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2022.01.18

男性の育児休業取得を促進し
あるべき未来の姿を目指す

ヤフー株式会社

ヤフー株式会社 大分センター
植木 貴之さん

大分県は、「子育て満足度日本一」を目指し、男性の子育て参画、育休取得を後押ししていますが、日本は諸外国と比べて、男性の家事育児時間が圧倒的に少ないというデータがあります。Yahoo! JAPANのサービス内の監視や投稿などの審査業務を行う「ヤフー株式会社」で働く植木貴之さんは、第二子誕生に合わせて育児休業を取得。育休取得に至ったきっかけや道のり、育児の大変さ、復職後のことをお聞きしました。植木さんの実体験に基づくお話に、ママが安心して子育てするためには、男性の育児参加が必要不可欠だと改めて感じました。

育児に追われる妻を見て、
育休取得を決意。

―植木さんはどのような仕事をしているのですか。

弊社は、さまざまなサービスを展開しており、私が担当しているのはそれぞれのサービスにおけるカスタマーサポートです。お客様からのお問い合わせに対する返答や、各種サービスに投稿されたコメントのパトロールです。誹謗中傷につながる投稿がないか、利用規約に則った使い方がされているか監視する部署でチームの統括業務を行っています。

―育休取得に至ったきっかけを教えてください。

現在、3歳の男の子と1歳の女の子を育てています。1人目のときは育休を取得しませんでした。制度自体は知っていましたが、親も近くに住んでいましたし、妻の実家もすぐ近くにありましたから正直、取得する必要性をあまり感じませんでした。しかし、育児は365日24時間休みがありません。妻の様子を見ていると、私が想像していたよりもはるかに大変そうでした。当時の私は仕事が忙しく、妻は典型的なワンオペ育児を強いられていました。日ごとに疲弊していく妻の姿をを見て、何か私にできることはないかと考え、2人目のときには育児休業を取ろうと決意しました。



―育休取得時、迷いなどはありましたか。

現在、入社12年目を迎え、2017年からリーダー職として働いています。育休を取得するとなると、やはり仕事に穴を空けてしまうのではという迷いはありました。しかし、1人目が生まれてからずっと育休について考えていたので、2人目の妊娠が分かって2ヶ月ほどで上長に相談しました。今後の組織体制についてもかなり早い段階から固めていたので、スムーズに育休を取得できたと思います。

―会社の反応はどうでしたか?

会社として理解をしていただけたので気持ちが楽になりましたね。私が育休に入ったあとのメンバー配置について考え、どうやって実現させるのかをじっくりと検討していきました。育休中は、業務的なやりとりはなかったですが、社員の家族が参加するイベント「ファミリーデー」に参加したりと、継続的にコミュニケーションを取りながら過ごしていました。

ヤフー株式会社

ともに理解し協力することが大切
恐れずに“まずは一緒にやってみる”

―育児休業に関して、奥さんの反応はいかがでしたか。

収入が減ることの心配や今後のキャリアプランに影響が出るのではないかなど、最初は戸惑っていました。しかし、育児休業給付金が国の制度として認められているので金銭面は問題ありませんでした。大分センターでの男性の育休取得は初めてでしたが、県外拠点では取得したスタッフもいるので、それほど珍しいことではなく、もちろんキャリアへの影響がないこともしっかりと伝えていただきましたので、夫婦で安心することができました。

―育休中は、奥様と家事育児を明確に分担していましたか。

明確な分担はありませんが、産後すぐの場合、妻は思うように動けないので、炊事、洗濯、掃除などの日々のルーティーンワークは全て私が行っていました。仕事をしていたときと生活リズムはあまり変わりませんでしたが、辛かったのは夜泣きの応対です。これだけは当番制にしていたのですが、授乳だけでなく、オムツ替え、うつ伏せ寝になっていないかも注意しなければいけません。当時は上の子もまだまだ目が離せない状況だったので大変でしたね。



―育児を通して気づいたことはありましたか。

子どもと一緒にいると、思った以上に何もできないということです。空いた時間で読書をしたり、スキルアップのための勉強しようかとも考えていましたが、子どもが起きている限りは無理でしたね。保育園も長時間預かってもらえるわけではないので、保育園に送った後に買い物や、料理の下ごしらえをしていたらあっという間にお迎えの時間です。時間の流れが速く感じました。あとは、常に寝不足です。妻と家事育児を分担しても睡眠不足だと感じていたので、もし妻が1人ですべてを対応していたら…と考えるとゾッとします。家事育児のハードさをリアルに感じました。

―育休を取得して良かった面を教えてください。

家事育児のスキルアップはもちろん、妻の負担を減らすことができた点、妻とコミュニケーションを取り、じっくり話す時間が増えたことです。しっかりと話し合い、お互いの想いや考えていることを共有することで喧嘩もなくなりました。私は、“協同”という言葉が好きです。子育てはともに理解し協力していくことが大切です。これは仕事にもリンクすることだと思っています。育児には大変なことも多いかもしれませんが、お互いを知り、分かり合うためにもまずは一緒にやってみることが大事です。もし、もう1人子どもを授かることがあれば、可能であればまた育休を取得したいですね。

ヤフー株式会社

男性の育児参画を根付かせるなら、
まずは意識改革が必要

―育休後は普段の通勤や勤務スタイルにスムーズに移行することはできましたか。

起床時間と就寝時間は、育休前から変わっていなかったので、特に問題なくもとの生活に戻ることができました。ただ、現場を離れて半年も経つと変化も多く、仕事のブランクは少し感じました。しかし、役職に戻るまでに3ヶ月間の猶予をもらい、その間の変化や業務の読み込みを行いました。チームのメンバーにフォローされながら、しばらくすると元通りのリズムで働けるようにはなりました。

―男性が育休を取得するメリットは何だと思いますか。

女性は妊娠したら産休・育休を取得して復帰することがスタンダードになってきましたが、男性の育休取得はまだまだマイノリティです。私自身も男性が育児休業中に何ができるのかわかりませんでした。今回の経験を通して、出産後の女性の大変さ、メンタル面の辛さ、復職後の大変さなどを理解することができました。今後は育休・産休をとる人に対してしっかりと寄り添い、フォローを行いたいと思っています。

―上司が育休を取得していれば、相談しやすく、不安も解消できるかもしれませんね。

弊社では、個人のホームページのようなものを全スタッフが持っていて、そこに私の育休取得の手順やTODOリスト、感じたこと、復職後のことまでまとめています。もし育休を取得したい人がいれば、情報を共有しています。出産・育児に対してはもちろん、育児と仕事の両立にもポジティブなイメージを持ってもらえるよう、積極的に情報を発信していこうと思っています。わたしの体験がヤフー全体のロールモデルになれば嬉しいですね。



―男性が育児に対してもっと積極的になるにはどうすれば良いと思いますか?

まだまだ日本では、男性の育児参加の文化が根付いていません。実際に、自分の親を見ていても、「家事・育児=女性がするもの」という意識が強く、その意識を変えていかなければいけません。会社として制度を設けるといった仕組みづくりを行う必要があります。私自身、1人目で育児大変さを目の当たりにしていたことが育休取得の理由です。それがなければ取得していなかったと思います。全ての男性に高い意識を持ってもらうのは難しいかもしれません。子どもの着替えを手伝ったり、寝かしつけをしたりなど、少しずつでも良いので男性の意識改革が必要です。

―男性の育児参加への道はまだまだ険しいですが、確実に土台ができつつある環境でしょうか。

男性の育児参加推進においては、今が一番大変で重要な時期だと思います。まだまだ「育休を取る男性=意識高い、まぶしい」というイメージがありますが、男性の育児休業をきちんと制度として整えていく、文化として浸透していくことで、男性の育児参加がスタンダードになっていくのではないかなと思います。育児に関して興味関心を持つ男性が増え、日本全体でそれを推奨し、育児休業を取得する人が増えれば、未来は少しずつ良い方向へ変わっていくと思います。

ヤフー株式会社

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https://about.yahoo.co.jp/

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