みますが、「戸籍上は男性だけれど、心は違う性である」といった性の自認に関することから、「同性を好きになるのはおかしいことなの?」といった性的指向など、性に関するさまざまな悩みが寄せられています。ご本人はもちろん、ご家族やお友達、学校の先生など、あらゆる方からの悩みを受け入れられる体制をとっています。

平川
LGBTをカミングアウトしたことで、職場内や学校で差別を受けた、親族間で理解されなかったといった相談も受け付けています。直接介入するのは難しいですが、自分の中だけで抱え込んでしまっている方へアドバイスすることで、生きづらさを少しでも解消できる場所を目指していきたいですね。



ー相談後、どのような対応をしていただけるのでしょうか。

平川
相談後、医療のサポートやカウンセリングが必要な場合、専門家への受診をおすすめすることもあります。現在は、日本全体が法整備やサポートも含めて、多様な性を受け入れるため動き出した過渡期。大分県での相談窓口が誕生したことで、LGBT等の人たちの活動を支持し、支援する「アライ(ALLY)の会」立ち上げの話もあると聞いています。

飛弾
皆が「自分たちにできることは何か」と考え活動する意識がもっと広がってほしい。そして、行政単体ではなく、民間や医療機関と連携、情報共有しながら、課題に向き合っていきたいと考えています。

大分県生活環境部

正しい知識と当事者意識を持ち
誰もが生きやすい社会を目指す

ー実際、お子さんからカミングアウトされた際に、どうすればよいのかわからない人も多いですよね。

飛弾
「子どもが打ち明けてくれたとき、どう反応してよいか困った」「生徒から相談されたときの対応方法がわからなかった」など、性についてカミングアウトされたときに動揺してしまう大人がほとんど。また、カミングアウトしたものの親や教師に理解してもらえなかった、許可なくセクシャリティを第三者に言いふらされた等、様々な問題も叫ばれています。だからこそ教育者だけでなく、やはりたくさんの人がLGBT等への認識を深めてほしいと思います。

ー母親だからこそLGBT等に関する正しい情報を知ってもらいたいですね。

飛弾
カミングアウトされた母親の中には、「私の育て方が悪かった」と感じる方もいます。しかし、母親が自分を責めることで、お子さんは更なる苦しさを背負ってしまいます。“LGBTは、誰のせいでもないし、間違っていることではない”と理解することが大切です。


【人権啓発マンガ冊子「りんごの色~LGBTを知っていますか?~」を作成しました!】
https://www.pref.oita.jp/site/kokoro/lgbt-manga.html


ーLGBT等について、本人も親御さんもしっかりと理解したうえで社会と関わることが大切ですね。

飛弾
子どもに限らず、友人等からカミングアウトされたときに、本人に返す言葉はとても重要です。「私を信頼して、カミングアウトしてくれてありがとう」という気持ちがなければ、逆に傷をつくってしまいます。セクシャルマイノリティーについて深く学び、理解し、サポートしていく姿勢が大切です。

平川
以前、LGBT等に関する書籍に、「今、自分たちは、まるでこの世の中に存在してはいけないもののようだ。でも、法律や相談窓口が設けられることで、“生きていてもいい存在なんだ”と感じることができる」と書いてありました。今後、相談窓口にどのぐらい相談が寄せられるかは分かりませんが、行政として「あなたたちの存在をちゃんと理解していますよ」と積極的に発信していきたい。応援してくれる人がいることは、悩みを抱える人たちにとって後押しになるのではないでしょうか。実はこれって人権そのものなんです。LGBT等にしても、障がいの有無にしても、“私は当事者じゃないから関係ない”のではなく、ともに向き合うべき問題は山ほどあると感じています。性の問題は誰もが「当事者」なんです。

ーこれまで、男女は二元性で語られることが多かったですが、“男女は境目なくつながってるもの”と考えられるようになるといいですね。

平川
大分県は条例の中で、多様性を認め合う社会を目指していきたいと謳っています。男女がグラデーションのようにつながる世の中を目指して、皆が分かり合える世の中を創造していきたいです。

大分県生活環境部

LGBT等に関する相談窓口

■専用電話
070-4793-4407

■開設日時
毎月第3土曜日のAM10時~12時
相談時間は、お一人1 回:最大30 分を目安とします。

メールでの相談を希望される場合は、下記アドレスにお願いします。
なお、回答は相談開設日のみとなります。
madoguchi-oita13710@au.com

■令和3年度相談日
6月19日 / 7月17日 / 8月21日 / 9月18日 / 10月16日
11月20日 / 12月18日 / 1月15日 / 2月19日 / 3月19日

(お問い合わせ)
大分県生活環境部 人権尊重・部落差別解消推進課
TEL 097-506-3172

【LGBT等に関する相談窓口の設置について】
https://www.pref.oita.jp/site/kokoro/lgbt-soudanmadoguchi.html

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