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2022.12.13

マネジメント力やリスク管理スキルなど
男性の家事育児参加のさまざまなメリット

大分キヤノンマテリアル株式会社

大分キヤノンマテリアル株式会社

育児・介護休業法が改正され、「産後パパ育休」の制度が新設されるなど、男性の育児参加への注目が高まっています。杵築市に本社がある、大分キヤノンマテリアル株式会社は、子育てサポート企業として厚生労働大臣より「プラチナくるみん」に認定されています。今回は同社で働き、時短勤務と育休を取得した2名のパパにインタビューしました。時短勤務や育休取得に至ったきっかけをはじめ、子育てを通して感じたことや復職後のことをお聞きしました。また、人事施設部の桑畑隆二さんに2人を見て感じたことや育児取得の現状などもお聞きしました。


大分キヤノンマテリアル株式会社 安藤和也さん



時短勤務で身についた
タイムマネジメント力

―時短勤務に至った経緯を教えてください。

16歳の高校生の長女、11歳の小学生の長男を育てています。長男が1〜2歳だった2012年から10年ほど時短勤務を活用していました。もともと、産休育休の制度もあり、子育てに関して理解がある職場でしたが、男性で育休や時短勤務を利用する人はいませんでした。シングルファザーになったのを機に、子どもたちの成長としっかりと向き合えるように、時短勤務を選択しました。

―時短勤務を始めた頃はどうでしたか?

当時の職場は「残業も含んで仕事をこなしていく」という雰囲気がありましたし、他のメンバーより早く退社しないといけないのが辛い時期もありました。勤務時間が短くなったので、正直、人事評価が少し気になりましたが、「しばらくは子育てに重きをおいて時短勤務でもしっかり結果を出すぞ」と決意。とにかく報告・連絡・相談を意識して、上司や仲間と情報を共有しながら徹底的に自分自身のタイムマネジメントに気を遣っていました。



―1日のタイムスケジュールはどんな感じですか?

現在は時短勤務期間が終わり、フルタイムに戻り8時から17時まで働いていますが、時短勤務の頃は、
保育園の送迎の問題もあり、8時半から17時勤務に変更しました。朝30分遅い出勤だと、朝礼に間に合わないので、情報共有ができないことも…。その後、8時から16時半勤務へと変更したのですが、16時半に退社すると、打ち合わせの途中で抜けなくてはいけないこともあり、正直不安なことも多かったです。それぞれたったの30分ですが、1ヶ月で考えると約10時間ほど短い計算になります。他のスタッフよりも勤務時間が少ないので、仕事をうまく処理できず悩むこともありましたね。子どもが幼い頃は、実家で両親と同居し、サポートしてもらっていましたが、小学校に進学後はアパートを借りて三人で暮らし始めました。はじめは家事の負担も増えて大変でしたが、次第にリズムができて、なんとかやっていけるようになりました。

―時短勤務で、身についたことや変化はありますか?

ご飯を作っているときに、子どもたちに風呂に入ってもらう、食洗機や乾燥機といった最新家電にうまく頼るなど、マルチタスクをこなすために、常に「効率」「時短」を意識していました。慣れてくると自分の時間も捻出できるようになってきました。時間の使い方が劇的に変わりましたよ。それまでは、仕事面においても、「残業をしてでも全て自分でやる」、「結果を出すこと」が重要だと考えていたんですが、“時間がないなかで、仕事をどう回していくか”を考え、業務を分担しながら効率よく仕事ができるようになりました。タイムマネジメントスキルがアップしたので、フルタイム勤務が始まっても、スピード感を持って仕事ができますし、部下にもそうアドバイスできるようになりました。また、子育て中のお母さんたちへの見方が変わりましたね。自分が子どもの頃は母親の偉大さがわかりませんでしたが、実際に自分でやってみて本当に日々の家事は大変なんだと実感しました。だから、世の中の男性の皆さんには家事や育児に積極的に参加してほしいと思います。

大分キヤノンマテリアル株式会社 Sさん



育休取得前からの
事前準備が大切

―育休取得に至った経緯は?

上の子が今年6歳で、下の子は生まれたばかりです。2022年8月に2人目が生まれたときに育休を取得しました。1人目のときは、生まれる直前に部署移動があり、育休取得が難しかったんです。1人目の子育て中、妻が睡眠不足になり、家事と育児の両立がすごく大変そうで…。その姿を見ていたので2人目が生まれたタイミングで、育休を60日間取得しました。

―仕事を休むことへの不安はありませんでしたか?

ないといえば嘘になりますが、「この60日間は育休に集中しよう」と、ある程度は割り切っていました。私だけが抱えている案件も多かったので、育休を取得する4ヶ月ほど前から、適任者に仕事を割り振り、少しずつ引き継ぎ業務を行いながらコツコツと準備しました。同僚や後輩が快く業務を引き受けてくれたおかげで仕事を休む不安感を抱えずに過ごせましたね。

―2ヶ月の育休期間を振り返ってみていかがですか?

妻は夜間に子どものお世話をしているので、昼間はできるだけ休んでもらい、私が料理や掃除、買い物などの家事をする、うまく分担しながら家事育児をやっていました。1人目のときは、仕事をしながら家事と子育てをしていたので、家でも仕事のことを考えることも多かったし、妻との会話に集中できないこともありました。育休を取得したことで、育児に集中できたので、しっかりとコミュニケーションをとり、子育てに向き合うことができました。子どもが生まれたばかりの一番大変なときに夫も育休を取り、2人で子育てをすることで、産後の妻の負担はかなり軽減できると思います。

―家事と育児を分担してみて気づいたことはありますか?

妻からすれば、私の家事レベルはまだまだ物足りないと感じていたかもしれません。例えば、買い物の場合は、私は決められたもの、言われたものしか買いませんが、妻の場合は、1週間の献立を考えて買い物をしているようです。子どものイベントに関しても同様です。早い段階から気づき日時や段取りなどを考え、計画を立てます。妻は常に先を見越して行動していることに気づきました。そういった時間軸の違いはすごく感じました。本当に毎日そこまで考える余裕がありませんでした。努力の量が全然足りなかったと思いますし、先のことまで見越して動くのが妻の求める本当の子育てなのだと感じました。

―育休期間を経て変化はありましたか?

時間の使い方が変わり、何かを後回しにすることが減りました。とにかく何もかも先に終わらせて、イレギュラーなことが起きてもある程度対応できるようになりました。例えば、育休前は仕事でいろいろなことを考えすぎてしまって動くのが遅くなることも多かったんです。しかし、育休を取得して、家事・育児というタスクにとにかく集中することを2ヶ月繰り返しました。目の前で起きていることに集中してスピーディーに対応するようになりました。そうすると、現場復帰後、家に帰ってからあまり仕事のことを考えなくなったんです。育休取得前と後で大きなマインドチェンジがありました。今後、職場内で他のメンバーが育休を取得する場合も応援したいですね。仕事においても家事育児においてもどんな準備が要るのか、どういうふうなことが起きるのかアドバイスしながらフォローしたいと思っています。

大分キヤノンマテリアル株式会社 人事施設部 桑畑隆二さん


男性の育休取得率は、2016年の時点で0%でした。会社側としても社員に育休を積極的に取得してほしいという想いもあり、働いている一人ひとりが育休を取得しやすい職場づくりのために取り組んでいきました。その成果として、2022年9月時点で育休取得率は37.5%にまでのぼりました。会社に長く勤めようと思ったら、ライフステージの変化が起こった際に、自分らしい働き方ができるかどうかが重要です。しかし、時短勤務によって仕事をする時間が短くなれば、評価されないのではないか、給料が下がるのではないか、などたくさんの懸念があるでしょう。そういった懸念を今回、取材に協力してくれた2人は払拭してくれています。時短勤務でも、育休を取得しても、役職の責務を果たすことは可能ですし、頑張って成果を出せば、しっかり人事評価されることを体現してくれています。彼らのようなロールモデルがいれば、これから結婚、育児を控えている若いスタッフがキャリア形成についてイメージしやすいと思いますし、男性の育休取得率や時短勤務の割合が上がっていくのだと思います。

大分キヤノンマテリアル株式会社

大分キヤノンマテリアル株式会社
https://mtrl.canon/ja/index.html

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