多様な事情への理解を

休暇制度は有給休暇や育児休業、介護休業、生理休暇など労働基準法で定められた「法定休暇」と、慶弔休暇、リフレッシュ休暇、ボランティア休暇など会社独自の「法定外休暇」（特別休暇）があります。しかし、制度化されていながら、従業員が十分に活用できていないケースもあるようです。

例えば生理休暇は、女性従業員が月経による心身の不調で就業が困難な場合に取得できます。三好さんは「会社の就業規則に明記していなかったり、上司が男性などの職場環境が原因で申請しづらかったりすることがあります。無給か有給によっても取得のしやすさが変わってきます」と指摘します。

その他の休暇制度でも、職場の雰囲気や忙しさ、同僚へのしわ寄せを懸念して取得しづらい状況が発生しがちです。「職場のコミュニケーションを深めて、リテラシー（知識や判断力）の向上に努めましょう。管理職がダイバーシティー（多様性）などの研修を通じて、多様な事情がある従業員への理解を深めることが大切です」と三好さん。

信頼関係の構築が鍵

会社側にとっては、休暇制度をきちんと運用することが人材確保につながります。給与などの待遇の良さで従業員を採用しても、実際の職場環境とのギャップが大きければ、早期離職につながりかねません。新しい休暇制度をつくるよりも、まずは法定休暇を確実に運用することから始めましょう。

従業員は「休むと人事評価に影響するのではないだろうか」という不安を抱くことがあります。特に生理休暇を定期的に申請すると、「重要な仕事を任せてもらえなくなるのではないか」という懸念も生じます。三好さんは「普段からパフォーマンスをしっかりと評価してもらえるように、職場で信頼関係を築いておきましょう。会社側も上司を通さずに申請できるシステムや、第三者に相談できる窓口を設置する方法もあります」という対応策を示しました。

まずは家庭を大事に
仕事でも頼れる存在

エリアスーパーバイザーの三重野恵さんは県内の営業オフィスを回りながら、書類作成など事務作業をサポートしている。営業スタッフにとって頼りになる存在だ。
佐伯市出身。大学卒業後、東京都内の建設会社で６年間働いた後に帰郷し、２００５年に母親も務めていた第一生命に入社した。佐伯、臼津（臼杵市）の両オフィスで事務職のスキルを磨き、支社で唯一のエリアスーパーバイザーに昨春、抜擢された。
小学６年の長男を育てる母親。育休からの復帰後には残業免除の制度を活用したこともある。「女性が多く、アットホームな雰囲気。福利厚生がしっかりしている」と育児と仕事の両立ができる職場環境に感謝する。
毎週末には、小学校教諭の夫と長男との３人で、バレーボールでリフレッシュするのが楽しみという。「まずは家庭を優先したい。仕事は与えられたポジションで全力を尽くし、関わった案件は最後までやり遂げたい」と着実に責任を果たす考えだ。



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余裕を持って育休準備
復帰時もスムーズに

情報通信業のドコモCS九州で、大分支店ネットワーク部の一員として働く江村篤史さん（35）は、県内各地に出向き、電波状況の調査や改善に当たっている。「職場は年齢関係なく意見を交わし、風通しがよく働きやすい」という。
４歳と２歳の子どもの父親でもある。2人目が誕生してすぐ2カ月間の育休を取得した。母親の妊娠初期から育休に向けての準備を進める「スマイルリレー」という社内制度があり、「円滑に仕事を引き継げるよう余裕を持って資料をまとめ、担当を振り分けた」。育休中は、妻と協力して育児に向き合った。会社からはメールを通じて業務の進捗(しんちょく)状況の報告があり、「スムーズに復帰できた」と振り返る。
復帰後は月１回の上司との面談で近況を伝え、無理のない働き方を実現。フレックス勤務やリモートワークも活用し、子育てと仕事の両立を実践中だ。「自身の経験を後輩に伝え、育休取得をためらわない職場環境になるよう心がけたい」と話す。




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