2025.07.15
子育ても、仕事も、自分らしいチャレンジも――。一人ひとりが異なる個性と経験を持つ、多彩で多才な女性たち。中には、「組織に属さない」という道を選んだ人も少なくありません。しかしその先には、道しるべのない不安や、ひとりで進むことへの心細さが立ちはだかることもあります。令和7年度 大分県女性起業家創出促進事業「Co-Re-Color(コレカラ)」は、そんな女性たちの背中をそっと押すプロジェクトです。共に学び、語り合い、想いをかたちにするセミナーや出会いの場を通して、それぞれが「わたしのこれから」を描ける時間をお届けします。今回は、第3回セミナー講師を務める立命館アジア太平洋大学教授・須藤智徳さんのインタビューも交えながら、このプロジェクトの魅力を詳しくご紹介します。
経験豊かな講師陣とともに、アイデアの言語化や共感の届け方、事業構想の磨き上げを実践的に学びます。さらに、同じ志を持つ仲間と出会い、語り合うことで、視点や可能性が広がっていきます。誰かの正解をなぞるのではなく、「わたしの色」で、未来を描く。そんな女性たちの再出発=“Re”を、多彩なサポートで後押しするのが「Co-Re-Color」です。
―子育てによるブランクで、自信をなくしてしまう女性も多いと聞きます。起業において子育ての経験は不利になるのでしょうか?
いえ、むしろ子育ての経験は起業において大きな強みになると私は思っています。日々の育児や家事の中で培われたマルチタスク力、共感力、忍耐力は、経営においても非常に重要なスキルです。また、ママ友ネットワークは、情報交換の場であり、新たなニーズやアイデアが生まれる貴重なリソースにもなります。近年では在宅ワークやフレックスタイムの導入、オンラインツールの普及によって、子育てとビジネスを両立しやすい環境も整いつつあります。子育てと起業は相反するものではなく、むしろ相乗効果を生むこともある。そうした視点で捉えることが、起業への自信にもつながるはずです。
―起業する上で最も大切なことは何でしょうか?
起業において最も大切なのは、「自分の情熱と社会の課題をつなぐこと」だと思います。自分が好きなことや得意なこと、関心のある分野を軸に、世の中の困りごとや課題と向き合い、「自分だからこそできる形」で応えていく。そこにこそ、起業の意義と持続性があると考えています。単なる利益追求だけではなく、共感される価値をつくることが重要です。失敗を恐れず、小さな挑戦を積み重ねること。常に学び続ける姿勢を持ち、顧客や社会と対話しながら事業を育てていくことが、成功への鍵になります。
―これから起業を目指す女性へのメッセージをお願いします。
まずは、自分の可能性を信じてみてください。大きなことをいきなり始める必要はありません。最初の一歩は、小さくてもかまいません。その一歩が、未来を大きく動かすきっかけになります。日々の生活で感じる「ちょっとした困りごと」こそが、実は誰かの課題を解決するビジネスの種になるかもしれません。そんな“これから”の挑戦を応援するのが、女性起業家支援プログラム「Co-Re-Color(コレカラ)」です。私もこのプログラム内でセミナーを担当させていただきます。これから起業を目指す女性の方々にとって、ヒントとなる知識や考え方をたくさんお届けします。専門家のメンタリングや資金支援、仲間との出会いも得られるこのプログラムは、まさに「これから始めたい」という方にこそ参加していただきたい内容です。ぜひご一緒に、あなたの可能性を広げていきましょう。
大阪大学経済学部卒業、ロンドン大学University College London環境資源経済学修士、早稲田大学アジア太平洋研究科後期博士課程修了。博士(学術)。民間金融機関で勤務後、海外経済協力基金(現国際協力機構(JICA))に転職し、国際協力業務に従事。また、気候変動枠組み条約締約国会議(COP)や国連のSDGsオープンワーキンググループに参加し、パリ協定やSDGsの形成に従事。2015年より立命館アジア太平洋大学(APU)、2023年より現職。