今後、社会が求める力は「想像力・協調性・比定型」
だからこそ、女性の柔軟性が必要とされる

大分市東春日町にある「大分県消費生活・男女共同参画プラザ アイネス」にて午前10時から開催された第一回目のセミナーは、Aコースのマインドセットセミナー。入室時の検温やアルコール消毒、パーテーションを設置し、万全のコロナ対策をして行われました。

今回、初の試みとして、Zoomを利用したオンラインセミナーでの参加者も加わり、会場には14名の参加者が揃いました。全６回のセミナーを共にする参加者の皆さん。最初はちょっと緊張していましたが、テーブルごとに「はじめまして」の挨拶を交わし、次第に打ち解けていた様子。

第一回目のセミナーに登壇してくださった講師は、これまでも幾度か本プロジェクトにお力添えを頂いている「Work Step株式会社」代表取締役の田中彩さん。社会復帰希望のママとママ人財の力を活かした企業へのサポート活動を行い、産業カウンセラー、社会保険労務士としても活躍されているスーパーウーマンです。講座のテーマは『ボランチ人材になるために』。



出産を機に仕事を離れ、再就職で失敗したご自身の経験をもとに、同じ思いをしている女性たちの力になりたいと、現在の活動を始めた田中さん。

「労働人口が年々減少し、フルタイムで働く人たちだけに頼っていては企業も成り立たず、厳しい時代になってきました。そこで、これから求められるのは、いかに短い時間で効率化を図り、ゴールを目指すかということ。それには、育成力、タイムマネジメント力、チーム活性化、そして効率化…などを育児や家事の仕事を通して身につけた、女性の能力が求められています。技術革新が加速される中、仕事で求められる能力はどんどんと変化しています。新しいことにチャレンジする気持ちや、協調性、創造性、非定型の対応力が求められ、この力を伸ばしていけば、今後社会や企業で活躍できる時代になってきています」。

まさに青天の霹靂とも言えるコロナ渦で、仕事の仕方や社会との関わり方も大きく変化しました。予測できない大きな変化にも対応できる柔軟性やチャレンジ精神は、今後、働く女性にも求められると田中さんは話してくれました。

家事・育児で培われた家族（チーム・組織）全体を見渡す力は
ママボランチとして活躍！

昨今の企業の経営環境は「野球型からサッカー型へ変化した」と田中さん。コロナで在宅ワークが増え、制限がある中でいかに企業の力を上げていくのかが求められていると言います。

「これまでの固定業務だけではやっていけない時代になりました。自分で考えられる、枠を超えたプレーが求められています。それがサッカー型。組織全体を見渡して、時間内でしっかりプレーできる能力は、女性だからこそ発揮できるものだと感じています」。

ボランチとは、試合の流れをコントロールする舵とり役や司令塔という、サッカーにおけるとても大切な役割を担っているポジション。フィールドを家と考えると、家族の真ん中で全体を見渡しているのが母親でもあります。

「子どもたちや家族のスケジュール管理から旅行の計画、子どもたちが成長する過程での長期マネージメントなど、家族（チーム・組織）全体を見渡してマネージメントする土台作りができているんです。そのスキルを、地域社会や会社などのフィールドに置き換えて、ボランチという役割を果たせるのが、子育てを経験してきた女性たち。そんなママボランチは、企業のリーダーとして活躍できる能力を備えています。『あなたがきてくれてよかった！』といってもらえる働き方は、きっと実現します」。

田中さんからの心強いメッセージを受け取った後、テーブルごとに自己紹介と、講座を受けての感想を述べ合っていた参加者の皆さん。同じ立場でもあるママ同士、いろんな悩みや意見が飛び交い盛り上がっている様子でした。

「自分が今まで家庭でやってきたことが、これから働く上で生かされていくんだと、田中さんの話を聞いてちょっと安心しました」「復職する上での不安もありましたが、頑張っていきたいと思いました」と、いう声も聞こえました。

その後「私のプチ自慢」「セミナー受講後になりたい私&叶えたいこと」のテーマでテーブルごとにトークセッションをし、参加者同士のコミュニケーションも深まっていきました。

最後に、今回のセミナーを受講し、自分の気づきをワークシートに記入。小さな文字でぎっしりと書き込まれた用紙を見て、こちらも嬉しくなりました。12月まで続くキャリア形成セミナー。最後の修了式と、企業との交流会では、これまで以上に一層輝く皆さんの笑顔に出会えることを楽しみにしています！

エンパワメントとは、自分の可能性に気づくこと
その能力をアピールできる場を創出していきたい

「Work Step株式会社」代表取締役の田中彩さん
　
エンパワメントとは、一言で言うなら「自分の可能性に気づくこと」なんだと思います。もともと持っているスキルに油を注いであげて、できるかもしれない！という原動力になり、自分の力に気づいてあげることが大事だと感じます。

私の「幸せの定義」は、いかにたくさんの人に「ありがとう」と言ってもらえるか。働くって苦労はするけど「ありがとう」の連続じゃないですか。働くことは、側にいる人たちを楽にしてあげることでもあります。家族からの「ありがとう」だけじゃなくて、社会や会社というもっと開かれた場所で「ありがとう」と言ってもらえるのは、また家族からの感謝とは違った幸せを感じることができます。

家族の中心となり、当たり前に切り盛りしていた家事や子育ての仕事は、それだけであなたに素晴らしいスキルを与えています。だから、もっと自分に自信を持って欲しいと思います。

何度か大分を訪れ、感じているのは、大分の女性たちは何かを学び取って吸収しようとする強い力を持っているということ。このセミナーで自分の中に秘めた潜在意識に気づき、自分力を高めるきっかけになれば嬉しいですね。12月には、企業との交流会も予定しています。自分の言葉で自分をアピールし、企業と大分の女性の素晴らしい人財が繋がっていくといいなと願っています。