2020.08.18
TRY株式会社
代表取締役 高橋 晴美さん
半導体分野の中枢を担う施盤加工品の組み立てを行う「TRY株式会社」。原則ノー残業デーの徹底や、男性の育児休業手当のほか、女性従業員定着のためにさまざまな工夫を行っている。今回は、自らも子育て経験のある代表取締役の高橋晴美さんに会社を立ち上げたきっかけや、自身の子育て経験を活かしたママが働きやすい環境づくりについて、実際の取り組みなど交えて詳しく伺った。
―業種的に男性のイメージがある職場ですが、女性従業員も多いようですね。
弊社は自動車内装部品の組み立てや、精密切削部品の製造販売を行っている企業です。立ち上げから10年ほどで、現在の従業員は54名、平均年齢も27~28歳と若いですが、離職率は0に近いと言っても良いかもしれません。男女の比率もちょうど半々ぐらいです。女性の正社員は16名おります。その中にはパートから社員になった人も1名います。前職からのつながりのあるメンバーも多く、社員の配偶者や子どものことも把握しているので、会社全体が和気あいあいとした家族のような雰囲気です。
―子育て中の女性が働くためには、本人の気持ちだけでなく、さまざまな壁があるかと思います。会社はどういったフォローをしていますか?
パートさんにはいずれは正社員になってほしいと採用面接のときに話しています。だからこそ基本的にはパートさんにも正社員に近いスキルを備えてもらい、子育てが落ち着いたタイミングでいつでも社員になれるような環境を整えています。しかし、中には、ずっとパートで良いという家庭環境の方もいますよね。それぞれ子どもの人数も違いますし、自分の体力や人生においてやりたいことも違うので、全員が正社員を目指してもいいし目指さなくても良い。それぞれに合わせて好きな道を選べるようにもしています。
―従業員の皆さんは育休や産休を積極的に使っていますか?
弊社は4つの事業所があるのですが、一昨年は全体で、正社員・パート含めて6人が産休・育休を取得しました。もちろん、全員復帰し、そのうち1人が2人目出産のために現在育休を取得しています。正直、不安はありましたが、技能実習生を採用することで、人員不足を補いました。
―男性の育児休業制度もあるんですね。
そうです。社員の家族が応援したくなる誇れる会社になるためには何をしたら良いのか考えました。3年前、課長職の男性の奥様が3人目を出産するときに、彼に育児休暇を1ヵ月取ってもらいました。「1ヶ月も休んだら仕事が…」と心配していましたが、そんなことは二の次。奥様が自分の主人が子育てサポートする姿を誇りに思うことで、本人もそれを支えにもっと頑張れるんじゃないかと、思い切って取り組んでみました。
―出産、子育てを経験し、色々な経験を経て、助け助けられたことが人としての成長につながるんですね。
本当にその通りだと思います。皆さん出産して戻ってきた頃には人間性、コミュニケーション力が何倍にも成長しています。2人目、3人目になるとさらに変わっていきますね。気持ち的に浮き沈みがあったり、何を言っても顔色を変えて感情的になっていたスタッフが、穏やかさを大切にしたり、笑顔で対話する姿をみると「成長したなぁ」と嬉しいですよ!
―女性がイキイキと働くための社会にするために、何を意識すれば良いでしょうか?
サラリーマン時代は「こんな経営者は嫌だ」「こういう上司は嫌だ」「こういった会社で働きたい」という漠然とした思いがありました。せっかく部下が私を慕いついてきてくれるなら、これからの子育て世代が働きやすく、できれば私が苦労したことをさせずに、未来へ一丸となって成長できる企業を作りたい。私も経営者の経験があったわけでもなく、親から継承したわけでもない会社が、たくさんの仲間と出会えたことで10年続いていますから「人」のチカラや可能性を大切にしていきたいです。